②菅田将暉似のファミマ店員にひとめぼれのちアタックしまくって付き合えたことある。(承)

①の続きです。まだの人はぜひ。

【あらすじ】ダイエット成功して、やっと菅田将暉似の店員(以後、菅田将暉)に話しかけられるようになったが、なかなか連絡先が聞けずもう諦めようとしたそのとき。神はわたしに微笑んだ。

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連絡先諦めムード漂うなか、いつの間にか東京は梅雨入りしていて、その日は夕方から雨が降っていた。傘を持たずに出勤したわたしは全身ずぶ濡れで帰宅することになり、さすがにこれではファミマに寄れないと思いおとなしく家に帰った。風呂から出て日課の本も読み終わり暇をもて余したわたしは、シャンプーがそろそろなくなりそうなことを思い出し近くのドラッグストアに買いにいくことにした。傘をささなくてもいいくらいには雨は落ちついていたが、風呂あがりなので一応さしていくことにした。

シャンプーを買いドラッグストアを出ようと傘をさした瞬間、「あっ!」という声が聞こえた。反射的に声のした方をみると、ロードバイクにまたがった菅田将暉がわたしを見ていた。「えーーーーーー!!!」驚きと喜びで絶叫した。話をきくとどうやら菅田将暉は早めに仕事をあがって帰宅するとこのようだった。菅田将暉が傘を持っていないのに気付き、「傘!入れていくんで!近くまで送ります!」とダメ元で申し込んだ。遠慮されるだろうと思ったが意外にも「じゃあ俺んちこの辺なんでお願いしちゃおっかな」と相変わらずの笑顔であっさり応えてくれた。

短い時間だったが道中お互い色んなことを話した。下の名前が似てることや、お互いの家が実は近かったこと、好きなバンドが1つだけだけどかぶっていてすごく盛り上がった。だから自然と連絡先を聞くことができた。宝物みたいな時間だった。

次の日、仕事が休みだったので家で過ごしているとスマホに通知が来た。「今なにしてるの」。菅田将暉だ。嬉しさに駆け引きも忘れて秒で返信する。「休みだからダラダラしてた!」「暇ならランチいかない?」「いく!」もう死んでもいいと思った。

電車を乗り継いで、菅田将暉が恵比寿のイタリアンレストランに連れてってくれた。パスタとピザをひとつずつ頼み分けっこした。そのあと少し散歩してカフェでお喋りした。菅田将暉はわたしより3才年下だったが、お喋りが上手で色んなことを知っていて少し背伸びした大人の振る舞いがすごくかわいらしかった。帰るころには、わたしの中の漠然とした憧れがはっきりと輪郭をもちこの人が大好きだと改めて確信した。だから、「好きなんだけど。」と考えるよりも先に口からついて出たのもためらわなかった。菅田将暉は一瞬驚いたような顔をしてしばらく何かを考えたあと、何も言わずに手を繋いでくれた。風情のかけらもないわたしが「これはどういうこと?」と聞くと、「まあちょっと待っててよ」とまたあの笑顔である。答えをはぐらかされた形にはなったが、不思議といやな気持ちはなかった。その日はお互い笑顔でそれぞれの家に帰った。

それからも連絡を取り合い、菅田将暉の仕事が終わったあと待ち合わせをして、二人で近所を小一時間ほど散歩するのが日課になった。夜はまだ肌寒く、ある日薄着で凍えるわたしに気づいた菅田将暉が、自分の羽織っていたパーカーをさらりとわたしにかけ、「おまえが寒いときのために着てきたから羽織ってな」と言った。人生で初めてのお姫様のような扱いに舞い上がった。菅田将暉は他にもこういうキザなことを自然にやる男でわたしはどんどん惹かれていき、返事がもらえないのもお構い無しでずっと「大好き」だと言葉の火の玉ストレートをぶちこんでいた。菅田将暉は何も言わずに笑っていた。どんな夜でもそこだけはやっぱり太陽で、わたしの聖域だった。

そんな夢のような毎日を送っていたある夜、わたしと菅田将暉は河川敷に来ていた。

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再び次回に続きます。

残りあと2話。



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