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失った点はもう戻らないけれど 【9/25中日戦●】

残すところ、今日を入れてあと2試合。と、いう大切な日にヤクルトが見せてくれた試合はなんだったかというと。

0-12という負け試合である。

すごい。この人たちの野球は本当にブレない。

そういえば前回の中日戦も、14失点だったのである。あの日はたてさんとハタケの引退試合で、ハタケのヒットで200点を取ったので細かいことはもう忘れていたけれど、よく考えてみればしっかり14点も取られていた。14失点。結構なものである。

まあこの試合に限らず、本当に、本当に今年はよく打たれたなあ、と思う。だいたい毎試合、被安打は10をこえていたと思う。

これだけ打たれるともちろん、それなりにへこむ。しばしテレビを消すことも、お風呂に入ってなかったことにすることもある。失点のたびにため息をつく。隣のねこに、ちょっと投げてくる?と、聞いたりもする。(ねこはめんどくさそうにどこかに行ってしまう。)

でもまあ。と、私は思う。打たれてしまったものは、仕方がない。失くしてしまった点数は、もう戻らないのだ。それは投手にとっては「自責点」という形で残り、野手にとっては「エラー」という形で残るかもしれない。でもとにかく、それはもう、戻ることはない。

そりゃあ、失うことは怖い。失うことは悲しい。でも一方で、これだけ失いまくると、今度はまた一から始めればいいんじゃないか、という気にもなってくる。失うものは何もない、という気にもなってくる。いや、あるのだけれど。失点はいつまでも続くのだけれど。でも、開き直りというのは人を強くする。

『弱くても勝てます』という本の中で、開成高校野球部の青木監督は言う。

「『10点取られる』という前提で一気に15点取る打順を考えなければいけないんです」と。だから、点を取られても気にしなくて良い、と。

実際のところ、プロのチームが「15点を取ること」を目指すわけにはいかないけれど(いやまあ20点とってほしいけど)、でも、そこにはきちんと作戦と哲学がある。そしてそれがあるからこそ、「取られても気にしない」という切り替えができる。

(ちなみに、「ピッチャーの仕事は、ストライクゾーンにボールを投げること。ストライクゾーンに入らないとゲームになりませんから、それは相手に対して失礼なんです。試合をするには、打たれるにせよストライクを安定的に入れなければいけないんです」とも言っている。)

開成高校に入る生徒というのは、言うまでもなく、勉強におけるエリートだ。だけど、「野球のエリート」では、全く、ない。開成高校の生徒にとって、きっとその「できないこと」を知ることもまた、とても大切なのだろう。

いろんな人がいる。いろんなチームがある。得意なことも、苦手なことも、みんな違う。勉強が得意な人がいて、野球が得意な人がいる。全てを100パーセントできる人はまずいない。時間にだって限りがあって、多くの人は時間の100パーセントを野球に割くこともできない。

でもそれでいいのだと思う。限られた時間で、限られた戦力で、足りないものがある中で、できることを考えていく。もちろんスターがたくさんそろったチームを見るのも楽しいけれど、足りないものを補いながら強くなっていくチームだって見ていたいと私は思う。

オフにはまた、不思議なくらいに、打たれまくった記憶は薄れてゆき、そして積み重ねまくった借金は消えてなくなる。またたくさんの皮算用をしながら、開幕を楽しみに待つのだろう。切り替えと開き直りはいつだって大切なのだ。

さて残された試合はあと1試合。とにかく、20点を取りますように。楽しい試合になりますように。


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