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「うまいおでん屋」を知れば、もっと冬が好きになる。

今日は元日。新しい年が明けた。

毎週やってくる水曜日も、「元日」と付くだけで新鮮味を感じるのが面白い。

正月と言うことは、暦も変って1月に入り本格的な寒さがやってくる。

冬将軍だってパワー全開、さぞかし絶好調なことだろう。

だか、寒いと聞いて少し心が踊る自分がいるのも否めない。

決してかまくらを作りたいだとか雪合戦がしたいとかでは無い(笑)

嬉しいことに、私は歳を重ねる中で「寒いほど美味さが際立つ料理」というとものを知った。

その1つが、おでん。

コンビニの店頭で並び始めると「今年も冬がやってきた」と思う様に、おでんは冬の知らせを担っていると言っても過言ではない。

おでんは好きか?私も大好きだ。

ならば、コンビニから抜け出して、専門店に足を踏み入れてみようじゃないか。

先に忠告しておくが、これはおでんの片道切符。
このうまさを知ったものはもうコンビニには戻れない。

一歩上の極楽浄土を目指して。

いざ、出陣!!!

本日はそんな「おでん」が主役の物語り。


ぁあ、いいダシの香り。

麻布十番駅4番出口から徒歩1分。

そこは誰しも日本人ならば持っいるであろう「ダシへの愛着心」を刺激する、尊い香りの出所だ。

しかも思わず太文字にしたくなる驚異の好立地。駅チカと言うだけで、何人かのハートは射止められた自信がある(笑)

店前に着いた時、丁度開く自動ドアから流れ出てきたのは合わせ出汁の美味しい湯気。

あっという間に、私は1発KO。

クラりとよろめきながら入店を決めた。

もしもこの「美味しい湯気」が、集客率をあげる店側の策略ならば、私はまんまとトラップに引っかと言えるだろう。でもこんなトラップになら週4で引っかかりたい所存だ。

この店は、おでんと自家製さつま揚げのテイクアウト専門店。


と思いきや、

出来たてアツアツのおでんをその場で頂けるイートインスペースが2階に設けられている用意周到さ。

拍手、お客の心をよくわかっている。

2階へと続く階段横では、【自家製】と唄うだけに大きな厨房で腕を振るう職人たち。目が合ったので会釈をすると、「いらっしゃいませ!!!」と勢いよく声をかけてくれた。

イートインスペースは最近造られたものなのだろうか。そこは清潔感が溢れ、暖色系の光と窓からそそぐ太陽が相まって、明るく落ち着いた空間だ。

え!!!!!?!?

お品書きを開いた私は驚いた。珍しいことに醤油と味噌。この店では二種類のおでんを味わえるそうだ!

なんというイリュージョン・・・!

ところで読者の方々は、「味噌おでん 」というものを知っているだろうか?

【味噌おでん】

それは、名古屋の伝統料理の一つである。

味噌と言っても、使われるものはほぼ赤味噌(八丁味噌)。渋さ苦味を持つ赤味噌にザラメで甘みをつけ、ダシで割る。そんな訳あって、関東風との違いは一目瞭然。こってりあまじょっぱい中に、深みを感じるのが特徴だ。

写真越しだが、初めて味噌おでんを見た時は、真っ茶色を超えて赤黒いその様に驚いた。そして、茶色飯が多い名古屋発祥と知った時はナルホドと頷いた。

なんとまぁ、、!!味噌おでんを東京で食べれる場所があるなんて・・!!!

私の血圧は一気に上昇、興奮が止まない。

いや…っで、でも、、、、!!!!

まだ知らない未知の味噌おでんを食べてみたいが、王道に醤油ベースのおでんも頂きたいし、なんなら自家製さつま揚げも食べてみたい!! !!!

ゔゔ・・・・・なにかいい方法はないのだろうか・・・。

頭を抱えながらめくったその先に、わがままを叶えるすっばらしいメニューが目に飛び込んできた。


その名も、麻布十品定食。

醤油おでん3品に味噌おでんの牛すじ。さらにはさつま揚げ、豚の角煮、手羽、しゅうまい、冷麺etc....この店の名物と思われるものがグッと集結されたなんとも豪勢な定食。

こ!これだ!!!!!!!!

おまちどおさまという声と共に届けられた私のご飯は写真でみるよりも立派な御膳。まるでおせちの重箱の様だ。

さてさてさて、、、!いったいどこから手をつけようか!!!

