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<フットボールとアメリカ文化の一考察~アメフトの魅力と人気とは~>

私たちは常日頃から、様々なアメリカの文化に親しんでいますよね。

まずはアメリカ音楽。
ブルースやジャズから発展し、ロックンロールやアメリカンポップスなどの音楽は、数多くのヒット曲と共に、当然の如く日本のミュージックシーンに多大な影響を与えています。

さらにハリウッド映画産業による娯楽超大作の数々。
話題のスターウォーズ最新作はもとより、最近ではマーベル・DCスタジオからの目を丸くするエンタメ大作もお好きな方は非常に多いですね。

そしてスポーツ。
スポーツ文化大国であるアメリカには、いまや日本人も多く在籍するメジャーリーグ野球(MLB)がありますし、オリンピックではドリームチームと評されるバスケットボール(NBA)や、アイスホッケー(NHL)も数多くのファンがいます。

しかし米国内の商業スポーツ分野で『圧倒的な人気と売り上げ』で群を抜いているのが、実はアメリカンフットボール、いわゆるアメフトのプロリーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」なのです。

「NFLとは?」

NFLは1920年に創立され、リーグの改編や合併が行われつつ、2018年現在、全米に32のチームが所属しています。リーグはAFCとNFCという二つのカンファレンス(競技連盟)に分かれています。日本のプロ野球で言うセ・リーグ、パ・リーグのような感じですね。

毎年9月からレギュラーシーズンが始まり、各チーム16試合が行われ、勝率の良いチームがポストシーズン、いわゆるプレイオフに12チーム進出します。そこから負けたら終わりのトーナメントが始まり、各カンファレンスで勝ち残った2チームにより、2月一週の日曜日に「スーパーボウル」が開催される仕組みです。

NFLのリーグ優勝決定戦であるスーパーボウルは、毎年米国のテレビ番組で年間最高視聴率を記録しており、20年以上連続で40%オーバーです。
さらにアメリカのテレビ史上の視聴者数ランキングで歴代トップ10をほぼ独占しており、視聴者数は毎年増加傾向、最近では全米で1億5000万人を超えているのです。
しかもスーパーボウルだけが特別な訳ではなく、毎週行われるレギュラーシーズンの試合も全米全体で1億人以上が観戦しています。

全米の祭典であるスーパーボウル当日に、米国内に居た日本人の感想は大体同じです。
曰く「街に人が居ない」「ほとんどの店が閉まっている」「たまに見かける車はスーパーボウル観戦中に届けるピザの配達人くらい笑」

もちろん日本でも年一回行われる、その年の頂点チームを決めるスーパーボウルは生中継されます。そして、毎年様々なミュージシャンが登場するハーフタイムショーを楽しみにしている音楽ファンもいますね。

ただ日本では試合内容より、ハーフタイムショーの歴代出演者や、国歌斉唱の歌手やステージ上のネタ(ジャネットジャクソンのポロリとか笑)の方が話題になる事が多いですね。
スーパーボウルやその前哨戦であるプレイオフの試合結果に一喜一憂する方、試合内容に言及する方には、なかなかお会いできません。

「アメフト、日本では?」

ただ日本国内でもアメフトをお好きな方は一定数います。限られてはいますが高校や大学にはアメフトチームがありますし、社会人(企業)チームも多く存在します。毎年ジャパンXボウルやライスボウルなど国内優勝戦が開催されていますし、TV中継もしています。

さらに、実は日本は1999年に初開催され、6ヵ国が参加した「アメリカンフットボール・ワールドカップ」で優勝、第2回大会(2003年)でも日本代表は優勝し、その大会に二連覇しているのです。ほとんど知られていませんが、なかなか凄い事ですよね。ただし、それまでは米国代表は不参加だったのですが・・笑。

とにかく日本ではアメフト・NFLはアメリカの音楽や映画、他のスポーツに比べると知名度が低いですし、ファン数も控えめなのです。

日本人には野球・サッカー好きはごまんといますし、ヨーロッパサッカーやメジャーリーグやNBAもTVニュースなどで話題に上る事も多いですよね。

そんな中でアメフトのプロリーグであるNFLの話題は、さほど一般的とは言えません。もちろん目指している方は居るのですが、日本人レギュラー選手が未だ居ないって事も大きい理由だと思います。

