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プロダクトの作り手として向き合っていることを振り返る

今年は某マンガの影響で名前を聞き返されることが多くなりました。
どうも、カンジロウです。

これまで約5年間、事業会社のデザイナーとしてUIデザインに軸足を置きながら、デジタルプロダクトの企画・UIデザイン・フロント開発などに広く関わってきました。

5年という節目な時期でもあるので、向き合ってきた課題やその詳細、今後「あー自分向き合えていないわ」ってときのための自分用チェックリストを残しておきます。

全体的にポエム感が強いので是非適当に読み流してください。

1. プロダクトの問題と向き合う

プロダクトにおいては大小さまざま問題が複雑に絡み合っている。
また、プロダクトにかけられるお金・時間・人のリソースには限りがある。
それにも関わらず、小さな問題にばかり気を取られてそれらのリソースを食いつぶしてしまうことがある。
どの問題へどれだけのリソースをどのように割くのか見誤ってはいけない。

✓ そのデータは本当に必要か
新卒1~2年目の頃、僕はかんたんなSQLの書き方を覚えた。
チームメンバーの手を煩わせたくないのと、それらしい指標の変化から改善の示唆を得られんじゃないかという愚かな考えから、自分の身ひとつで数字の海へ飛び込んで気がつくと溺れかけていることがよく起きていた。(調査で1日食いつぶしているようなことがあった。やばい。)
その数字は何のために必要なのか。その数字を得ることはどんな仮説の確からしさを証明するものなのか。大きな問を立てて、それを解くための仮説を組み立て言語化できているか。(あとデータ分析系は、隙を見て得意そうな人にお願いしちゃう。お願いスキル大事。)

✓ Howに囚われていないか
たまに、目についた小さな問題やふと思いついた改善アイデアが素晴らしいものに思えたり、ユーザーから届くプロダクトへのご意見や不満に共感して今すぐ改善したい気持ちになることがある。
しかし、一歩踏みとどまって考えてほしい。それらのアイデアはどんな問題を解決するものなのか。他に方法は考えられないのか。そもそも他にもっと重要な問題を見落としていないか。これらについて考え巡らせて適切に問題と向き合わないと時間と労力をかけても小さな価値しか生み出せない可能性がある。
WhyとHowを行き来して、ぼんやりとした問題と課題の輪郭をはっきりとさせよう。

✓ 自分の言葉でプロダクトを語っているか
会社員として働く以上、個々に共通するミッションは会社や事業の成長だ。故に、事業とプロダクトが目指すべき状態は何か。世の中へ提供できている価値は何か。そうでない価値は何か。価値の源泉は何か。ユーザーは他にどのような方法でジョブを解消しているのか。中長期でのリスクやチャンスは何か。
プロダクトを大局的に捉えて取り組むべき問題を見定めるために、それらの問いに対して自分なりの考えを意識的に言語化する。
仮にその状態へ向かう道と自分のやりたいことをうまく重ねることができないなら、別の環境へ移ることを検討したほうがよいかもしれない。

2. プロダクトを使う「誰か」と向き合う

画面の向こうにはプロダクトを使ってくれる、知らない「誰か」がいる。
しかし、気がつくと「誰か」を自分もしくは存在しない「誰か」とすり替えて、使い物にならないUIや機能を生んでいることがある。
画面の向こうにいるユーザーを突き止めよう。

✓ ユーザーと言葉を交わしているか
ユーザーが自分たちの都合通りにプロダクトを使ってくれると思うのは幻想に過ぎない。例えば、スニーカーはワインを開けるために作られたわけではないし、街なかではPITTA MASKを上下逆さまにつけている人をみかける。
僕自身、ユーザーの利用環境を考慮しきれずに多くの人にとって機能しない状態のUIをここ最近生み出してしまった。(恥)
ユーザーはどのような文脈・状況においてプロダクトをどう解釈して使っているのか。実際のユーザーの眼を借り、言葉を交わしたり、行動の観察を積み上げて、ユーザーとプロダクトの関わり方についての解像度を上げよう。

3. プロダクトを纏う不確実さと向き合う

未来のチャンスやリスクを正確に見通し、着手すべき課題の優先度を適切につけて、効率よくプロダクトを作りたい。後戻りは面倒だから。
しかし、プロダクトを取り巻く環境は常に変化している。技術の進歩、競合の参入、法制度の変更、ウイルス感染の流行、今日までの当たり前が明日には失われているかもしれない。完璧を求めず、不確実さを抱えながら着実に歩みを進めていこう。

✓ 昨日よりも前進しているか
広木大地さんは著書『エンジニアリング組織論への招待』の中で「不確実さの要因は情報不足にある」と言っている。情報収集のために行動を起こし、得られた情報を元に仮説を立ててまた行動を起こすように、不確実性と向き合う上では仮説構築と検証のサイクルを回して学びを獲得することが確実な歩みとなる。過去を振り返ってみても、迷っているときに行動を起こした場合に事態が好転することが多かった。思考と行動のバランスを意図的に調整して学びを加速させよう。

✓ 脳みそをむき出しにしているか
自分のアタマだけを使って情報収集や成果物を生み出し、合意形成のタイミングでドーン情報共有や成果物を提示した結果、ツッコミが入るということを幾度も経験してきた。
「最後にドーン」が良くないのは、小出しの情報共有がないので、受け手として情報の咀嚼にコストがかかること。また、多角的な視点からの軌道修正が働いていないので成果物の品質も低い。
チームで働く場合、周囲には自分が持ち得ない経験や専門知識に基づく視点を持っている人がいる。故に、単なる共有目的ではなく、他人の脳みそを借りる気持ちで情報や成果物をオープンにすることの恩恵は計り知れない。仮に不完全なレベルであってもまず共有して、ともにアップデートしていく。意識的に組織・チームと自分の脳みそを同期させることで、不確実な未来に対する打ち手を広げる。

4. 共にプロダクトを作るチームと向き合う

自分1人でできることは限られている。チームの助けを借りないと大きなことは成せない。そんな中、自分は何ができるのか。逆に何をしないのか。情報はオープンに共有し、チームのメンバーの思考に寄り添う。そうでなければ、お互いに背中を預けてプロダクトのために戦う事ができないじゃない。
Goodpatchが掲げる『偉大なプロダクトは、偉大なチームから生まれる。』という言葉が染みる。

✓ チームで焚き火を囲えているか
なんとなくチームの雰囲気が良くない、議論していても話が噛み合わない。意図せず、自分と相手は異なる情報・考え方を持っているという当然の事実を無視して意思疎通を図ろうとして失敗することがある。
相手の仕事上のミッションはなにか。どんな価値を大切にしているのか。何が得意で何を得意じゃないとおもっているのか。どんなコミュニケーションのとり方を好むのか。もし先のような問題が発生しているなら、チームの中でこれらについての認識を相互に深めるための行動が日常的に取れているか見直そう。ドラッカーエクササイズはまさしくそれ。「焚き火」の詳細は焚火理論から。

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日々うまく進められないことも多いですが、今日の学びを糧に明日も来年も生き抜きます。

この記事は、サービスやコトをデザインするデザイナーを中心としたコミュニティInHouseDesignersのアドベントカレンダーに参加しています。
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