悩んだあげく、確実にうまいことが保証されている黒光した味噌おでんの牛すじへと手を付けた。

こんな色、反則だ。

箸で持ち上げるとふるふる揺れている牛すじは見ているだけでよだれが出てくる。

パクッ

っん~~~~・・!!!//////と、とろけた、、、、、!!////

想像以上、遙かに旨い。もしかしたら味噌だれに煮込まれた牛すじの方が好きかも知れない。思わずしかめっ面になる美味さと言うべきか。脂がのっていて言わずもがなのなめらかさ。味は濃くても単調じゃあ無い。多分だけど、この豪華な御膳の中でお前が一番お酒に合うよ。

それに、、、

ふぇ~ん////何コレめちゃくちゃお米が進む~~~~!!////////

1品目から白米の消費量が止まらない。まずいぞ・・・たくさんのおかずに対してお米はお茶碗一杯。これはかなり食べる量に気をつけないといけないやつだ。

次はさつま揚げ。おでんと共に、店の看板商品である練り物に自然と期待が膨らんだ。これが魚のすり身でできているなんてほんとに不思議なものだ。

ん!?

ま、まさかのチ―ズイン…!!!思いがけないサプライズに目を丸くした。ふっくらしたさつま揚げはチーズを引き立てるようにすっきりした甘み。いくつでも食べられてしまう丁度良い塩梅に、試行錯誤して創り出された背景が垣間見れる。1階に並べてあったごぼうや紫蘇のさつま揚げもきっと美味しいことだろう。

う~ん、次は何食べようかな・・。

迷い箸をするなんてお行儀が悪い!と思いつつも、この時間が何よりの幸福に感じてしまう(笑)

よし、角煮だ!角煮にしよう。

これまた立派な脂身の層!!!!これこそ角煮の醍醐味と言えよう。

なななななんだこれ?!やっわやわじゃないか!!!!!!

噛みながら引っかかる筋すらない角煮。うまい・・・!しかもこれは八画の香りだろうか?爽やかで鼻を抜ける風味と少し甘めな味付けが意外にも料理全体にパンチを与えている。

ここは中華の流れを崩さぬようにシューマイへと移る。

これまた驚いた・・・・・・!!!!!!!!ここは一体何屋なのかわからなくなるほど、シューマイもクオリティーが高い。そういえば1階に、おでんと練り物と一緒にシュウマイも置かれていたことを思い出した。もしかしたら、隠れた人気メニューなのかもしれない。

…そろそろ目玉に手をかけよう。

パカリ・・・

木蓋を開けたその先には、卵、糸こんにゃく、昆布の醤油おでん3種盛り。

そうそう、私はこの香りに吸い寄せられた。

まずは汁を一口。

くぅ~~~・・・!

到底かつおだしのみとは思えない、複雑な出汁。やさしい醤油味が、東京生まれの私にとって「これぞおでん」という味わいだ。

この糸こんにゃく。出汁の味がそそまま移ってる。しかも結び昆布は案の定溶けた。卵は二つに割って、少し汁に黄身を溶かすのが好き。

うまい・・・。おでんはやっぱりうまい・・・。

さらりと完食。

ほっと一息してしまう頃には、おでんの汁すら残らなかった。

最初は小鉢といえど、種類の多さに圧倒されたが、全体量は女性の私で丁度8分目。男性なら少し物足りなさを感じるかもしれない。だが、少量でこんなにもたくさんの味を楽しみめるなんて絶対お得。

まだまだおでんは食べられるが、初来店の私にとってこの店のイチオシメニューを総なめできたことはとても素晴らしい選択だったと思う。

さらに!!!

先ほどの御膳で登場した料理は全て、一品として確立されていて、単品でも注文することが可能なのだ・・・・。

そりゃあ一つ一つが旨い訳だ!!!

これは家に帰ってから知ったことなのだが、今日訪れた店は創業大正10年の老舗おでん屋だったらしい。

こんなにも歴史のある店ならば、敷居を高くしようと思えばいくらでも雰囲気を作り上げることは出来ただろう。

しかし、私たちのような若者でも入りやすい、親しみやすい店にリニューアルを遂げたということは「美味いものを継承するという点」にとても重きを置いているように感じた。

どんなに素晴らしいものも、次世代に繋げなれば途絶えてしまう。それは勿体ない。

そんな時この店のように、敷居を低くしつつも、老舗のプライドが詰まった「本物」を味わえる場所を生み出すことは未来にとって大きな役割を果たすだろう。

いつか父が通っていたおでん屋にも行ってみたい。

店が継承しようとする様に、私達も文化を知ろうとする意識を持とう。お互いが刺激を受け与える関係こそが今ある豊かな世界を守り反映させていくことに繋がることだろう。

おでん一つとっても、まだまだ奥は深い。

ああ、まだ寒いうちに友達を連れてきたい。

そして、おでんを囲みながら

うまいうまいと、本物を味わおう。

今日行ったお店は「福島屋」でした。

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