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BOOK:後白河法皇 平家を滅亡させた黒幕

河合敦さんの「後白河法皇 平家を滅亡させた黒幕」。幻冬舎新書。
昨日藤原氏に関する本をご紹介しましたが、藤原氏の強固な権力基盤を歴代の天皇は甘んじて受け入れていたわけではなく、院政という手段で対抗します。その初代が白河院で、二代目が鳥羽院、そして三代目にあたるのが後白河院になります。

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後白河院の何が面白いかというと、人生の波乱万丈さです。その発端は、初代白河、鳥羽、崇徳の昼ドラ的な血縁関係にあるのですが、それはさておき…

後白河さんはもともと鳥羽院の第四皇子で(第一皇子は崇徳天皇)、皇位とは無縁で気楽に生きていたそうです。とはいえ、次の皇位継承の話が持ち上がったときに、もちろん後白河さんにも継承権がありますから候補に挙がる…と思ったら、あんまり周りからの評判がよろしくなかったので、後白河さんではなくその息子が天皇の候補に挙がります。でもまだ幼かったので、息子が成長するまでの間の「つなぎ役」として、後白河さんが天皇として皇位につくことになります。

(このあと様々な勢力の思惑が働いて、兄弟(?)である崇徳上皇と後白河天皇の間で権力を争う保元の乱があるのですが、そこは割愛します。?の部分には、昼ドラ的な要素が絡んでいます。)

その後、後白河さんの息子が成長して二条天皇となるのですが、後白河さんが上皇となって院政をするのか、二条天皇が親政をするのかというところで対立が生まれます。平治の乱において親子同士で争い、父である後白河院は負けるのですが、その後息子の二条天皇が若くして崩御する際に即位させた六条天皇が幼かったため、その面倒を見る立場として、後白河院は復活を果たします。後白河リターンズ。

後白河院は平家とつながっていたのですが、その後平清盛との関係が悪化して幽閉されてしまったり、それを助けてくれた源氏の木曾義仲ともその後関係が悪化して幽閉されてしまったり、それを助けてくれた源頼朝ともその後関係が悪化して義経に肩入れするも義経は頼朝に滅ぼされてしまいます。波乱万丈も度が過ぎます。でも、しぶとくしぶとく生き抜く力は、純粋に凄いと思います。

こういう、「しぶとい天皇」って面白いと思っていて、例えば鎌倉幕府を倒して建武の新政を打ち立てた後醍醐天皇もかなり興味深い人物です。後醍醐天皇の場合は、天皇が政治をするのだ!と意気込んで色々やってみるも、全て裏目に出て上手くいかなくなって足利氏に実権を握られてしまうのですが、それでも、その強い意気込みであったり、ただでは引き下がらず挽回の機会を窺っているところであったり、そんなふうにしぶとく生きる姿勢は格好良いと思います。


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