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フィリピン・マニラのコンドミニアム暮らし【最新版入出国手続きの詳報】

2023年2月13日(月)から2月22日(水)までの10日間、フィリピンのマニラに行ってきました。
APECO(オーロラ州経済特区)の「ASRV」(APECO Special Resident Visa)というフィリピン特別永住権の5年ごとの更新をすることと、妻が購入したコンドミニアム物件「RISE」の部屋の引き渡しを受け、居住できるように整備するためでした。

新型コロナウイルスに起因する各国の入国規制は大きく緩和され始めていますが、感染拡大前の渡航と比較をしながら今回の滞在を紹介します。
特に入出国の際の手続きを詳しくお伝えします。
皆さんの海外渡航のお役に立てれば幸いです。

私が最後に海外に行ったのは2020年1月の中国深センへの出張でした。
今回は3年ぶりの海外渡航になります。
まず以前と大きく異なっているのは、国によって入国するための要件が異なり、その要件も頻繁に変更されるということです。
これまでは査証(ビザ)の有無とパスポートの残存期間に注意を払っていればよかったのですが、今は事前に入国するための要件を確認する必要があります。

ワクチン接種証明書/PCR検査陰性証明書

一番重要な点は、ワクチン接種の有無です。
フィリピンではワクチンの完全接種が完了していれば、事前のPCR検査の陰性証明などは必要ありません。ただし、「ワクチンの完全接種(Fully Vaccinated)」の定義は国によって異なります。

日本で使用されたモデルナのワクチンとファイザーのワクチンを例にすると、フィリピンでは2回の接種を完了している必要があります。
なお、日本政府が求める完全接種(Fully Vaccinated)は3回です。ワクチンを2回接種した人は、自治体が発行するワクチン接種証明書を取得すれば入国できます。

ワクチン接種証明書の取得方法ですが、マイナンバーカードを持っている人であれば、アプリをダウンロードすれば3分ほどで取得することができます。このアプリの接種証明書はインターネットに接続していなくても表示することができるので、海外の空港などでも安心です。

マイナンバーカードを持っていない人は、自治体のホームページから申請書をダウンロードし、過去のワクチン接種券のコピーを同封して郵送で申請をします。

私は申請してから7日ほどするとワクチン接種証明書が郵送で届きました。
ただし、届くまでに10日かかったという書き込みもインターネットにありましたので、渡航が決まったら時間に余裕をもって申請されることをお勧めします。

ワクチン接種証明書には、例えば「3ヶ月以内に発行されたものが有効」という期限はありません。というのも、例えば2022年4月1日に3回目のワクチンを接種したという事実は時間が経過しようと不変だからです。

ワクチンを2回接種していない人は、出発前48時間以内のPCR検査または出発前24時間以内の抗原検査の陰性証明が必要です。
重要な点として、「入国前」ではなく「出発前」であることです。

今回一緒に渡航をした私の妻はワクチンを1回しか接種していませんでしたので、フィリピンに入国するためには陰性証明が必要でした。
成田空港を2月13日(月)9時30分に出発するフライトだったので、2月11日(土)9時30分以降に検査を受ける必要があります。

海外に渡航する人のためのPCR検査は、発熱外来を行っている病院では陰性証明が発行してもらえないこともあります。
「海外旅行 陰性証明書」で検索をして、海外渡航者用の陰性証明に対応している病院を調べておく必要があります。検査は午前中(11時まで)に受けていれば、当日の夕方に証明書を受け取ることができる所が多いです。
ただし、PCR検査費用や陰性証明発行費用は自己負担であり、30,000円ほどかかります。

ワクチン接種証明書や陰性証明は出発時のチェックインカウンターや搭乗ゲート、入国審査時などいつ提示を求められるか分かりませんので、手荷物の中の取り出しやすい所に入れておきましょう。
なお、保護者と一緒に入国をする12歳未満の子どもはワクチンの完全接種や陰性証明書は免除されています。

eTravelの入力

フィリピンに入国をする全ての人は、国籍を問わず「eTravel」という入国にかかわるオンライン申請をする必要があります。
これはフィリピン到着前の72時間前から入力をすることができます。
今までは飛行機で紙の入国カードや税関申告書が配布され、記入をして提出をしていましたが、今は事前に電子申請をするようになっていました。
 
eTravelでは以下の情報を入力します。
・名前
・フィリピン国内での滞在先
・パスポート情報(パスポート番号や有効期限など)
・入国の目的(ビジネスや観光など)

