
海外の医療業界経験者が、日本の在宅医療で成し遂げたいこととは
〈プロフィール〉
■氏名:石井 貴之
■役職:musubi Group 在宅医療事業部 ゼネラルマネジャー 兼 医療法人結新会 結新会ホームケア鈴木クリニック 事務長
■経歴
・国内最大手のリネンサプライ会社にて、病院・福祉施設への営業
・海外(東南アジア、中東等)での医療機関運営、医療人材紹介事業責任者
大手からベンチャーを選んだ理由

前職ではUAEドバイ支社の責任者として、海外の医師看護師人材紹介と新規事業開発を行っており、月の半分はサウジアラビアやカタール、クウェートなどの国に出張していました。サウジアラビアでは、軍系病院にアポを取っていたにも関わらず、ライフルを持った軍隊に詰め寄られたこともあり、毎日が非日常的な体験だったのでワクワクした生活を送っていました。
しかし、コロナの流行がきっかけで、海外での仕事・生活も大きく変化し、遅かれ早かれ日本に戻ろうとも考えていたので人生計画の予定を少し早めて帰国することにしました。海外の医療業界での経験・知見を活かし、日本でも同じ業界で経験をつめれば希少価値の高い人材になれ、また、もしも自分で事業をやるにしても面白いアイディアが出せると考えていました。
起業するか転職するかで悩んでいた際に、musubi Groupの新規事業の募集をみてワクワクしたことを覚えています。一般的な医療・福祉業界は年功序列のような風習が残っていると思っていたのですが、musubi Groupは若い方々がチャレンジ精神旺盛で働いており、ここでなら責任のある仕事を任せてもらえたり、人の感情を感じ取れる事業・社会貢献ができると思いました。
- 入社した当時の社内の雰囲気と今の雰囲気のちがいについて
入社した時は、現場の職員の方々と接点があまりなく、海外から変な人がきた!というイメージを持たれていたと思います。(笑)
入社した当時は物凄いスピードで拡大していくなかで、組織の体制作りと数字の管理が非常に重要になってきている段階でした。医療介護福祉業界では、人のために働くという意識が高く、情に厚い方が多いと思います。しかし、その反面、感情を組織体制の構築や戦略などにも持ち込んでしまうケースもあります。そうした中で、役職者クラスには数字を元にして現状を分析し、今後発生する可能性がある問題に対して、予め解決策を考え実行できるよう、意識改革をしていきました。
私も数字が全てではないと思っています。ただ、数字という指標がない戦略は方向性を見間違う可能性が高くなり、最終的にはスタッフの皆さんに迷惑を掛けることになります。数字だけを全面に押し出すと反発されることもありますが、musubi Groupの役職者はまずは吸収・挑戦するというスタンスのメンバーだったので、より良い方向に加速度的に変わってきたかなと感じています。役職者が根拠をもって行動すれば、現場が安心して働ける環境を予測して準備できるようになっていくと考えています。
在宅医療クリニックの立ち上げを経験して

‐ 医療法人の立ち上げについて
日本語を話すのが久しぶりだったので、鈴木理事長に「まずは日本語を話すことに慣れていきます」とお伝えしたら凄く心配されました。この人にクリニックの責任者が務まるのか?と。今は安心して任せて貰っているかと自分では思っております。(笑)
0から立ち上げに関わっていたので、まずは全ての業務を自分で行い、それをスタッフも効率よく行えるようにマニュアルを作成したので、大体3~4ヶ月で業務は安定しました。
営業の役割を担ってもらう診療コーディネーターも在籍しており、多職種連携に大きく貢献して頂いています。ペイシェントジャーニーを分解してどの段階に営業注力すべきかを考え、営業リストや訪問予定を作成しました。まだまだ改善する部分はたくさんありますが、医師、看護師、事務の方々のおかげもあって開業して半年で認知は十分広がっていると思います。
※ペイシェントジャーニー(Patient Journey):患者様が疾患や症状を認識して、最終的に病院での受診や服薬など、治療するまでの患者さんの「行動」、「思考」、「感情」などのプロセスを表したものです。
- こだわっていること
在宅医療クリニックを運営して理解したことは、問題の発生や、評価を頂いた大元には必ず「多職種連携」があるということです。当院では問題が発生すると、すぐに今後どうするかという事を考え、実行に移します。そのほとんどの問題が内部外部含め、多職種連携から起きていました。退院の日程が共有されていない、在宅移行する計画ができていない・共有されていない、具体的な指示がない、患者様の状況の共有がない、医療側と介護側で今後の患者様の見守り方が異なる、等々。
在宅医療は、医療・介護連携が非常に重要であり、その連携がしっかりとできれば患者様、家族様に対して良質なサービスが提供できると思いますし、医療介護サービス提供側も気持ちよく仕事ができるはずです。
よって当院は毎訪問後の診療レポート、初回報告、中間報告、終了報告を連携先に共有しています。少し手間はかかりますが、医師は音声入力でカルテ作成をし、それを看護師が修正、事務スタッフがWEB上でFAX送信という流れで行っており、出来る限りの効率化を図っています。
在宅医療に感じる未来

高齢社会になった今、在宅医療は社会インフラ的な役割を果たすことになると考えています。musubi Groupの理念でもある「最期まで自分らしく生活できる地域を創る」で掲げている通り、自分たちがこの大きな変革の中に存在し、地域をみんなで創っていく楽しみがあります。
- 今後の事業所の展開について
現在は理事長である鈴木先生の1名体制で診療を行っていますが、2022年4月には常勤医師が1名入社し、医師2名体制となります。今後は医師が複数名体制になることで、更にサービスの質を上げてチーム医療を行えるか、他部署ごとの体制強化や更なる事務効率化、マニュアル整備など先手を打って経営側でリードできるかが重要になってくるかと思います。今後もできれば毎年1名の常勤医師を増やせるよう邁進していければと考えています。
また、今は大阪市大正区に在宅医療クリニックと訪問看護ステーションにて運営していますが、2022年にmusubi Groupとして3つ目となる在宅医療クリニックと訪問看護ステーションを大阪市内に新規開業する予定です。その先も、在宅医療に関わる事業を大阪市内でどんどん推進していく予定です。
これは個人的な想いですが2025年までに大阪市で地域No.1になり、海外進出していきたいと考えております。
在宅医療や訪問看護を挑戦したいと思っている方にメッセージ

- 活躍しているメンバーの共通部分
自己実現を追求していく人ですかね。社会貢献したい、患者さんの笑顔が見たい、地域でNo.1の医師、看護師、PT、OTになる、海外進出する、様々な想いがあると思います。
人生を通して自己実現を追求し続ける人と一緒に仕事ができれば、こんな楽しいことはないと思います。musubi Groupはそんな方々が多く在籍しているので、同じ価値観を持っている方はぜひご応募してください!
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