まさか4歳児に手加減されていたとはね
4歳の長女を散髪に連れて行った。
長女は自閉症で、慣れていない環境に来ると暴れたり泣き出したりしてしまう。そういう事情を察して、妻が通っている美容院さんが貸し切り状態にして切ってくれているのだ。本当にいつも助けていただいている。
そして散髪が始まる。ここからが「大仕事」となる。
暴れる長女が動かないようにおさえるのだが、4歳にもなるとそのパワーはすごい。ぼくが体を押さえ、妻が頭を押さえ、美容師さんが足を押さえ、そしてもう1人の美容師さんが髪を切る。4人がかりのカットとなるのだ。
泣き声が響き渡る様はまさに地獄絵図で、ケープをつけることもできないため、子もぼくも毎回髪の毛だらけ、汗まみれでヘトヘトになるのがいつものパターンとなっている。
しかし最近、ある変化があった。
美容師さんによると、長女は散髪が必要なことだとわかっているのではないか。それゆえ、全力で暴れているのではなく、彼女なりに耐えているのを感じる……と。
そういえばカットの直前、長女が泣きべそをかきながら「チョキチョキ」や「かわいいかわいい」と言っていたこともあり、今から何が起こって、どうなるのかをわかっている節があった。
長女は全力を出していない。
手加減していたのだ。
今でもギリギリ抑え込んでいる状態なのに、もし全力を出したらどうなってしまうのだろう。
4人とも吹き飛んでしまうのではないか。
壁にめり込み気を失う大人4名。その中心では、黄金のオーラを纏った4歳児が宙に浮いている。
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