ハノンで何を身に付けるか


「ハノン(ここでは日本で一般的にハノンと呼ばれている「ピアノの名手になる60練習曲」のことに限定しています)」と言えばピアノ学習者が指を訓練して、楽に難曲を弾けるようにするための教本として知れわたっていますが、最近SNS等でハノンの是非がしばしば話題にのぼっておりましたので、私流のハノン活用法をまとめてみることにしました。

ハノンは練習別に1部(1番~20番)、2部(21番~43番)、3部(44番~60番)に分けられていますが、一般的なピアノ学習者が弾いているのは1部と2部なのではないでしょうか?

ですので、今回は主に1部と2部(特に31番まで)についてお話しようと思います。その後、39番であるスケールと41番~43番であるアルペジオのお話もできたらいいなあ…

では1番~31番までに共通していることはなんでしょう?

①16分音符が1小節に偶数個あること。
特に31番を除けば2拍子と4拍子であること。

②上行下行それぞれにある決まった音形がさながらゼクエンツだけでできた音楽の様相を呈していること。

③①②が白鍵のみ(ハ長調)でかかれていること

ここで、他のテキストで常に考えているように「このテキストで何を学べるか」を挙げていきたいと思います。

1.ビートとグルーヴ
ご存知の方もおありかもしれませんが、私のレッスンでは、ビートとそこから生まれるグルーヴの獲得を重要視しています。私自身の叩くカホンからビート、グルーヴを感じ、ピアノ演奏で表せるためにはハノンのような単純な繰り返しは向いていると思っています。



2.1で獲得したビート、グルーヴを感じながらアクセント位置を自在にコントロールできるようになるための練習に向いている

https://youtu.be/EDipovnpp3c



3.音価の重い軽いを理解しその組み合わせでできているリズムの本来の姿を表す練習に向いている。


4.音形によるおしゃべり
ハノンというと昔は「均一な音量と音色」を習得させることに使われていたようですが(まさか今でも、何て言う方はいませんよね😅)
8個の音符の高低の組み合わせでできている音形を自然な「おしゃべり」や「鼻歌」のように弾く練習に向いている。



上記の1~4を組み合わせて自分なりの音楽表現の基礎をつくることができると思っています。

ただし③の特徴がありますので、音階の全調練習時にも上記の1.2.3.を意識して弾く、1番~31番もいろいろな調性で弾いてみる、がお勧めです。

そしてその際は是非とも軽くて反応のいい、音色の変わり幅の広い、よいピアノで練習しましょう✨

バロック、古典の多くの楽曲が弾きやすくなりますしポピュラーだってセンスよく弾けるようになりますよ😉

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