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熱と氷

私は睨み、走り、そして越えた。
響く熱狂、残る残響、明日には無い今日。
そこにある今日というものにしがみついて生きてきた。その経験を四肢に伝える。それぞれの一刹那ごとに伝えた経験を力として放出する。
風が味方する。地面が味方する。太陽が味方する。
天候も、無機物も、恒星も、全部自分のものだ。
だけど、本当は仲間なんていない。自分でさえも敵だ。全てを押し切る。それはもう競争ですらない境地だ。その境地を越えて狂乱する理想郷に今日までの状況に驚嘆という雷響を鳴らす。そう決めたんだ。

ゴール

その音が脳内に痛いほど響いた。
目の辺りがこれまで感じたことがないほど熱い。熱いのに冷たい一筋の水滴が頬を止められないほど伝う。
結果なんてもうどうでもよかった。結果がすべてだけど、結果なんて。
敵であったはずの仲間と出会えたこの軌跡をこれでもかと噛み締めたこの瞬間に喜びを感じたんだ。
私は帰宅部だ。
そんな事実もどうでもよかった。
敵であったはずの仲間と出会えたこの軌跡をこれでもかと噛み締めたこの瞬間に喜びを感じたんだ。
そこにある今日というものにしがみついて生きてきた。そんな過去を走馬灯のように思い出す。別に死ぬわけでもないのに。やっぱりこれが最後だって認識しているのかな。

私は鍵を開ける。常套句を嘯く。荷物を置く。
あと、YouTubeを見て寝る。

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