2024年08月05日の見解
金曜日の為替相場ですが、東京・欧州時間はレンジ相場。
(ドル円)FOMC・日銀以降の影響を受けてやや右肩下がりに落ち始めている程度でしたが、雇用統計の弱い結果で値幅は3.35円(335pips)となりました。
株価も大幅に下落することになり、マーケットの動きが全体的にが変わってきた印象です。
では金曜日の流れをまとめていきます。
まずは東京・欧州時間は大きな材料がなく、動き方は限定的でした。
対ドルでの動きは、やはり雇用統計が注目されていたことが要因でドル決済が入り、ドルストレートが全般的に上昇している状態でした。
これほどまでに「雇用統計」が注目されていた要因は、「FOMC」の内容によるものです。
今回のFOMCで強調されていた内容は、
2大責務の両面のリスクを注視
という点になります。
8/1と8/2の見解にて掲載した通り、2大責務とは「物価」「雇用」の事を指します。
コロナ以降「インフレ(物価)」の影響が大きく、FRBの仕事は「インフレを抑えることが最優先」とされてきました。
インフレを抑える=「利上げ」になります。
では「利上げ」を実行することで、経済がどうなるのか?というと、好景気減速(不景気)になります。
簡単に要因をまとめると、
金利が上がるため企業は資金を借りにくくなる
事業投資がしにくい
営業利益が伸びにくい
そして景気が落ち込むということになります。
(去年)米地銀の倒産が相次いだのは、「利上げ」の影響があるということです。
しかしサービス業含め、従来の経済指標のデータや株価を見る限りでは、米経済はかなり強い状況でした。
これが、FRBが「利上げや高い金利水準を今まで維持し続けれてこれた」要因となります。
そしてこのような言葉も言われていました。
「Bad news is Good news(悪いニュースは株価にとって良いニュース)」
「Good news is Bad news(良いニュースは株価にとって悪いニュース)」
要するに悪い経済指標が出た時に、金利が低下するのでドルは売られるわけですが、「金利が低下=企業にとっては良いニュース」に繋がるので、株価が上昇するといった逆相関の動きが続いていたという意味になります。
それはFRBが「インフレ(物価)を下げる」事を第一優先に考え・動いていたからになります。
しかし今回のFOMCで、インフレ撃退が最優先だった点から「雇用」リスクを確認し始めている内容に変化してきました。
「雇用の最大化」はFRBの仕事では重要なテーマで、『雇用が伸びる=景気回復を意識』しているということに繋がります。
では「雇用の最大化」を考えるということは、FRBは何をするのかというと「利下げ」になります。
利下げをすることで、景気が良くなり雇用を生むという考えに繋がります。
FRBは「物価のバランス」「雇用の最大化」の二つのテーマに努めていますが、「雇用」を増やす為には「利下げ」であり、インフレを退治するためには「利上げ」という選択が必要ということになります。
そのためここ数年は、米CPI(米消費者物価指数)がかなり意識されてきましたが、物価が鈍化傾向の為、次は「雇用」に関わる米雇用統計にシフトし始めているという流れになります。
そして雇用統計は、インフレに関わる「平均時給」が重要視されていましたが、次回からは雇用に関わる「失業率」が注目されてくるかもしれないという事です。
なので、今回の「雇用統計」は注目されていたこともあり、ドル円や株価が大きく下落に動いた要因にもなったということになります。
では米雇用統計の結果を見ていきましょう。
【米雇用統計】
雇用者数:予想+17.5万人 結果11.4万人(前回+20.6万人→17.9万人)
失業率:予想4.1% 結果4.3%(前回4.1%)
平均時給(前月比):予想+0.3% 結果+0.2%(前回+0.3%)
平均時給(前年比):予想+3.7% 結果+3.6%(前回+3.9%→+3.8%)
雇用者数:ドル安要因
失業率:ドル安要因
平均時給:ドル安要因
「かなり悪い結果」となりました。
この結果を受けて金利が急低下し、
2年債:「3.886%」
10年債:「3.794%」
ともにかなり低下し、ドル円は2円の下落となり、引けまで下落が続き、結局146.472円となります。
▼米長短期金利|チャート
2023年中頃程度の水準まで金利が低下してきていることがわかります。
そして、金曜日の雇用統計で一気に低下しましたね。
この影響を受け、「ドル安・株安」という、ここ最近では無かった動きが出てきています。
これまで「物価(インフレ)」が注目されていた時は「ドル安・株高」の構図になっていましたが、今回は「雇用」にも注目がおかれていたことによって「ドル安(金利低下)・株安(経済が悪化)」という流れになりつつあるということになります。
雇用者数は2ヶ月分が修正されており、12万人を割る雇用者数ということもありましたが、「失業率」がかなり悪化してきていることが要因として挙げられています。
それが「サーム・ルール」が成立したと言われている内容になります。
経験則になりますが、今回の失業率が「4.2%」の場合は、0.5という数値でした。
しかしさらに上回る『4.3%』だったので、「景気後退が発生する」とマーケットは捉えたということになります。
これで、9月の利下げがほぼ確定するというデータになったわけですが、マーケットは「0.5%」を利下げするのではないか?というところまで織り込みにかかっている状況です。
▼FedWatch
(現在)9/18のFOMCで、
「22%は0.5%の利下げ」
「78%は0.25%の利下げ」
に傾いてきました。
(2枚目の画像|赤枠)
雇用統計が発表された8/2は「74%が0.5%の利下げ」とされており、マーケットは利下げ幅が拡大するとみていた状況だったということもわかりますね。
米株価は以下になります。
株価に関して下落したのは、「株式市場では悪いニュースはもう良いニュースではなくなった」ということになってきそうですね。
転換してきている可能性が高く、この変化に対応していかないといけないかもしれません。
引き続きマーケットが何を材料で動いているのか見直していきましょう。
本日の指標&要人発言
経済指標
仏、独、欧、英、非製造業PMI 【確報値】
ISM非製造業景況指数
要人発言
グールズビー米シカゴ連銀総裁
そして今週のスケジュールは以下になります。
<火曜日>
RBA政策金利&声明発表
RBA四半期金融政策報告
ブロックRBA総裁の記者会見
米貿易収支
3年債入札
<水曜日>
NZ第2四半期失業率&就業者数
10年債入札
<木曜日>
日銀金融政策決定会合における主な意見の公表(7月30日・31日開催分)
ブロックRBA総裁の発言
米新規失業保険申請件数
30年債入札
バーキン米リッチモンド連銀総裁の発言
<金曜日>
中消費者物価指数
中生産者物価指数
上記となります。
今週のポイントは、米ISM非製造業景況指数とRBA政策金利発表になります。
そして「日銀金融政策決定会合における主な意見の公表」を読んでおくぐらいかなと。。。
かなり相場が動いたので、調整局面に入るのかどうか?ポジション動向をしっかり見ていく必要がありそうです。
直近でお伝えしておりますが、「8月の夏枯れ相場」などの影響が出始めているかもしれないので、落ち着いて取引していきましょう。
本日もよろしくお願いします。
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