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短い言葉

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記事一覧

間違えるほどのまぶしさはどこにもいかない

雨上がりの夕方は一番輝いていて
誰もいなかった朝のようだった

忘れていたのは自分で、思い出したのは冷たさの空気だった

踏み切りを渡るのを避ける
と夜は近く、いつまでも夕日があるような気がした

きっとまた忘れるただひとりであること
夕日から逃げない心地よさが
季節と共にあること

生活

分からないことがたくさんある
いつも思う、分からない、
私は今まで何をしてきたんだろう、と思う

でも息を潜めて、別に潜めなくてもいいんだけど、大げさに深呼吸しながらでもいいんだけど、じっと待ってたら、ぜったいできると思ってる

同じっだったね、違うんだったね、
何もないなここには、
それが生活だな、生活になりたい

夏休み

ずっと動いているように思っていたけれど、結局過去の一時停止が積もっているんだと思うと、それは動いているわけではなかったかもしれないな

歩いている道が、匂いが変わって、夏休みみたいな気持ちに急になったのは、小学校に同じ木があったのかもしれない

踊る

横断歩道を歩くのが私だけなので世界は一度止まる眠っていた

缶を蹴って歩く人たちとすれ違い、かっこつけるなよ、と思う

一人になって道の隅に小石が転がっていたので蹴って飛ばす

公衆電話のボックスは時間を歪めていて、使われてないとしたらそれは平和なのかもしれないねとつぶやく

誰かを押して飛ばすような強さはいらないので手のひらに優しい言葉を掬いたい

ふやけたダンスを踊ろう今日は

スキップ

私が美しいと思うことは私にとって美しく、
私が好きだと思うことは私にとっての好きであり、

夜に泣いていたとしてもそれはそこに感情が流れているということで、
バターの賞味期限が切れていたとしても、泣かない

私の中の大丈夫は大丈夫だから、自分を信じる、何回も大丈夫になるをくり返す

ペースを落として、落として、静かにゆっくり呼吸をする

鼻歌のリズムが変でもスキップのリズムは変わらない、音を立てず

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飛び越える

まっすぐであり、揺れている言葉を
分けて、積み重ねて、
崩して、
飛び越える

夕日

看板が夕日を反射して街が奥行きを増す16時

夕日に感じた焦燥感を覚えておこうと思う

頭の中に宇宙

頭の中に宇宙が広がっていて、不安なこととか悲しいこととかがぶつかって、散り散りになる 

その宇宙のどこかの星に小さな子どもが立っていて、その星に昼と夜があるか分からないけど、その子が空を見て、きらきらしてて綺麗だな〜って思っていたとしたら嬉しい

絵本もしくは詩集のための

この電車追い越されますという電車に乗って家に帰る    

各駅停車しか停まらない駅で一緒に見た紅茶の広告を思い出す    

別れ際はいつも少し気まずくて電車に乗りたくなくなる    

電車から見えた顔を改札の外で手を振っている姿を思い出す今日

-

溶けそうな時間におぼれていくだけの日々がずっと続けばいい

-

遠くから聞こえる音楽が耳に慣れない音だった
遠くに来てしまった

-

風の

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砂浜

穏やかな海に浮かんでいて、風が吹いて、砂浜が見えた

誰も私のことを知らない場所で、心地良い孤独があった

芝生

新しいものに出会ったのに、前から知っていたような懐かしさの中にある安心感

自然と体に入ってくる言葉の流れと音の流れに身を委ねて、芝生の上で寝ているような心地

アイス

ひとりで帰り道にコンビニに入って、
アイスのケースを開けたり閉じたりして、
頭が空っぽで、またケースを開けたり閉じたりして、
そういうことがあったとして、
そういうことがあって良かった、と思う

ガラスのかけら

期待してるほどのことは起きないけど心配してるほどのことも起きない

あいまいな変わりゆく中で流されながら深呼吸をする

完全に良いことはないかもしれないし完全に悪いこともないかもしれない

白と黒、グレーでもない、水に溶けてゆく絵の具は淡く混ざる

なにも知らずにはいられないけど全てを分かることもできない

集まってはちりとなって遠のくかけたガラスのかけら

グラス

走るのをやめると走ってるときに見えなかったものが見えて、
不安になる

みんな不安なまま走ってるのかもしれないけど、私は追いつけない
いつも自分のことで精一杯

心が溶けて淡くなって、また形になったとき、もっと強くなってればいいのに

透明なまましなやかで、水をたくさんためれるグラスだったらいいのに

太陽の光を栄養にして、葉っぱを輝かせられたらいいのに