夢想庵(仮)〜遥かなる茶室〜

夢想庵(仮)は細川三斎流を嗜む建築士の三尋木崇さんをお迎えしてお届けする「ひとうたの茶…

夢想庵(仮)〜遥かなる茶室〜

夢想庵(仮)は細川三斎流を嗜む建築士の三尋木崇さんをお迎えしてお届けする「ひとうたの茶席」(https://www.hitouta.com)のスピンオフ企画です。ゲストの心にある茶室にアイディアを持ち寄り、そこで思い描いた茶室を図面とともに紹介していきます。

最近の記事

書のための茶室(十)起こし絵図完成!

三尋木 崇(以下、崇):お久しぶりです。少し時間が経ってしまいました。 拝見しました、「光る君へ」の題字。素晴らしいですね。 根本 知(以下、知):見ていただいたんですね。有難うございます。 山平 昌子(以下、昌):来年の大河ドラマも楽しみですね! 昌:いよいよ今日は、起こし絵図を見せていただけるということで。 崇:はい、作ってまいりました! 昌:いよいよ・・! 1.起こし図を拝見 崇:前回の打ち合わせを受けて、「緑の茶室」と「白の茶室」、2つの起こし絵図を作成しました

    • 書のための茶室(九):蘇庵と宙庭

      崇:今日は、茶室3案と茶庭2案を考えてきました。「白の茶室」「緑の茶室」そして、「墨の茶室」です。どれが「蘇庵」と「宙庭」のイメージに愛そうか、考えてみてくださいね 1.白の茶室 崇:白の茶室は、白く、やわらかい空間をイメージした茶室です。根本さんとの対話から出来上がった、根本さんにふさわしい茶室だと考えています。 躙り口を通って室内に入ると、お客さんは一面の白い空間に包まれるような印象を受けると思います。目線を留めないように空間の角を取り、床に置かれた花や同席した方々

      • 書のための茶室(八):名前を決めよう

        茶室の見学を経て 前回の打ち合わせで、建物の中の茶室にしたい、ということで、賃貸マンションの茶室、そしてホテルの中の茶室を見学してきました。 根本 知(以下、知):鹿持さんの「游鹿庵」では、場所の制約に対するアプローチが印象的でした。賃貸マンションだから、窓の位置なんかは変えられないわけです。そこをすごく上手に活かしていましたよね。 三尋木 崇(以下、崇):収納もすごかったですよね。 知:そうそう、お茶人は季節ごとのお道具を持っておかなければいけないですからね。そうい

        • 書のための茶室(七):帝国ホテル「東光庵」

          東光庵 11月も終わりに近づいたある日、帝国ホテル内のお茶室「東光庵」にやって来ました。クラシックな本館のエレベータを4階まで上がり敷地内に入ると、お茶室特有の穏やかで整った空気が広がっていました。 お着物姿の椿さん(仮名)が、ご説明してくださいました。「東光庵」の名は京都は大徳寺瑞峰院の吉口桂堂師により名づけられたとのこと。 数寄屋建築で有名な村野藤吾の設計です。当日は裏千家又隠(ゆういん)の写しである「東光庵」、表千家残月亭の写しである「月歩の間」を見せていただきま

        書のための茶室(十)起こし絵図完成!

          書のための茶室(六):賃貸マンションの茶室

          昌:ということで、今日は鹿持さんのお宅にやって来ました!鹿持さんは裏千家のお茶の先生で、文京茶道同好会という、流派を超えて気軽に参加できるお茶の活動もされています。そんな鹿持さんのお茶室「游鹿庵」を見せていただきましょう。 崇:前回お話したように、今回は「ビルギャラリー:坪庭タイプ」を掘り下げて行こうという話になりましたから、マンション内の茶室、ということで参考にさせてもらえれば、と思っています。 鹿持渉さん(以下、鹿):こんにちは。ようこそいらっしゃいました。 知:今日は

          書のための茶室(六):賃貸マンションの茶室

          書のための茶室(五):ふたつの茶室案

          ・・・オンラインでの打ち合わせとなりました・・・ 山平昌子(以下、昌):こんばんは。三尋木さんが茶室の案を考えてきてくださったそうですよ。根本さん、何を食べてらっしゃるんですか? 根本知(以下、知):あ、これですか、虎屋のひとくち羊羹にワインを合わせてます。 昌:美味しそう。かつ、お洒落。さすがです。三尋木さん、その壁にずらっと貼ってあるのは・・。 三尋木崇(以下、崇):先日お見せしたおこし絵を、壁に貼っているんです。 昌:収納と閲覧性を兼ねているんですね。素晴らしい。

