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箱根駅伝 77回大会~96回大会の中央大学について

こんにちは、シモンケムと申します。

今日は1人の箱根駅伝ファンとして記事を書きたいと思います。
今回は中央大学について、77回大会~96回大会まで印象に残った場面を交えながら順に振り返っていきます。

※記事内では選手名の敬称は略させていただきます。
(この記事は5194文字です)

・中大が最後に往路優勝したのは77回大会

近年の中大の歴史を振り返るとなった時に私が思い出すのまずこの箱根駅伝77回大会です。

~前評判~
当時は駒澤大学と順天堂大学の「2強」の時代で、中央大学はこの2校に続く強豪校という位置づけでした。
この年中大のエースは2年生藤原で、前年に5区山登りで区間新記録(71分36秒)の走りをしており、この年も同じく5区出走予定で注目されていました。

~往路~
中大は1区の野村が区間賞で良いスタートを切ります。しかし、エース区間2区ではオレンジ色の髪がトレードマークの法政大学エース徳本に抜かれ1位の座を譲ってしまいます。法大は3区4区も勢いそのままに1位を守り、5区の山登りに入ります。
中大注目のエース藤原は、「2分以内なら逆転可能」と言っていた想定範囲内の1分10秒差(3位)でスタートしました。
1位 法大 0:00
2位 順大 0:29
3位 中大 1:10
ーーー
6位 駒大 2:07
1位を走る法大の大村は序盤からかなりハイペースで飛ばしており、中大エース藤原との差を詰めさせません。
5区(20.9㎞)約半分の距離にある計測地点の小涌園前で法大⇔中大の差は1:07と予想外に差が詰まらない状況でした。
残り5㎞の最高点を過ぎても依然トップは法大の大村でしたが、そのすぐ後ろには100m以内に順大の奥田が迫っていました。中大の藤原はそのさらに後ろ30秒近く離れていました。

しかし、ここからが中大で最高のハイライトになります。
下り道に入ってから一気にペースアップした中大の藤原は前の2人へあっという間に追いつき、残り1.4㎞地点で三つ巴となった後1人トップに躍り出てそのまま往路のゴールテープを切りました。
宣言通り見事に「2分差以内の差」を逆転して往路優勝を成し遂げたのです。

~復路~
勢いのあった往路の中大とは打って変わって、復路は優勝候補の2校順大駒大についていくことができず、総合3位という結果でした。
惜しくも総合優勝は逃しましたが、エース藤原はまだ2年生で翌年以降も残るため「来年こそ箱根総合優勝を狙えるのではないか」という期待が膨らんでいました。
往路3位と前評判以上に躍進した法大は復路も粘り強い走りで上位をキープし、前年の10位を大きく上回る総合4位でした。


・駒澤4連覇時代の中大 78回大会~81回大会

この4大会の中大は、有力校として名前を挙げられることがあるもののなかなか優勝争いに絡むことができていませんでした。
78回~81回大会の総合順位は4位→5位→7位→4位と、上位争いには加わるものの優勝争いには絡めず、中大ファンとしてはもどかしい時期が続きました。
78回79回大会こそエースの藤原がいましたが、それでも選手層で勝る駒大の速さにはついていけませんでした。
一方で駒澤大学はこの4年間本当に強く、全日本大学駅伝でも4年で3回の優勝をしており、まさに「平成の常勝軍団」という印象でした。