これらの情報の入力が完了すると、QRコードが発行されます。
この画面をスクリーンショットで保管したり、印刷をしてください。
チェックイン時に入力の有無を確認されたり、フィリピンで入国をする際に必要になります。

なお、こちらの申請は無料です。
似たようなサイトでクレジットカード情報を入力させてお金を奪う詐欺サイトの存在をフィリピン政府が注意喚起しておりますので、ご注意ください。

「eTravel」を入力後に発行されるQRコード

今回は日本航空のビジネスクラスに搭乗しましたが、1人あたり一つ32kgの荷物を3つまで預けることができます。合計で96kgです。
2人で荷物は最大6つ、192kgまで預け入れることができます。

観光客や短期出張の方にはここまでの荷物は必要ないかもしれません。
私たちのように永住権を保有し、フィリピンを第二の生活拠点としようとしている人にとってはこれだけ沢山の荷物を一度に運べることはありがたいことです。

日本での出国審査は、成田空港の朝便ということで時間がかかりました。
成田空港の保安検査場は朝7時に開きます。
午前中のフライトの人たちが保安検査が開始されるのを待っており、どうしても混雑して時間がかかってしまいます。

保安検査後の出国審査ですが、日本のパスポート保有者ではパスポートを機械に置き、正面の画面を見ると顔認証がされて完了します。かつてのように検査官の列に並んで出国印を押してもらう必要はありません。

ただし、顔認証ゲートでも希望者は申し出れば出国印を押してもらうことができます。なお、顔認証をするスクリーンの高さの関係で、身長が135cm未満の方や車いすの方は顔認証ゲートを利用することができず、検査官の列に並ぶ必要があります。

今は顔認証ゲートがさらに進化し、自動ゲートというものがあります。
空港でパスポート情報と指紋を登録すると、日本での出入国審査は専用のレーンからパスポートと指紋認証で完了します。
混雑している列に並ぶ必要はありません。一度登録をすると、パスポートの期限内は何度でも利用することができます。

なお、こちらはおおむね13歳以下の子どもは利用することができません。
空港のホームページにも「おおむね13歳以下」と記載されており、厳密な年齢は分かりませんが、指紋登録などを一人でしなければならないようです。

日本航空はビジネスクラス以上の乗客やマイレージクラブの上級会員は出国後にラウンジを利用することができます。
日本航空のラウンジは「サクララウンジ」と言い、カレーが名物でした。

コロナ以前はサラダやスープ、カレーなどはビュッフェスタイルで自由に取ることができましたが、今は席にあるQRコードを読み取り、欲しいものを注文するスタイルに変わっていました。

極力人による接触機会を減らす新型コロナウイルス対策でしょう。
ビュッフェから注文をするスタイルはマニラの空港でも同じでしたし、弊社のスタッフによると全日空も現在は同じやり方だとのことです。
なお、飲み物は自分で取るセルフスタイルのままであり、コロナ禍では中止されていたアルコールの提供も再開されていました。

JAL「サクララウンジ」での朝食
JALビジネスクラスの機内食(復路)

フィリピンに入国

マニラのニノイ・アキノ国際空港に到着をすると、次は入国審査です。
通常入国審査では自国民と外国人は別の列に並びます。
フィリピンでは、フィリピン人とそれ以外の人たちということです。

しかし、空港の職員は私がASRVを保有していると分かると、なぜか私をフィリピン人の列に並ばせました。なお、以前はAPRV(APECO Permanent Resident Visa)と呼ばれていましたが、今はASRVに名称が変更されました。

パスポートに貼付されているAPECOの永住権証と運転免許証のようなAPECOカードを入国審査官に提示をするのですが、更新のために来ているので有効期限は切れています。

私は有効期限が切れているカードを示しながら、この永住権の更新のために来たということを説明しました。すると、係の人は私の永住権の情報を照会しに行ったのでしょう。5分ほど待つと無事に入国が認められました。

ここで一点注意が必要です。入国が認められればパスポートに入国のスタンプを押してもらえますが、必ずASRVの入国印を押してもらいましょう。

フィリピンでは観光や仕事で会議に参加をするなどの出張目的の入国で、30日以内の滞在であればビザなしで入国ができます。
入国印には30日後の日付が記載されています。30日後の日付までに出国をしないと、オーバーステイによる不法滞在となってしまします。

ASRVは永住権なので、本来は滞在期間の制限はありません。しかし、入国審査官が誤って通常の入国印を押してしまうと、30日を超えて滞在はできなくなってしまいます。

永住権があるにもかかわらず、30日を超える前に一度出国をして再入国をしなければ不法滞在になってしまうのです。
ASRVの入国印を押してもらうことによって、30日という制限はなくなり、永住権が有効な間は合法的に滞在をすることができます。

