生きる職場〜小さなエビ工場の人を縛らない働き方

 

生きる職場〜小さなエビ工場の人を縛らない働き方』 

「出勤・退職時間は自由」「嫌いな作業はやらなくてよい」など、非常識とも

思える数々の取り組みを試行錯誤を重ねながら、なんだかすごいことを

平然とやってのける会社。それがこの本の著者・武藤北斗さんが工場長として

働く「パプアニューギニア海産」という会社です。

↓の文章に共感できるなら、この本を読む価値があるかもしれません。


”仕事において効率は重要なことだと感じています。特にうちのような中小企業では、その重要性はさらに大きなものです。その一方で、「人を管理すること」もっと言えば「人を縛るような働き方を従業員に強いること」が本当の意味での効率に繋がっていないのではなかと思うようになったのです。”


働きやすい職場の実現を最優先に考えて導入した「フリースケジュール」と

「嫌いな作業はやらなくてよい」という制度。一見めちゃくちゃな働き方

ですが、離職率の低下、商品品質の工場、生産効率の上昇、そして人件費減少

や従業員の意識改革と次々に結果を出していきます。

もちろん最初から著者がフリースケジュールを導入できたわけではなく、

かつては管理型のマネジメントをゴリゴリこなしていました。

「誰かが悪役になる必要がある」ということを、自らに言い聞かせ続け口

うるさく管理していたそうです。

では、何が彼を変えたのか?信頼関係を作れていたと思っていた前工場長が

辞めてから、腹をくくります。

そこでやったことは、パートさん一人一人と話すことから始めること。それで

パートさん同士のいざこざや争いが絶えないこと、そしてパートさんから

全く信頼されてないこと、何よりもパートさんが誰も会社のことを好きでは

ないことに気づいたそうです。

一人ひとりの話を聞くことから始めるのは、誰でもできる。そういう意味で

フリースケジュールや、嫌いな仕事をしないという一見破天荒なルールも、

当たり前の事を積み重ねた結果です。

だから、すごいことをしているように見えても、読んでいて自分たちでも

できるかも?と思わせてくれるのが、この本の良いところ。

会社の風土を変えるにあたって最初にしたことは

「従業員同士の悪口を言わない」「挨拶を大きな声でする」「時間を守る」の3点。

要するに人としての基本を改めて確認して、従業員を信じることから始めたのです。

大企業で働いている人はなんてレベルの低い話なんだと思うかもしれません。

または、だったら辞めさせればいいと思うかもしれません。ですが地方で人を

採用することは都内と違いものすごく大変です。そしてどんなに優秀な人材を

採用できたとしても、組織の風土が悪ければ、すぐに辞めてしまいます。


僕がこの本を一番最初に選んだのは、弊社と共通する考え方があったから

です。体を作る食べものをまっとうに作ること。現在スーパーで

売られているエビの多くは、エビを大きく見せるためにあれやこれやと

手を加えたり(調整剤を入れる)、食べる人がよくわからない薬品や添加物

の名前がパッケージの原材料欄に羅列されているそうです。

だから、パプアニューギニア工場では色を鮮やかにしようとか、とにかく安く

しようとか、見せかけのことはせず、エビフライの原料は「エビ」「小麦粉」

「パン粉」「水」の4種類だけ。そしてその原料も、自分たちの

理念にもあった原料を提供してくれる会社や農家さんからだけ仕入ること。

そして、海産物を扱っている会社が海を汚すようなことをしてはいけないと

考え、工場内の全ての洗浄を無添加石鹸を使用しています。

フェアトレードのような事も先代の1980年代から実施しているとか。

ここに書いてあることは持続可能な社会を実現するためには至極当たり前の事

ですが、当たり前の事を続けていくことが難しい。でも読み終わったときに、

このエビを食べてみたくなって、著者に話を聞いてみたくなりました。

そして偶然にも!?弊社が大変お世話になっている鎌倉投信新井さんの最新刊

『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』と同じ出版社・同じ編集者の

方が作った本のようです。










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