どうせ他国のスポーツでしょ?って言うには無理があります。野球やサッカーも元は他国のスポーツですよね笑。
アメリカでしか人気が無いスポーツでしょ?って声も良く聞かれますね。確かにその通り。アマチュア含めたアメフトのチームがある国は、日本やイタリア・ドイツなど十数か国に留まるでしょう。

「なぜ全米でアメリカンフットボールはそんなに人気があるのか?」

残念ながら世界ではそこまで人気はないアメフトですが、筆者にはアメリカ文化を知るうえでも「米国人の圧倒的なフットボール人気」は「アメリカ合衆国」にとって重要で特別な価値観を持ち、分析するべき深い要素が含まれていると思えて仕方ありません。

まずアメフトというスポーツの発展・育成の経緯、及びプロリーグであるNFLの運営の巧みさがあります。高度なマーケティング戦略を含め、ようやく100年を過ぎたアメフトの歴史の中でも、人気を保ち更に高めていく仕組みや仕掛けが、いくつも散りばめられているのです。

「米国民とアメフトの絆」

全米の子供たちは物心ついた時から、親と一緒にTVなどでアメフトを観戦し、その華麗なプレイに目を奪われます。近くの学校では大抵グラウンドでアメフトの練習をしていて、カッコいいユニフォームやヘルメットにあこがれを抱きます。どんな田舎でもアメフトのチームがあり、町ぐるみで近隣の高校や大学の試合を応援し、スタジアムに出向きます。NFLのチームがある町などは、ホームゲームがある日は通りから人が消えます。

そんな感じですから幼少時から運動神経の高い少年たちは、まず当然のようにアメフトを始めるのです。夢はNFLのプロ選手です。選手にならない子供たちも、男女問わず一生涯アメフトのファンです。女の子ではチアガールを目指すって方も相当数いますね。

「フットボールをやりたいなら、まず勉強しなさい」親たちはきっとそう言うでしょう。アメフトには知力が必須です。

ハイスクールに上がるころには、アメフトを続けてきた全米の数十万人の少年たちは、ルールはもとより基本的な戦略・戦術は頭に入っており、ポジションもある程度限定されて来ます。

高校を経て、大学に入ればカレッジフットボールのチームで活躍します。ただし成績も優秀でなければチームには残れません。カレッジの選手に選ばれる事は相当な栄誉です。目指す大学に入るためにフットボールをやる高校生は必死で勉強するのです。

全米でのスポーツ人気調査で、一位は不動のNFLですが、二位がMLBでなんと三位にカレッジフットボールが入っています。

全米でアメフトチームを持っている大学は600校と言われています。その大学チームが毎年全米一位を決めるのは困難で、様々なボウルゲームが存在していますが、その仕組みは複雑すぎて、ここでは省略します。

しかし各大学の名勝負の歴史を刻みこみ、地域に根付いたファンの応援や入れ込み具合は、日本の春夏の高校野球を遥かに凌駕するスケールです。

カレッジフットボールの名門大学は数多くありますが、小さな地方の大学からも逸材の選手が発見される事もしばしばです。1チーム100人として単純計算で6万人の選手が存在するわけですから、スカウティングは膨大な作業量ですよね。

驚くべき事に、大きな名門大学の幾つかは10万人収容規模のスタジアムを持っており、通常の大学同士の試合で超満員になるのです。そのスタジアムはNFLでも使用されたりします。地域と連携・密着した巨大なカレッジフットボールのファン層とマーケットが、全米を覆って存在するのです。

*写真は大学に常設されたスタジアム。大きさに圧倒されます。

そうやって十数年もアメフトを続けてきて大活躍した優秀な選手は少年から青年になり、大学4年時にドラフトでNFLのチームから指名されます。指名される選手の事前調査は緻密を極めます。試合や学校での成績はもとより校内やプライベートでの素行、人格など調査は多岐に渡るのです。NFLドラフトの内幕を描いた映画「ドラフトデイ」は傑作です。

指名時の最高額の契約金は日本円で30億円を上回ります。平均でも10億円前後でしょうか。年俸は平均3億円。NFL選手を輩出した家族は地方でも有名になります。そうなればどんな貧乏な家庭でも一家安泰ですね笑。

そして最優秀な選ばれた選手たちがNFL各チームに入団します。リーグ全体でも登録される選手は2000人ほどです。どれだけの狭き門なのか想像できますよね?

