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ぼくは歯医者とラジオとお酒と映画とトイレとライブがすき

いろいろやっているうちにまた一週間が過ぎていった。いろいろとは言ってみたものの、もっぱら暑さに耐えているだけである。体が火照っていて気持ちが悪い。毎晩寝苦しく眠りも浅い。短髪ドレッドヘアの國分功一郎にお供してイギリスへ旅行に行く夢を見た。冷房をつけたまま寝てしまって、目が覚めるとぶるぶる震えながら出しっぱなしの冬用布団にくるまっていることも度々。

金曜日。タイミングが合わなかったので仕方なく早起きして歯医者。次の予約を決めるときに細かく日程調整するのが面倒だから、提案された日時が物理的に不可能でなければオッケーと言ってしまう。それでこのざまである。

このところ歯医者に行くたびに虫歯が見つかる。つまり次のようには考えられまいか。虫歯は歯医者に行くから見つかるのであって、行かなければ決して見つかることがない。したがって虫歯ゼロを達成するためには歯医者に行かないのが一番である。昔の自分はそのことに気がついていた。だから十数年も歯医者に行かないようにしていたのだ。けれどもそのせいで前歯を一本失った。やはり粛々と治療を受けるほかないのだろう。かなり良い感じの歯医者さんだし。

ここ数回は院長先生に治療してもらっている。五十ぐらいの物腰柔らかな男の先生。その日はいつもよりもわずかばかり殺気立っているように感じられた。気のせいかもしれない。電車の遅延で到着が遅れたのがいけなかったのか。先週も日程を間違えたせいで予約が入っていないにも関わらず急遽治療してもらったし、はた迷惑な患者だと思われているのではないか。

そのように感じてしまうのは、おそらく心の内に発生した何かを先生に投影してしまっているからだろう。その何かとは、「頼むからちゃんとしてくれよ!」と思わず声を荒らげたくなるような案件の数々によって蓄積された鬱憤に違いない。それが反転して自分へと向けられたのだと思われる。さらにいえば、殺気立ちがちな自分への含羞が先生に投影されているようにも感じる。同時に、人にはちゃんとしてもらいたいが自分は適当にやっても許される存在でいたいといった赤ちゃんっぽい願望に対する情けなさも投影されていそうだ。

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日記と夢日記

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