磨きたい初見演奏

フランスは初見演奏のレベルがびっくりするほど高いです。


日本ではまずありえないような課題がひょいひょい出されます。


たとえば、本来ほかの楽器と演奏するために書かれた作品、アリアやヴァイオリンソナタ、フルートソナタなどを一人で弾いたりするもの。


瞬間的にピアノパートと、もうひとつのパートを同時に弾ける手の取り方を考えて、多声音楽を弾くときのような指使いで弾かなくてはいけません。


ほかには現代音楽のようなものや、ファジル・サイの曲なども出たりします。


すごく難しいのに、指定されたテンポに乗って弾かないといけません。


また、試験では課題を弾いてから、質問攻めをされます。

その作品の様式、形式、時代区分、コードなどを答えた後、その理由付けも当時の時代背景を交えながら説明しなくてはいけないので、ヒヤヒヤです…😇


こういう試験に向けて、初見の授業はハイペースでいろいろなことを教えてもらえます。


初見の強いフランスでの教育法なので、すこしでも役立ったら嬉しいです。


日本でも、まず30秒~1分くらい、予見時間が与えられます。

その間に見るものは、拍子、調性、テンポ、強弱や用語、転調、臨時記号、終止形が優先するものです。


そのあと余裕があったら、だんだんと細かいところへ目を移していきます。


弾くときは、大事な音を、何が何でも落とさないよう気をつけます。

初見演奏のときに大事な音は、冒頭と終わり、小節の頭の音、ところどころ現れる大きなカデンツァ、臨時記号のように変化のある音。


これをテンポと曲調内でおさえておけるよう、いろんな課題で特訓します。


初見演奏の限られた時間を左右するのが、目と手です。


まず、目。

目は常に、楽譜の少し先をがんばって追うようにします。

初めてのものを弾くので、なるべく鍵盤を見たりせず、首を動かすことで視線がずれてしまうこともないように、しっかり楽譜の情報をキャッチするよう、よく言われていました。


そしてそれを支えてくれるのが、手です。

もはや「手で見る」という感覚。

これは普段の演奏の時も意識しておくと、本当に変わります。

手はできる限り鍵盤から離さず、最小限の動きにして、正確さを高められるようにします。


とくにフランスのピアニズムは端正なものを好むので、演奏会などでも手や腕があまりにもオーバーリアクションしているものは好まれません…😥


さらにその中で求められるのは、美しい歌を表現できること。

予見の間に、ここまでポイントを押さえておけるようになるには慣れも必要なので、とにかく読む量を増やすことも必要です。

語学を学ぶ時と似ていますね。


いろんなパターンのものをこなしていくと、読解能力が磨かれるので、譜読みの力もアップすると思います✨


日本では初見用の課題本などもたくさん出ているので、少し難しいかも、と思うもので練習するのがオススメです。


また、くり返し使って覚えてしまったものは、和声の勉強やアナリーゼをのために再利用しても良いかもしれません。


言語と同じでやらないとどんどん衰えていくので、私も遊び弾きのように、いろんな楽譜を読むようにしています😊





クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/