彼らは期待にたがわず入念な準備・練習の上、緻密な作戦プランを練って、試合中状況によって選択を繰り返し、それでも一瞬のひらめきやプレイで結果が変わるアメフトというスポーツを繰り広げ、多くのファンを魅了するのです。

いかにTV視聴者やスタジアム観客を楽しませ、熱狂させるかを考え抜き、リーグの売り上げや動員数を伸ばす戦略。その規模に見合った選手やコーチたちの超高額な報酬額。現役を10年続けたら、その収入総額は4~50億円を超えるでしょう。まさにアメリカンドリームなのです。

ちなみにNFLのHC(ヘッドコーチ)の平均年俸は約5億円です。選手の倍近く貰ってる訳ですね。ここでもチームスポーツに対するアメリカ人の考え方が垣間見えますね。NFLのヘッドコーチの社会的地位は、著名な大学教授や政治家以上なのです。

とはいえ選手やコーチ陣は成績が悪いと、例えシーズン中であっても即座に解雇されます。さらに移籍や再雇用も頻繁に行われます。先週までチームメイトだった選手が、翌週には対戦相手の敵のチームとして戦う事もしばしばあります。合理的で理知的ではありますが、完全な競争社会なのです。

なんだか筆者にはアメフト=NFLにアメリカ文化が凝縮し、具現化されている気がします。アメリカ人の気質に合うように、アメフトの在り方が時間をかけて作り変えられてきたとも言えるかも知れません。

*NFL各チームのフランチャイズ地域の地図

以下アメフトの持つ、他のアメリカ文化との共通点や関連性を、筆者の思い付くまま書いていきます。あくまで思い込みなのでご容赦ください。

「音楽とアメフトの類似点」

アメリカの音楽は英国やヨーロッパの移民をルーツとするカントリー系ミュージックと、アフリカから連れて来られた黒人の音楽であるブルースやゴスペルが発展し、融合し、その後ジャズやロックンロールなどに変化・進歩してきた経緯があります。

19世紀半ば英国のフットボール(米語ではサッカー)と、そこから分かれて育ったラグビーがアメリカに伝わり、それぞれ融合しつつ、主に各地の大学で競技者人口が増えて行きました。その流れの中でラグビータイプのアメリカ独自のルールが出来上がって来ました。そのゲームタイプが人気となり徐々にアメリカンフットボールの原点となる形式が発展していきました。

画期的な事のひとつが「スクリメージ」の概念です。ラグビーの「スクラム」から変化し、プレイが始まるボールの位置をライン上に明確化したのです。

そして最も重要な転換点があります。それは「スクリメージライン」に並ぶ発明とさえ思えるのですが、1906年、ラグビーでは許されない「フォワードパス」がアメリカのフットボールで初めて認められたのです。前方にパスが出来る「フォワードパス」により、その後アメフトのゲーム性にスピード感を伴う多大な変化と進歩をもたらしました。

それは故チャック・ベリーがブルースをアップテンポ化する事でロックンロールを発明し、以降の音楽の進歩を急速にスピードアップした事実となんだか似ていると思えるのです。

「映画とアメフトの類似点」

アメリカ映画と言えば人気なのが徹底的な娯楽作品です。とにかく魅せる事に特化しています。予算を掛けまくった目を見張るCG映像と、チームで練り上げる脚本で観客を驚かせるスリリングな展開。理屈など抜きで楽しめる作品の数々は、ヒットすると即座にシリーズ化し、柳の下に何匹もドジョウを飼っているかのようです笑。

アメフトも魅せるスポーツとして発展してきました。TV放送でのデータ解析や過去との比較や出来事が、随時映像として挿入され、よくまあそんな記録が・・と驚きます。またスタジアムの快適さや、試合中・試合前後のショーアップ仕掛けの数々も半端ないのです。それこそハーフタイムショーの華麗なステージを見れば判りますよね?

