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#6 夏の終わりに想うこと~拝啓 松本潤様~

2020年8月30日、彼は37歳の誕生日を迎えた。私の大好きなアイドルグループ・嵐のコンサート演出を担う中心核でありながら、端正なルックスと豊かな表現力で人々を魅了するエンターテインメントの申し子。それが松本潤という男だ。

私が嵐に興味を持ち始めた頃、私の中にはまだ「道明寺司」の松本潤がいた。すなわち顔は良いけれど気障でナルシストな一面を持つ、同性から好かれなさそうな人という印象(甚だ失礼な言葉ごめんなさい潤くん)。嵐のほかのメンバー4人が後々口にしていたが、おそらく松本潤本人も、そういうパブリックイメージに囚われていた部分があったのではないかと推測する。だが「嵐にしやがれ」の個人コーナーでのお茶目な様子や、ドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」での変わり者キャラ(?)好演も光り、最近は嵐ファン以外にも彼の可愛らしい一面が知られることとなった。バラエティ番組でメンバー4人が、最年少のキテレツな天使を可愛がり面白がっている様子はなんとも微笑ましい。

そして松本潤のもうひとつの顔は、演出家である。嵐の音楽面、とりわけコンサート(すなわち嵐の真骨頂)においては彼の存在が欠かせない。「ARASHI LIVE Tour 2016-2017 Are You Happy?」のDVD・Blu-rayに収録されているドキュメンタリー映像には、深夜や翌朝までスタッフと打ち合わせを重ねる松本の姿が収められている。現在配信中のNetflixオリジナルドキュメンタリー「ARASHI's Diary -Voyage-」内でも、アニバーサリーツアーの演出に携わるほか、デジタル解禁に向けてアメリカに足を運ぶ様子なども見られる。別のメンバーたちがそれぞれの個人仕事に取り組む中、おそらく彼は自分のそれを多少なりとも犠牲にしてきたのではないかと私は推測している。その分嵐のため、グループのため、より良いコンサートを創り上げるために奔走してきたのではないか、と。

もし松本潤本人がこれを読んだら、「それは他のメンバーもマインドは同じで、5人5様でそれぞれが嵐に還元するために個人の仕事をしている。なにも自分1人に限ったことではない」と反論されそうである。もちろんそのことは私も熟知しているつもりだ。二宮和也が「嵐5人に還元できない仕事はやらない」と言っていたように、個人仕事はグループ活動が前提、というマインドを嵐のメンバーは全員持っているはずだ。そしてそのマインドを21年間持ち続けてきたからこそ、嵐はトップアイドルになったのだと思う。だがそのことを差し引いても、やはり松本の努力は全嵐ファンに称えられるべきだと私は強く思うのである。なぜなら、彼が積み重ねてきた演出の知見と創造力は、コンサートの概念を大きく変革させ、数えきれない人々を魅了し、嵐というビッグプロジェクトの核を確固たるものにしたからである。

私も参戦したことがあるが、嵐のコンサートは「夢の国」だ。観客のペンライト制御が織りなす色と光の渦、メンバーが観客の近くに迫り来る感覚を味わえるムービングステージ、個々の歌唱やダンススキルを際立たせる最新テクノロジーとのコラボレーション。会場でしか味わえない非日常の空間を創り出す魔法の数々は、誰よりもストイックに演出と向き合い、グループの強みを最大限に引き出すことを目指し続けてきた彼にしか習得しえないものだったに違いない。

そして、嵐の活動休止を控えた2020年は、思わぬ方向に転がり続けている。彼らのやりたかったことが次々に断念せざるをえなくなり、夏の終わりをこんな状態で迎えることになろうとはメンバーもファンも予想していなかった。それでも彼らは挑戦を辞めず、J-POPの素晴らしさ・音楽の素晴らしさを発信し続け、先行きの見えない社会を元気づけるコンテンツを創り続けている。これを真のアイドルと呼ばずして何と呼ぼうか。



追伸 いつも私たちを笑顔にしてくれてありがとう。潤くんのやりたいことが、今年中に少しでも叶えられますように。私は祈ることと応援することしかできないけれど、あなたの創るエンターテインメントを心から愛し、楽しみにしています。いい1年になりますように。

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