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どんな時もできることは、置かれたその環境でやれることを考えること、それだけだ【5/11巨人戦○】

「今日はちょっとドームに行くのちょっと気が重いねえ。昨日の今日だしねえ…」と言うと、むすめは「でもきょじんはきのうあんなにがんばっちゃたから、きょうはうてないかもよ!やくるとは7てんしかとってないからいっぱいうてるかも!」と、にこにこ言った。「7点しか」というか「7点も」取って負けたわけだけれど、まあむすめも、20点取らなきゃ負けることを知っているのだ。

ココちゃんがいないナゴドで、エイオキ・上田・雄平が並んで必死に守っているのを見ながら、たくましいなぁと思っていたら、神宮ではそれが、エイオキ・こーたろー・雄平になっていた。むすめは「こーたろーがおっきいおにいちゃんにかこまれててかわいいね」と言っていた。言っていたら今日の東京ドームは、こーたろー・塩見・雄平になっていた。

いやもうたくましいどころの騒ぎではない。おっきいおにいちゃんはいなくなってしまった。さすがに私は頭を抱えた。

抱えていたら、3回に、てっぱちはびっきーに変身した。いやもう笑えない。それは笑えない。1番から4番が全員離脱とか意味がわからない。

19失点の翌日である。いやそんな試合はなかったとはいえ、よくわからないけれども胸の痛みだけがしっかり残っている。私は控えめに言って、絶望した。いくらなんでもひどい。この巨人とのスタメンの差はひどい。格差社会はこんなところにも現れているのである。もっとマスコミはこの問題を追及すべきである。じゅりの熱愛を報道している場合ではない。何をやっているんだ。と、とりあえず今日もフライデーに矛先を向ける。

でもそんな中カツオさんは、一人一人、打者を打ち取っていった。ランナーを背負っても、崩れることなくしっかりと、ていねいに、ていねいに。昨日100個くらいのトラウマができた私は、一つアウトを取ってくれるだけで飛び上がりたくなった。アウト一つはこんなにうれしいものなのだ。

それでも、巨人とヤクルトのスタメン格差を眺めてはため息をついていたら、前回カツオさん登板の日にエラーをした村上くんは、あっという間にホームランを放った。もう不安で仕方なくて、悪い想像ばかりして、試合が終わる前から打ちのめされている私に、喝を入れるような、そんな19歳の1本だった。

そうだよな、いつだって、選手たちはあきらめていない。絶望なんてしているひまはない。どんな時だって、置かれたその環境の中で、できることをやるしかないのだ。

今年のオープン戦で、躍動しまくる若手たちがあまりにまぶしくて、おじさんたちの居場所がなくなってしまったらどうしようという不安が、少しだけ、頭をよぎっていた。それはいつか来ることだけれど、今年はまだまだおじさんたちに活躍していてほしいのだ。

でも、それもまた、不安になっている場合じゃなかった。その頑張りは、その躍進は、当たり前だけれども、チームのピンチを救う。

戸田みたいな下町スワローズのメンバーは、今日、もう本当に、必死に戦った。私みたいに心折れることなく、絶望感で集中力を切らすことなく。

9回裏、坂本のホームランで、岡本の四球で、そして「代打阿部慎之助」で、球場の空気はガラリと変わった。明らかに流れが向こうにいったように見えた。巨人ファン歓声が球場をうめつくした。いつも石山に祈るように、私はただただそこでうめちゃんに祈った。

この球場の雰囲気もチームの勝ち星もそして39歳のカツオさんの勝ち星までも背負い、たった20歳のうめちゃんは投げた。そのボールに、あらゆる重みをのせて。ランナーを背負いながら、うめちゃんは、最後のバッターをしっかり打ち取った。

いつだってうまくいくわけじゃない。19失点する日もある(らしい)。サヨナラされる日も、ノーノーされる日だってある。だけど、どう考えたってチームの危機でしかない状況で、若手たちがたくましく立ち向かい、一勝をもぎ取る日だってある。

生きていればいろんなことがある。思い通りにいかないことも山のようにある。でも、そのたびにできることは、置かれたその環境で、なんとかやれることを考えていくこと、それだけだ。19歳と、20歳と、39歳が、それを教えてくれた気がした。

とてもたくましい一勝でした、ありがとう。


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