さらにNFLではどんな試合だろうが最低でも4~5回はスーパープレイ、いわゆるビッグプレイが飛び出します。

なぜレシーバーが不規則な動きで敵陣に走り込んで、振り向いた瞬間にボールが飛んでくるのか?
なぜボールを受け取って走る役目のランニングバックがボールを受け取るふりをして移動し、いつの間にかパスを受け、敵のタックルをかわして、時には引きずってタッチダウンまで繋げるのか?
なぜタイトエンドという中途半端なポジションの選手が、オフェンスラインと一体になりガードをしていたはずが、するすると前進しパスを受けファーストダウンを更新できるのか?
なぜ屈強なラインメンにしっかりと守られ、その内側でパスを投げようと後ろに下がったクォータバックに、どこからか現われたデフェンダーが見事なタックルをして倒せるのか?
このような攻守ともに相手の裏を掻き、考え抜かれたプランと卓越した技術による1プレイが観客を魅了します。

そんなプレイを一瞬も逃さず克明に撮影するTVクルーも見事です。スタジアムには20台以上のTVカメラが配置され、重要なプレイは3~4方向からの視点で、即座にTV放送と現地での巨大スクリーンにリプレイされます。そのリプレイを見てコーチがチャレンジして、オフィシャルレヴューをした審判の判定が覆る事も度々起こります。

味方のビッグプレイが決まった瞬間は観客は総立ち。拍手喝采、やんやの声援を送ります。映画と同じように観客を楽しませるためにも、ラストクオーター、残り時間ギリギリでの逆転劇などしょっちゅうです。
アメフトの試合は3時間近くの超娯楽大作なのです。

「戦争とアメフトの類似点」

反論も承知で書きますが、良くも悪くも「戦争」はアメリカの文化です。国の成り立ちからがそもそも独立戦争ですから、アメリカ人の意識には戦争で戦って自由や権利を勝ち取るという意識が、建国当時から根付いています。

当然「戦争」に勝つためには、高度な戦略と戦術、綿密な準備、最新で効果的な技術、臨機応変に対応できる知性、研ぎ澄まされた兵士の肉体が必要になります。これらは全てアメフトにも当てはまります。

アメフトが「疑似戦争」であるとは、あちこちでよく言われています。
ラン攻撃における短距離砲や突撃部隊との比喩、パス攻撃における長距離砲やミサイルとの比喩、状況に即応して攻撃陣をコントロールするクオーターバックは戦場での司令塔。無線で指示を出す司令官や作戦本部は、ヘッドコーチや攻撃・守備のコーディネーターとなります。

戦争で重要な事は、陣地の確保です。アメフトも言ってみれば10ヤードごとの前進を繰り返し、陣地を奪う陣取りゲームです。

アメリカの兵士は無線装置を内蔵したヘルメットを被り、司令官からの連絡を常時取り続けて作戦行動を行います。アメフトの選手も攻撃陣・守備陣に各一人ずつですが、コーチからの無線を聞く事が許されています。勝利するための作戦や情報を、リアルタイムで選手や兵士に伝達する事が有効であると考える共通項です。

「政治・経済とアメフトの関係」

20世紀初頭、人気が高まっていたアメフトの闘争性が裏目に出て、試合中に死亡者が出る事態が頻発しました。そのため当時の米国大統領セオドア・ルーズベルトがルールによる健全化を要求し、より安全でクリーンなアメフトを目指すようになります。スポーツに政治が介入した初めてに近い出来事ですね。その当時は米国議会で廃止論も議論されたほどです。その後もルールは安全性の確保と試合を面白くするためにも度々改訂し、現在のルールに近づいて行きます。

選手がより安全な競技として行われるよう、ヘルメットなど防具類も充実していきました。危険だからとハードなコンタクトを規制するより、選手の安全を確保するためのプロテクターを全身に装着した上で、ハードタックルを認めるという文化なのです。
他に頭にヘルメットを被って人とコンタクトするスポーツなど、フェンシングか剣道くらいでしょうか?あ、アイスホッケーがありますね。
アメリカ人の子供は、安全性はもちろんですが、視野と重さに慣れるため小学生くらいからヘルメットを被ってアメフトを練習しているのです。

ただしアメフト競技の「負」の部分も近年問題になっています。長年のハードコンタクトの結果、選手に深刻な障害が残る事が判明しています。2000年代、頭部へのダメージと脳震盪、障害が影響しているかどうかについて、アメリカ連邦政府は、NFLに対して調査を開始しました。NFL関係者は何度も裁判で叩かれました。最終的に連邦議会はNFLに改善命令を出し、NFLは脳震盪への影響を軽減する方向で落ち着いたのです。
この問題は「コンカッション」という映画にもなりました。