実はこのASRVという永住権は、数年前まではフィリピンの審査官たちにもあまり知られていませんでした。「私はASRVというフィリピンの永住権を持っている」と主張しても、彼らは分かってくれず、ASRVについて説明をする必要ありました。
そこから月日が流れ、今はASRVについて認知度が上がり、入国も比較的スムーズにできました。

空港からコンドミニアムに

ニノイ・アキノ国際空港は大規模空港で第3ターミナルまであります。
私たちのJALは第一ターミナルに着きました。
両替をチェックすると1ペソ2.5円でした。以前訪れた2018年は2.03円でした。今はペソ高ドル安であり、物価は高く感じます。

以前は現地のスタッフの出迎えがあったのですが、今回は全て自分で対応しました。
先ずタクシーでぼられました。

空港からコンドミニアムのあるマカティまで、通常は3~400ペソですがチップを加え1650ペソ(約4000円)取られました。帰りは運転手と事前交渉したので、400ペソと4分の1で済みました。
日本人は金持ちと見られます。
タクシーを利用する際はシビアに交渉することが大切だと思い知りました。

コンドミニアムの概要

購入した物件のあるTHE RISE MAKATIは、マニラ市内のビジネス中心街にある地上63階建てで2800室余りがある高層マンションです。
その7階にある一室1DKで28㎡の広さです。1階から2階は商業施設で50以上のカフェやレストランがあります。

特徴は3階のクォリテイの高い付属施設の充実ぶりです。
コンベンションルームや接客室、学習室、図書館、2階建てジム、プール、キッズゾーン、カラオケルームなどを自由に使うことができ、自室の狭さが気にならなくなります。

RISEの外観模型
RISEの外観
RISEにある入居者用のプール
入居者が利用できる共有スペースにあるソファー
共有スペースではビリヤードもできます
カラオケも楽しめます
キッズスペースでは子どもも遊べます

これらの施設や部屋が、中心から3つの棟に広がって入っています。
コンドミニアムは、生活必需品を自前で揃えます。
住宅棟の隣にはダイソーがあります。300円ショップのような感じですが、ここで大半の生活用品が手に入ります。
スーパーもあり生活に困ることはありません。

生活棟の隣にあるダイソー

ただトラブルもありました。初日はシャワーの水も湯も出ませんでした。
洗濯機も使えなかったのですが、翌日はすぐ管理会社の手配で修理が完了しました。クイックレスポンスは評価できます。

部屋のトイレ
部屋のシャワー

RISE近辺の物価は日本に比べて安くはありません。
セブンイレブンで買った缶飲料が100ペソ250円という具合です。
しかしこの地区の治安状況、生活環境を考えると妥当だとも思えます。

残念なのはネット環境が悪いことでした。
動画を使った通話は厳しい状況でした。

飲み水で注意したいことがあります。
マニラでは暑さでひたすらミネラルウォーターを飲むことになりますが、水以外は全て甘いのです。できれば麦茶のパックなど用意したいものです。

小さなことですがビニール袋についてです。
現地では買い物の際にビニール袋は使われず紙袋です。
環境には優しいのですが、弁当や飲み物などを運ぶときは、破れてしまわないように注意が必要です。

皆さんが一番関心を持たれるのは治安でしょう。
海外は一つの国でも地域によって大きく安全性が異なります。
私は、海外では治安はお金で買えると思っています。
建物の値段が安いというのは、周囲の環境、治安が悪いともいえます。
RISEのあるエリアでは、私は身の危険を全く感じませんでした。
安全性の高い地域だと思います。夜も出歩けます。

フィリピンの公用語はタガログ語と英語です。
若い人からお年寄りまで大半の人が英語を話せます。
最低限の英語が話せると、買い物や生活の楽しさが増えます。
英語が下手でもフィリピンの人々は懸命に聞き取ろうとしてくれます。
英語弱者に冷たい米国人とは大きく異なります。
総じてフィリピン人は親切です。ストレスがなく快適です。

このようなことから、RISEは極めてコストパフォーマンスのいい暮らしだと感じています。このレベルの施設、環境、利便性を東京で体験しようとすれば、数倍のコストがかかると思います。

成田からマニラまでの所要時間は行きは5時間、実際は4時間半ほどです。
帰りは3時間40分ほど。台湾までのフライトよりも少し長いくらいです。
マレーシアやシンガポールが7時間前後。
ハワイも行き8時間、帰り10時間ですから、マニラの近さが目立ちます。

