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製造業はこれからが正念場

先日、緊急事態宣言がおよそ1ヶ月半ぶりに解除された。弊社でも東京で働く社員はもちろん、愛媛県今治市の本社工場でも段階的にテレワークを導入した。

今の所リモートによる大きな問題はなく、何事もなかったかのように元の生活に戻るかのように見える。だが、弊社のような製造業・特に中小企業は、今回のコロナの影響は今後も受け続けると思っている。

私たちの主体となる事業は製造業で、BtoB、特にOEMと呼ばれる取引先のブランドに商品を供給する事業と、自社ブランドの商品を製造・店舗やネット通販などで販売するBtoC事業と、大きく分けて2つにわかれる。

コロナの影響で大幅なマイナスとなったのは、BtoB事業だ。コロナ以前はインバウンド需要で売上が伸びていたホテル向けの卸販売は、ピタリと注文が止まった。OEMは取引先の多くが商業施設に入っていることもあり、多くが4月以降休業となった。

それでも、3.4月はBtoB事業は思っていたほど影響を受けなかったが、明確な理由がある。OEMは大量の商品供給が基本なので、約1年前から綿密な生産計画を立て、それに基づき製造をする。コロナの影響がで始めた3月時点ではすでに数ヶ月先に納品する商品を製造していた。

裏を返せば本当に厳しくなるのは夏以降だ。弊社の場合は、現時点でOEMの7,8月の発注は、かなり厳しい予測となっている。もし、このまま減った分の売上を回復できないとすると、企業の存続に関わる可能性も出てくる。

コロナでは飲食店や宿泊施設が最初に影響を受けたが、製造業・特に中小企業は、緊急事態宣言が解除をされ、経済活動が元に戻り始める今からが、本当の試練となる。

もっとも、ただ指をくわえて見ているわけにはいかない。今回のコロナショックも、企業にとっては大きな転換点となるが、どんな事業であろうと、ドラッカー氏の「事業の目的は顧客の創造である」という言葉は危機に直面した時こそ、振り返るべきだと思っている。

弊社であれば、顧客の創造をするために、直営店舗では休業した店舗スタッフが、オンライン接客を開始した。これまで地域の顧客が中心だったのが、全国各地からオンライン上で体験をしたいという方が増えている。

今後はオンラインの工場見学を実施し、顧客と職人をつなぐイベントを開催する事で、これまで届かなかった顧客にまで届けるつもりだ。また、工場から直接、モノづくりの背景や作られる場所を配信することで、より直接的に顧客と繋がる事は大きな可能性を感じている。

日本のGDPに占める製造業の割合は約20%と産業別に見ても最も高く、製造業の復活なしには、経済活動が元に戻る事はないと考えているが、コロナ以前、コロナ以後で作るモノ自体から届け方まで、大きく変わっていく。世の中の変化に対応し続ける企業だけが生き残る時代になる。

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