・優勝候補7校 混戦だった82回大会

この年の箱根駅伝では駒澤大学の5連覇がかかっていましたが、他の大学にも有力校が多数あり「どこの大学が優勝するかわからない」と言われていた年でした。

~前評判~
箱根前の大会の結果の上位校は以下の通りでした
出雲駅伝
1位 東海大学
2位 中央大学
3位 日本体育大学
4位 駒澤大学
5位 日本大学

全日本大学駅伝
1位 日本大学
2位 中央大学
3位 駒澤大学
4位 山梨学院大学
5位 日本体育大学

主な優勝候補とその理由は次の通りです。
近年箱根で中位が続いていた中大も、久しぶりに優勝が狙える戦力が揃っていました。

①中央大学
出雲・全日本で2位の好成績。エースは2年生の上野、4年生の奥田も注目の選手でした。
②東海大学
エースは伊達、大物ルーキー佐藤の二人が強力、出雲優勝で選手層も厚い。
③日本大学
エースは2年生の留学生サイモンと4年生の下重。全日本優勝で選手層も厚い。
④山梨学院大学
エースは1年生の留学生モグス、全日本アンカーで11人抜きの快走をしている。山には3年前に往路優勝のゴールテープを切った森本もいました。
⑤日本体育大学
前年の箱根は総合2位、往路メンバーは全員残っている。エースは3年生の保科と山登り経験者2年生の北村。
⑥順天堂大学
出雲10位、全日本14位も、3年生エースで山の神の今井が不出場だったため。今井が戻ってくれば山の5区でかなりのアドバンテージが取れそう。
⑦駒澤大学
出雲・全日本と振るわない成績だが相変わらず大本命。選手層は全大学を見ても1,2を争います。エースは山登りのスペシャリスト3年生の村上。

~往路~
1区、スタート直後に日体大の鷲見が飛び出します。3年連続1区の経験もあり大胆にも大逃げを狙います。10㎞地点では2位との差を30秒以上開け独走態勢を築きました。
しかし、じわじわと後方の集団が迫り17㎞地点で中大の奥田を中心とした先頭集団が鷲見をかわします。最後は先頭集団のペースが上がり、1人また1人と遅れていくサバイバルレースの様相。その中で中大の奥田は1位と5秒差の3位で襷を渡しました。

2区、日大の留学生サイモンがごぼう抜きでトップに立つも、9㎞手前で後ろから追って来た山梨学院のモグスが抜き去りそのままトップでタスキリレーします。中大は3位をキープします。

3区、中大のエース上野が前を走る山梨学院を猛追、抜くことはできなかったものの51秒→21秒差まで差を詰めました。後方では東海の佐藤が区間新記録の走りで11位→4位に順位を上げていました。

4区、中大は3年生の小林がついに首位を奪取、そのままトップで5区に襷を繋ぎます。後方では順大の村上が区間新記録の走りで9位→6位に順位を上げ、山の神今井へ良い位置で襷を繋ぎました。

5区、優勝候補の大学の位置関係と走る選手は以下の通りでした。
1位 -   中央大学 中村 5区経験者
2位 10秒差 山梨学院 森本 5区経験者
4位 47秒差 東海大学 伊達 エース
5位 1分56秒差  駒大 村上 エース・5区経験者
6位 2分26秒差  順大 今井 エース・5区経験者
8位 2分38秒差  日大 下重 エース
16位 7分7秒差  日体 北村 エース・5区経験者

優勝候補7校のうち6校は往路優勝が狙える位置であり、混戦状態でした。
走り始めてすぐ2位山梨学院の森本が中大を抜きトップに立ちます。
山を登り始めてから「山の神」らしい走りを見せた順大の今井が駒大、東海のエース2人を抜き去り3位に浮上します。
抜かれた駒大の村上はその後も自分のペースで前を追い、東海の伊達は故障の影響もあってか後退してしまいました。
山の神今井は勢いそのままに2位を走っていた中大、1位の山梨学院の2人も抜き去り、そのまま往路優勝のゴールテープを切りました。
2位はマイペースに追い上げた駒大の村上、中大中村は最後に山梨学院を抜き返し3位。
4位は一時トップを奪取した山梨学院、5位に3人抜きの日大、6位亜細亜、7位東洋、8位東海と続きました。

往路を終えて、1位~8位までのタイム差は以下の通りです。
1位 順天大 -
2位 駒澤大 0:30
3位 中央大 1:19
4位 山学大 1:24
5位 日本大 2:01
6位 亜細亜 2:51
7位 東洋大 3:11
8位 東海大 4:19

「前評判」で挙げた優勝候補7校のうち6校が総合優勝を狙える圏内で往路を終える混戦でした。
中大は72回大会以来の総合優勝が狙える好位置で往路を終えました。

~復路~
中大は7区の森が前の駒大・山梨学院をとらえ2位に浮上します。そして勝負の8区3分近く前の順大を追う展開、13km地点で中大・駒大・山梨学院の3校が三つ巴で前を追う展開に。
3人の中で前に出たのは駒大の2年生堺でした。2人を置き去りにし、残り1kmではアクシデントのあった順大をかわし1位に浮上しました。
中大は順位こそ落としてしまったものの、1位との差はまだ2分以内で9区10区で十分逆転可能な位置にいました。