さて米国内のNFLの経済効果も想像を絶します。NFLのレギュラーシーズンは全256試合ありますが、5万人から8万人が入る各スタジアムでの試合は全てチケット完売です。転売も許されていますので、人気のあるチーム同士の試合はチケット価格が吊り上がります。その他、駐車料金や飲食・グッズ売上などフランチャイズを持つ都市・スタジアムのある町の経済効果は、計り知れません。

チケット完売の理由は「試合開始72時間(3日)前までにチケットが完売できない場合、スタジアムから75マイル(約120km)以内のエリアでは試合が放送されない」という物凄いルールがあるからなのです。そりゃ近隣の方々はスタジアムに行きますよね。でももうそんなルールは必要ないかも知れません。人気のあるチームのシーズンチケットを定価で買うには「10年待ち」らしいですから笑。

レギュラーシーズンのTV放送権料は日本円で年間350億円です。これも凄い数字ですが、スーパーボウル放映中の企業CM放送料の価格も話題です。毎年、CM料金は高騰し、2016年は30秒スポットで6億円と言われています。スーパーボウル1試合でのCM放送収入は300億円を超えるのです。

NFLのチケット収入・TV放映権料・グッズ売上・スポンサー収入などの年間総売り上げは、なんと1兆5000億円を超えています。これは世界中のどんなスポーツリーグ組織より圧倒的に上回っています。小さな国の国家予算を超えているかもですね。

「NFLの文化理念」

NFLは「スポーツの魅力とは最高のレベルで戦力の均衡したチームが繰り広げる競争状態である」という理念を持っています。
それゆえ、リーグやチーム運営に、均衡化に関わる重要な取り決めが厳格に行われているのです。

最重要なのが以下の三点。
1)レベニュー・シェアリング
TV放映権料や試合のチケット収入などを、全チームに均等に分配する仕組み。
2)ドラフト制度(ウエーバー方式)
前年度の成績の悪いチームから、有望な新人選手を指名して戦力強化できる仕組み。またチーム間で指名権の取引も可能。
3)サラリーキャップ
選手に払う年俸総額に上限と下限を付け、選手とチームの経済状況がより均等に保たれる仕組み。

その他レギュラーシーズンの対戦相手も、前年度の成績によって割り振られて均衡化を計ったり、シーズンの試合内容や大学の新人選手の映像なども全てNFLが管理し、全チームに平等に共有されるのです。

ドラフト指名された選手も、日本のプロ野球のようにゴネたり、逆指名したりなどしません。NFL各チームは人気の高低はあるにせよ、どんなチームも米国民から支持されリスペクトの対象です。どのチームも潤沢な資金を持っており、設備も充実してますし、選手一人ひとりが良い成績を残すことが可能だからです。NFLのドラフト指名選手はヒーローそのものです。どんなチームから指名されようとも断る事など有り得ません。もちろん4年後のフリーエージェント(FA)移籍も認められています。

その様な施策の結果、これまで51年間スーパーボウルが行われていますが、2連覇したチームは32チーム中6チームだけ。3連覇したチームは未だかつて無いのです。

とはいえ、子供の頃からルールや戦術を熟知しているアメリカ人と比べ、日本人にはアメフトのそもそもの得点に向かうルールが複雑で、かなり判りづらい反則ジャッジがいくつも有ります。さらに1プレイ毎に止まるのでサッカーファンなどには違和感があるでしょう。また1プレイごとの選手の動きが全て意味を持つ故に、どこを見れば良いのか判らないなど、観戦するハードルが高いのは事実です。

こちらに個人のブログでアメフト・NFLの魅力や判りやすいルール説明、よく出る反則などを解説したページがあります。アメフト愛が詰まった非常に良く出来たサイトですので、ご興味のある方は。

長々とアメフトの魅力と人気の理由を、アメリカの文化と比較しつつ書き綴ってきました。内容も稚拙で乱文乱筆申し訳ありません。

筆者は70年代末期からNFLをTVで知り、はまり込みました。時間が無くて観てない時期もありましたが、最近NFLのチームに1年間の密着取材をしたドキュメンタリーを観て、またその面白さと理由を再認識しています。

サッカーやオリンピックの試合などスポーツ観戦はそれぞれに魅力がありますが、アメフト、特にNFLは知れば知るほど、「観て楽しむ」には最高の競技だと感じています。
まずは2月4日(日本時間2/5月、朝8時半キックオフ)の第52回スーパーボウルから、その面白さを体験してみては如何でしょうか?

長文お読みいただき、ありがとうございました。
この稿終わり。

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