そして空港からRISEまで道路がすいていれば15分、渋滞すると1時間です。
時差は日本と1時間あります。日本から現地への通いの所要時間と時差を考えると、ビジネスのハブ拠点として魅力的です。

マニラからアジア各国へは多くの航空会社の航空便があり、競合しています。その結果、航空運賃が安いのも魅力です。
それに食費が10万円、マンションの管理費、通信費なども含め、月約20万円あれば快適に暮らせそうです。

私は寒さが苦手で、来年以降は1月後半から2月にかけてはマニラに滞在することを検討しようと思いました。また現地は花粉症もなく、悩む方はシーズン中の避難も良いかもしれません。

以上改めてまとめますと、フィリピン・マニラはコストパフォーマンス、安全性、利便性が揃っており、アジアでのビジネス拠点に適した、仕事にも暮らしにも快適な地の一つであるといえます。

永住権の更新

今回の渡航目的だった永住権の更新も問題なく終えることができました。
更新のため当初最大で10日間滞在してくれといわれていました。
フィリピンは総じて事務が遅い、と言われます。

この間、更新手続きの間パスポートを預けます。
今回は5日間で終わりました。作業はアペコの事務所で行われるのですが、生体認証用の指紋や顔写真を撮られます。

この入力された情報が、移民局とアペコの事務局に保管されます。これでAAIC(APECO ALIEN IDENTIFICATION CARD)の申請が完了します。

※余談ですが、APECO特別永住権の取得費用は各国のビザ同様に変更になっているようです

無事にASRVを更新することができました

帰国時の陰性証明

さて、今度は帰国時の事務作業について説明しましょう。
日本に入国をする際には、ワクチンを3回接種している必要があります。

フィリピンの入国時の要件は2回接種なので、接種回数の違いに気をつけなければなりません。ワクチン接種証明書は、フィリピンに入国する時に使用をした証明書と同じものを使用することができます。

ワクチン接種証明書は過去に受けた日付とワクチンの種類(メーカー)が記載されているため、3回接種したことが証明できる人は、2回以上の接種を求めるフィリピン政府の要求を満たしているからです。

ワクチンを3回接種していない人は、日本に入国する際に「出発時」72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要となります。
コロナ禍ではPCR検査の陰性証明書でトラブルが多発していました。

外国の病院が発行してくれる陰性証明書には、日本政府の求める記載事項が欠けているということがあり、それによって出発国で航空会社に搭乗を拒否される人が続出したのです。

日本政府は必要事項さえ記載してあれば書式は定めていませんが、実際は多くの人は厚生労働省にあるサンプルの書式をダウンロードして利用していたようです。

弊社のスタッフはコロナ禍で海外出張に行きましたが、彼が現地で陰性証明書を受け取った後、病院のスタッフに厚生労働省の書式を渡し、「これに再度書いてほしい」と依頼をしたそうです。

前述の通り、妻は1回しかワクチン接種をしていなかったのでPCR検査が必要です。現地のスタッフがPCR検査を手配してくれたのですが、何と担当者がRISEの部屋まで検査をしに来てくれました。

約束の時間通りに来てくれ、結果は数時間後にメールで届きます。彼らは日本人に対する検査になれているのでしょう。日本の書式に対応した陰性証明書も添付されていました。

しかしここでトラブル発生です。
陰性証明書に記載されている生年月日が間違っていたのです。

これではマニラの空港や、日本の帰国時に証明書が無効と言われてしまう可能性があります。慌てて連絡をし、修正をしてもらいました。すぐに修正されたものが送られてきましたので安心をしました。

皆さまも、海外でもらった証明書などは必ず名前のスペルや生年月日、パスポート番号が合っているかをその場で確認するようにしてください。例え先方のミスであっても、全ては自己責任であることを肝に銘じてください。

日本へ帰国

日本へ帰国する際は「Visit Japan」というアプリからパスポートの情報などを入力します。ワクチン接種証明書や陰性証明書も登録することによって、帰国時にスムーズに通過をすることができます。

今まで家族が代表して提出をしていた税関申告書(黄色の紙)もVisit Japanから提出をすることができます。
コロナ禍で出張から帰国したスタッフは着陸してから入国するまでに4時間以上かかったと言っていたので心配していましたが、なんと20分ほどで入国が完了しました。

以上、日本出発からフィリピンでの滞在の様子、日本に戻るまでをなるべく具体的にまとめました。皆さまの海外渡航の参考になれば幸いです。

株式会社myコンサルティング
                        代表取締役 坂元康宏
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