8区終了時点、優勝争いは下記の6校に絞られました。
2位 亜細亜 1:12
3位 山梨学 1:30 
4位 順天大 1:39 
5位 中央大 1:51 
6位 日本大 2:23
7位 東海大 4:02 

復路のエース区間9区、走り始めてすぐ3位に浮上した順大の長門は12㎞過ぎ亜細亜の山下のすぐ後ろまで迫ります。
それに気づいた山下はペースアップ、順大を突き放し今度は前の駒大に迫ります。残り8.5kmの横浜駅前で31秒差、駒大が見える距離になってからはみるみるうちに差が詰まっていきます。
亜細亜山下は残り4㎞で駒大追いつき、1㎞並走したのちスパートをかけて突き放しそのままトップで10区へ襷リレーしました。
首位交代があった後方で、中大は7位へ後退してしまい優勝争いから漏れてしまいました。
2位 駒澤大 0:42
3位 順天大 1:10 
4位 山梨学 2:21 
5位 日本大 2:28
6位 東海大 3:27
7位 中央大 3:28

アンカーの10区、1位を追う駒大は4年連続出場の実力者糟谷で、6㎞であっという間に1位との差を10秒まで縮めました。
「やはり大本命5連覇を狙う駒大が優勝するか」と思いましたが、ここから糟谷のペースが上がらず、逆に亜細亜の岡田は順調にペースアップし勝負あり。亜細亜が初の箱根総合優勝を成し遂げました。
総合順位
1位 亜細亜大学
2位 山梨学院大学
3位 日本大学
4位 順天堂大学
5位 駒澤大学
6位 東海大学
7位 法政大学
8位 中央大学
9位 日本体育大学
10位 東洋大学

82回大会は優勝候補の大学も多く、近年にはない1位が目まぐるしく変わる展開で面白かったためつい長々と語ってしまいました。
そしてこの82回大会は、中大が優勝候補に挙げられて実際に優勝争いに絡んだ最後の大会だったのではないかと思っています。

・連続シード権獲得が注目されていた83回大会~89回大会

83回大会以降の中大は優勝争いにこそ絡めなかったものの連続シード権獲得の回数(82回大会までで22回連続)で注目を集めていました。
83回、84回大会はエース上野の活躍もあって、それぞれ総合8位、7位。翌85回大会はエース不在で厳しいレースになるも総合10位でシード獲得。
86回、87回大会では5区山登りのエース大石がごぼう抜きの活躍を見せ、総合4位、6位でした。
エース大石卒業翌年の88回大会は往路から12位と苦しみます。復路は終始シード争いに巻き込まれながらなんとか逃げ切り、総合8位で28年連続のシード権を獲得しました。

そして89回大会、この年は風が強く厳しい環境でのレースだったのですが、その影響もあってか中大5区の選手が低体温症となってしまい途中棄権という結果になりました。
予想外の出来事でシード落ちしてしまいましたが、万全な状態で臨む翌年は強い中大が戻ってくるのではとさほど心配はしていませんでした。

・箱根87回の連続出場が途切れるも藤原監督就任で「強い中大」復活へ

中大は90回大会以降、28年連続シードを獲得していたのが遠い昔に思えるほど苦戦します。90回、91回、92回大会とそれぞれ15位、19位、15位でシード権獲得はなりませんでした。

そして92回大会終了後に「最後の往路優勝」を知る藤原監督が就任します。
就任直後の93回大会箱根予選ではまさかの出場圏外で87回続いた連続出場が途切れてしまいますが、翌年の94回大会ではすぐに立て直し予選を突破。箱根本戦でも15位となり徐々に中大復調の兆しが見えてきます。

95回大会の箱根本戦では、2大エースを1区2区に配置してスタートダッシュを決め2区終了時3位、総合では惜しくも11位だったものの上位争いに加わる強い中大が徐々に戻ってきました。
前回大会の96回大会では高速化した往路で13位、復路はじわじわと浮上してシード権内の大学へ迫り総合12位。
中大が再びシード権獲得するの日も近いのではないかと思います。

・おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

1人の箱根駅伝ファンとして今後も中大の活躍を見守りつつ、これからも記事を書いていけたらと考えています。

この記事では今年の選手について紹介していませんが、下記リンク先のブログは私がよく読ませていただいているブログで各大学の選手とその記録について詳細にかつ簡潔にまとめられています。

興味のある方はこちらの記事をご覧ください。


今後の創作活動に活かしたいと思います!