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【解散発表】Mew名曲Best10

 デンマークが誇るオルタナティブ・ロックバンドMewが、結成30周年となる2025年、解散することを発表した。

 『明日ニュースがあります』なんてアナウンスされた時点では、『何だろう新作かな』『ロッキンオンソニックで来日あるかな』なんて考えながら楽しみにしていたのだが、蓋を開けてみたらまさかの解散発表に落胆。

 現時点でアナウンスされているのは、5月にデンマークで行われるライブのみ。果たしてワールドツアー、来日公演は行われるのか。解散は悲しいが、せめて最後に姿を見せてほしい。

 Mewの数々の名曲の中から、私の独断と偏見によって10曲を厳選しランク付けしていく。

10位『Wherever』

(1st『A Triumph for Man』収録)

 3rdの国内盤ボーナストラックで、"New Version"として生まれ変わったアレンジは洗練されていて、録音もクリアで素晴らしいのだが、このオリジナル版にも独自の良さがある。この粗い録音でも心を震わせてくれるのは、メロディの良さが確かだという証拠に他ならない。


9位『She Spider』

(3rd『Frengers』収録)

 静寂のアルペジオが突如、轟音に変わる。軽快な8ビートに乗せて、時にドリームポップのような浮遊感をもたらしたり、時に重厚なノイズを激しく掻き鳴らしたりと、ギターによる様々なアプローチがこの曲を牽引する。


8位『Repeaterbeater』

(5th『No More Stories...』収録)

 全ての歯車が少しずつ噛み合っていない。ただ、それは些細な違和感に過ぎず、決して破綻しているわけではない。この小さな違和感を抱えたまま、一気に2分30秒を駆け抜ける。この違和感を解消したくて繰り返し再生するのだが、この違和感が無くなることは永遠になく、むしろ途中からこの違和感を求め始めている自分に気づく。


7位『Special』

(4th『And The Glass Handed Kites』収録)

 4thは私のフェイバリットだが、各曲をシームレスに繋いだコンセプトアルバムであり、トータルで勝負するタイプのアルバムいうこともあり、曲単位に分割すると威力が落ちる。この『Special』に関しても、前後を固める『Apocalypso』と『The Zookeeper's Boy』とのシームレスな流れが大きな聴きどころではあるのだが、単体でも十分勝負できる。ダークでシリアスでクールな4thの空気感を象徴するキラーチューン。


6位『Satellites』

(6th『+-』収録)

 6th以降のMEWはアクが取れ、オーソドックスで綺麗な楽曲が増えたが、この曲には全盛期に匹敵あるいはそれ以上のスケール感があり、特に2分15秒辺りで一段ギアを上げる瞬間は何度聴いても高揚感を覚える。バンド後期を代表する名曲。


5位『Comforting Sounds』

(3rd『Frengers』収録)

 アルバムの最後の曲が長尺というのはよくあるパターンだが、これほどまでに意味のある9分間を聴かせてくれる曲はなかなか無い。半分以上をアウトロが占めており、基本的には同じフレーズの反復だが、全く無駄を感じさせない。壮大過ぎるほどに壮大なフィナーレだが、この壮大さに見合うだけの質の高さがある。


4位『156』

(3rd『Frengers』収録)

 ゆっくりと不穏な空気で幕を開け、後半にかけて畳み掛けるように熱を帯びていくドラマティックな展開が魅力のナンバー。シンプルなメロディを主体に据えており、時折緩急をつけながらも、ストレートなバンドサウンドがメロディラインを支える。奇抜なフレーズに頼らずとも、エモーショナルな演奏だけでも十分聴き手を惹きつけられることを証明する一曲。


3位『Am I Wry? No』

(3rd『Frengers』収録)

 多くのファンは、この曲でMEWに出会ったことだろう。最も知名度・人気の高い代表曲。ギターもドラムも一撃必殺の強烈なフレーズを鳴らし、イントロだけで一気にMEWの世界に引き込んでくる。そこにヨーナスの超ハイトーンな歌声が加わるのが何だかアンバランスにも聴こえるのだが、不思議と、徐々に均衡が取れてくる。MEWと言えば奇抜なアプローチの印象も強いが、メロディラインに関しては一貫してシンプルでストレートだった。この曲には特にその傾向が強く感じられる。


2位『Introducing Palace Players』

(5th『No More Stories...』収録)

 中毒性の高いギターリフ、変拍子を取り入れたトリッキーなリズムパターン、型にはまらない楽曲展開、豪華絢爛で壮大なアレンジ…MEWというバンドが持つアクの強い部分が、全部この1曲に集約されている。分かり易い名曲ではないが、MEWを語る上でこういう奇抜な曲の存在は欠かせない。


1位『Snow Brigade』

(3rd『Frengers』収録)

 一聴してのインパクトに限って言えば、5位以内の曲の中では最も地味かもしれない(それでもかなりのインパクトを持った曲だと思うが)。ギター、ベース、ドラムの各フレーズはどれも印象的だが、派手なものを派手と感じさせない職人気質なアプローチが良い。歌メロも至極シンプルだが澱みがなく美しい。気を衒った展開もなく、各パートが織りなすスリリングなバンドアンサンブル、その1点のみで魅せる超名曲。


 もう新曲が聴けないと思うと本当に残念。MEWが残してくれた数々の名曲は、これから色んな新しいバンドの新しい音楽に出会ったとしても、ずっと色褪せることはないと思う。

 是非、最後にワールドツアーを!

ありがとう、MEW!


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