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いつだってこの瞬間が、始まりだ。【9/28巨人戦◯】

「投壊」と言われ、ものすごい防御率と、ものすごい総失点数をたたき出し、毎試合のように被安打は2桁になり、接戦をことごとく落とし、サヨナラ負けを山のように見た今季、最終戦で迎えた試合はどんな試合だったかというと。

2-1のサヨナラ勝ちであった

まじか。

やればできるんじゃないか。(と、いうのも今季何回も言った。)私は子どもたちと飛び上がって喜んだ。ケリーがサヨナラのヒットを打った瞬間、今季のつらい試合は一瞬にして全て吹っ飛んだ。最後に帳尻を合わせてくるこの感じ(いや、冷静になれば帳尻なんてぜんぜんあってない気がするけれどもたぶん気のせいだ)、さすが我らがヤクルトスワローズである。大好きだ。

3回くらいの時点ですでに、「やめてこれまたノーノーじゃないか…」と、不安になり始めていた。一年経っても、あのトラウマは私の脳裏を離れないのだ。目の前で見たそれは、なかなか強烈なインパクトを持って、体と心に染み付いていたらしい。とにかく誰かが三振に倒れるたび、頭を抱えた。

だけど今日のその不安を、打ち破ってくれたのは、他でもないたいしだった。

たいしはシーズン序盤、無安打記録をひたすら更新し続けた。スタメンの座は奪われ、代打でも出ない日が続いた。二軍で調整させてあげた方がいいんじゃないか、と、素人目に思ったりもしたけれど、小川さんはベンチにたいしを座らせ続けた。そこにはきっと、小川さんとみやさまなりの、思いと考えがあったのだろう。

たいしの今季1本目のヒットが出たとき、みんなが飛び上がって喜んだ。ハフやマクガフまでも嬉しそうに手を叩いた。負けまくっていたあの日々の中で、たいしのたった1本のヒットは、それは紛れもなく希望そのもので、笑顔の源みたいなものだった。それは間違いなく、チームとファンを鼓舞してくれた。

例えば最初から、たいしがもっと打ってくれていたら、今の順位にはいなかったかもしれない。

そして同じように、最初から、ライアンが今日みたいにピンチをしのぐピッチングをしてくれていたら、勝ち星はもっともっと増えたかもしれない。

だけどあの日々にたいしが打てなかったからこそ、あの日のヒットや、今日の2本のヒットがめちゃくちゃ嬉しかった。ライアンが勝てなかったからこそ、この2試合の熱投に心が揺さぶられた。苦しかった日々は、孤独だったあのマウンドは、きっといつか、見返す力に繋がっていくのだと思う。

だから今シーズンの苦しかった日々が、そして小川さんとみやさまが抱えてくれた、私たちの数百倍あったであろう苦しみが、痛みが、二人が去った後のヤクルトにもいつかきっと何かの形で還元されて、いつか、いつかあの日々があってよかったと、笑える日が来るといいなと思う。

きっと、来ると思う。

嬉しさの中で人は、ふと、苦労した日々を思い出すものだ。その時に、小川さんとみやさまの顔を思い浮かべて、そしてありがとうと言えるといいなと思う。そうして、繋がっていくといいなと思う。

しんどいことだってたくさんあったけれど、たぶんだからこそ、うれしいことも山ほどあった。たくさんの希望を見た。そして、「どんなつらい時も俺たちがそばにいる」と言い続けたファンを、私はずっと見てきた。

だからまた、来年だって「今ここから」と、戦っていけるといいなと思う。いやなんなら今日から、「今ここから」と前を見据えて、たくさんの皮算用をしていきたいと思う。いつだって、今日、今この瞬間が、始まりなのだ。


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