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母乳希望なのに、どうして当たり前にミルク・哺乳瓶を使うんだろう?

厚生労働省の調査によると、日本のほとんどの女性が「母乳で育てたい」と考えています。

…にも関わらず、母乳育児をめぐって困る親子はとても多いです。

・母乳が十分出ない
・授乳すると乳首が痛くてしょうがない
・赤ちゃんが哺乳瓶の飲み方に慣れてしまって(乳頭混乱)、授乳しようとするとのけぞって泣いてしまう

などなど、様々なお困りごとがあります。

こうしてお困りごとを文章にしてしまうのはとても簡単ですが、当事者である母子にとってはものすごく深刻な問題になっていることも珍しくなく、産後の不安定な精神状態に結びついていることもよくあります。

そんなに母乳育児はハードルが高い、難しいものなのでしょうか。
お母さんの努力や工夫が足りないから母乳育児がうまくいかないのでしょうか。

そうではないと、私は思います。
ほとんどのお母さんが、ベストを尽くそうと、血のにじむような努力を毎日毎日されています。
それに、母乳育児は、痛くも辛くもないラクチンなものです。最初から真っ当な支援があれば。

母乳育児を難しくしている大きな要因は、

①母乳育児支援が十分ではないこと
②「やっているつもり」の母乳育児支援が珍しくないこと
③医学的に必要のない・お母さんからの同意や希望のないミルクが当たり前にたくさん使われていること

だと思います。

こんなにお母さんを、赤ちゃんを、ご家族を、苦しめることのある問題なのに、なぜ母乳育児支援は十分に適切に行われないのか。

なぜお母さんの同意なく、同意を取る必要があると判断されないまま、ミルクや哺乳瓶を使用するのか。

なぜ、「我が子を母乳で育てたい」という哺乳類として当たり前の希望を叶えることが、こんなにも大変なのか。

これは、個人の問題や努力不足なのではなく、社会の問題です。

病院やスタッフの問題でもあるけれど、突き詰めると、本当は社会問題なのです。

何が母乳育児をそんなに阻んでいるのか、助産師である私なりの考察を5つのポイントでまとめます。

要因①:医学過程・助産過程・看護過程の教育カリキュラムに母乳育児支援の内容が含まれていない

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