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これまで値引きをしなかった会社が初めてセールをする理由

昨日、愛媛県今治市を拠点に置くサッカーチーム「FC今治」のJリーグ入りが無事に承認されました。これを記念して、IKEUCHI ORGANICでも初めてのセールを開始します。これまでも福袋やお試し商品、廃盤商品のディスカウントはありましたが、全品対象は初めてです。

今まで定番商品を値引きしなかった理由

IKEUCHI ORGANICは一切セールをやらない会社です。長期的な観点でブランドを築いていこうとする場合、プライシングは大変重要な要素です。

僕が過去に在籍した会社では、毎週のようにタイムセールと称して期間限定で値引き販売をしていました。開始した当初は、ものすごく売り上げは伸びまました。そしてセールをきっかけに新しいお客様もたくさん来てくれて短期的には成功したように映ります。

しかし、何度も繰り返していくと、徐々に売れ行きは鈍ってきます。この現象は起こるべくして起こっていて、これまで購入していた既存のユーザーが、次のセールまで待とうと買い控えをします。そうするとどうなるか。通常時期の売り上げは、セール実施前と比較すると、目も当てられない状態になります。

そうこうしているうちに、セール期間中も1日あたりの売り上げが減ってきてしまいます。そうすると、売り上げが下がる→セールの間隔を短くする→利益が激減して財務状況を圧迫してしまうという事態に見舞われます。こうなるとセールという劇薬から抜け出すのは難しく、根本からビジネス構造を変えていくしかありません。

セールをやるには、Amazonのように徹底的にロープライスで、品揃えを厚くして、利便性を高め続けるて競合を駆逐するくらい、資本力のある会社でないと体力が持たないのです。

経営陣も、代表の池内はPanasonic出身だし、社長の阿部もアパレルの小売出身ということでこうしたセールの功罪をよく理解していていました。また、IKEUCHI ORGANICを長く続けていくブランドにする方針を掲げてるため、これまでも大々的なセールをしようという話になったことがありませんでした。

なぜこのタイミングでセールをするのか?

ではなぜIKEUCHI ORGANICが初めてセールを行うのか?それはFC今治という地域の会社を入社時から見てきて、確実に今治の街が変わりつつあると感じているからです。

僕自身、今治には出張で1、2ヶ月に1度いきますが、行くたびに感じるんです。FC今治のポスターや、フラッグを立てるお店が増えてきてるなあと。そして昇格が決まったタイミングで愛媛新聞(愛媛では県民の約50%が購読している新聞です)が号外を出しました。

選手が、サポーターが、地域の方が喜んでいるのを見て、これは今治という土地に本社がある以上、会社として地域にもっと貢献したいと思いました。

僕自身の原体験もあります。もともと西武ライオンズの本拠地所沢が地元で、当時のライオンズは本当に強くて毎年のように優勝して、そのたびに商店街で優勝セールが開催されていました。そうすると、街でみんな買い物するようになるんです。結果的には、街自体も盛り上がるし、そこに住む人たちも西武のことをより応援するようになります。

セールをすることは、ブランドを展開する上で「悪」と捉えられがちですが、自社の売り上げを目標達成のためにただ行うと疲弊しますが、地域のためお客様のために展開をすることは決して悪ではなく、むしろ地域の発展につながると感じています。

セールを行う上で一番知ってほしいこと

今回のFC今治昇格記念セールは、売り上げを増やすということが目的ではありません。FC今治は来季からJ3に昇格しますが、J2に昇格するには大きな課題があります。

岡田 武史会長 コメント
「入会条件を満たしたことについては、ホッとしています。ただ、もっと上を目指しているので、こんな所で喜んでいる場合じゃないと思います。来年はJ3で優勝してもJ2には上がれません。なぜなら、J2に上がるためには1万人以上収容できるスタジアムの建設が必要です。

このスタジアムを設立するのに、30〜40億円かかると言われています。地方のサッカーチームでは一筋縄ではいかない金額です。とはいえ、現在のFC今治のスポンサーは、J3に上がるチームと思えないほどスポンサーの数は多く、デロイトや三菱商事、日本食研といった大企業が入っています。

でも、FC今治らしさといえば、今治という地域に根ざした事業をしている中小企業が地元のサッカーチームを支えていくことこそ、意義があるのではないかと感じています。

ではどうしたら、今治の地域全体を会社として盛り上げることができるのか?FC今治へのサポートを、他の企業もどのように巻き込んでいくか?は社内で色々と議論しましたが、IKEUCHI ORGANICのセールの売り上げの一部をスタジアム建設費用の一部に充ててもらうのが一番良いのでは?という結論に至りました。

具体的には、売り上げの一部を夢スタジアムに掲示しているネームプレートを購入して、スタジアムの設備投資費用に充てることにしたのです。

「ありがとうサービス.夢スタジアム」の入口側(バックスタンド側)中央に設置される個人ネームプレートを販売します。
ネームプレートの売上金額は、スタジアムの設備充実の投資費用に充てさせていただきます。
スタジアムが存続する限り、半永久的に設置します。

長くなりました。

IKEUCHI ORGANICがこうしたキャンペーンを開催するのは、今回が初めて。今後こうしたキャンペーンをする機会は、FC今治がJ2に昇格した時です。それ以外は一切全品セールは行う予定は今後もありません。

なぜそこまでFC今治を応援するのか?については、今後会社のリリースとして、もう少し詳細に説明していきますが、アプローチは違えど、自分たちの代だけでなく、次世代のための社会創りを理念を掲げていて、きっとFC今治の活動が、今治の街の発展に繋がると考えているからです。

次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する。

次回は当分開催する予定はありませんので、少しでも興味を持ってくれたらぜひホームページをご覧ください。そして私たちと一緒にFC今治を応援していきましょう。

一つの中小企業の取り組みから、地域全体、または他の地域の方にも広がっていくことを願っています。




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