          書のための茶室(五):ふたつの茶室案

          書のための茶室(四):旧前田家本邸のお茶室で

          山平昌子(以下、昌):今日は私の友人のさゆりさん(仮名)がお茶を点ててくださるというので、旧前田家本邸(和館)のお茶室にやってきました。ここで、根本さんの理想の茶室の相談をしようかと。 さゆりさん(以下、さ):こんにちは。初めまして。 三尋木崇(以下、崇):初めまして。三尋木です。 昌:さゆりさんは、時々このお茶室でお友だちとお茶を楽しんでいるそうですよ。 根本知(以下、知):なんと優雅な。さゆりさん、はじめまして。こんな暑い日に、ありがとうございます。しかし暑いですね。溶け

          書のための茶室(四):旧前田家本邸のお茶室で

          書のための茶室(三):遠山邸見学(下)

          離れの茶室にやってきました。 いざ茶室へ 崇:雨が強くなってきましたね。暗くならないうちに見せていただきましょう。素晴らしい蹲ですね。 依田:先日お越しになった庭師さんによると、蹲と織部灯篭は江戸時代のもので間違いないだろうとのことでした。 依田:こちらにも、鞍馬の沓脱石があります。 昌:すごい石を見慣れて来て、もはや驚かなくなってきました。 依田:さて、茶室に入りましょう。こちらは亀山宗月という裏千家茶人が作った茶室です。 知:壁の模様が見事ですね。 依田:もとも

          書のための茶室(三):遠山邸見学(下)

          書のための茶室(三)遠山邸見学(中)

          応接室 一同、母屋の2階にやってきました。 依田:2階は、普段は非公開としています。こちらは応接室です。欄干の向こうに茅葺き屋根が見えるという、彩色豊かな景色となっています。窓枠は、色ガラスを木材の中にはめ込んでいます。ステンドグラスは鉛を使うから重苦しい、それなら色ガラスにして軽くしようという設計意図です。床は箱根細工、それに合わせて段通も専用の品です。 昌:箱根細工と言えば寄木の箱やコースターを見たことがあります。床に使うこともできるんですね。 依田:この飾り棚を、

          書のための茶室(三)遠山邸見学(中)

          書のための茶室(三):遠山邸見学(上)

          遠山記念館にやってきました 三尋木崇(以下、崇):今日は埼玉県の遠山記念館にやってきました。 山平昌子(以下、昌):「三尋木崇の、あなたと茶室探訪!」のお時間です。 崇:違います。あくまでも理想の茶室を夢想するための、茶室見学ですよ。 昌:そうでした、そうでした。 根本知(以下、知):今日は私が日頃お世話になっている遠山さんに、一緒に来ていただきました。 昌:遠山さんって「遠山記念館」の遠山さん? 知:そうです。遠山邸を作られた遠山元一さんの御孫さんに当たる、遠山明良さんで

          書のための茶室(三):遠山邸見学(上)

          書のための茶室(二):茶室見学・旧猪股邸

          三尋木 崇(以下、崇):さて、茶室検討の参考に、今日は世田谷区の旧猪股邸にやってきました。 崇:さっそく入ってみましょう。 山平 昌子(以下、昌):わあ・・綺麗なお庭! 根本 知(以下、知):こんな雪吊り、めったに見られないですね。 崇:今は雪吊りをできるところが少ないので、庭師さんにとっても数少ない練習の場所だそうですよ。 昌:ちょうど梅も満開で、極楽みたいですね。 知:一面遮るものがなく、絵画のようです。 崇:きれいな景色を堪能できる造りになっています。この住宅の注

          書のための茶室(二):茶室見学・旧猪股邸

          書のための茶室(一):はじまり

          山平 昌子(以下、昌):ついに始まりましたね。 三尋木 崇(以下、崇):そうですね。よく分からないままに呼ばれてきましたけれども。 昌:もう、一年間「ひとうたの茶席」やって、疲れちゃってね。 崇:何が疲れちゃったんですか? 昌:「ひとうたの茶席」というのは書と表具と花の企画なんですけどね。それぞれの分野のプロが思いっきりやってくれて、夫がいい感じに写真も撮ってくれるのはいいんですが、疲れちゃったんですよね。かっこつけとくのが。 崇:かっこつけてたんですか? 昌:そ

          書のための茶室(一):はじまり