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理不尽な大人たちに、屈しないように、たくましく 【6/10練習試合 日ハム戦●】

オンラインミーティングが終わり、おもむろにDAZNをつけると、上田がセーフティバントを決めて得点をあげていた。

うえだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

と、思ったら、それは昨日の試合だった。昨日の試合をつけていたのだ。ややこしいわ上田。(上田悪くない。)

上田は二日連続でセーフティバント成功とはならなかったけど(当たり前だ)、村上くんは二日連続でホームランを放っていた。こっちも間違えて昨日の試合を再生しているのかと思ったら、そうじゃなかった。ちゃんと村上くんは打っていた。なんてこった。

村上くんがホームランを放ったあと、カメラは一塁に立つ清宮くんを映した。

私は、まあ、熱狂的ではないけれども比較的熱心なヤクルトファンのため、通常、相手チームの選手にいちいち思いを巡らせているひまは正直ない。鈴木誠也が打つたびにおいこら荒川のちょっとこわもてのにいちゃん!!!と、思う。ほんとうに青山いびりをするのはやめてほしい。

ですが、練習試合で、かつ相手がパ・リーグだということもあり、しかもなにかと結びつきの強い(やちくんもいるし)日ハムさん相手となると、負け試合でもふと、あちらサイドのことを考えてしまったりもする。

村上くんと清宮くんというのは、もちろん同級生で、同期入団で、まあ「ライバル」と言えばライバルなわけだけど、そうは言ってもなんせリーグも違う、別チームの選手なわけだ。「ライバル」というのは、ある意味大人たちが勝手に作り上げたストーリーだ。少なくとも、村上くんがホームランを打ったのは、その時ファーストを守っていた清宮くんには全く関係のないことのはずだ。打たれたのはピッチャーなのだから。

でもとにかくカメラは、その時の「見方によれば悔しそうにも見えなくもない」という清宮くんの表情を切り取った。

ふと、甲子園での「清宮フィーバー」があった時のことを思い出す。

高校野球というのは「プロ野球」じゃない。当たり前だけれど、お金をもらって仕事としてやる野球とは全く異なるものだ。と、私は思っている。

だから、高校野球であまりにどこかの学校だけが大声援を受けて応援される、というのを見るといつも少し、違和感みたいなものを感じてそっとテレビを消してしまう。

大人はつい、目の前の子どもたちのスポーツに勝手にドラマを乗せがちだ。(もちろんそれは、私もだ、自戒を込めて。)でも「プロ」ではない、まだ子どもであるその少年たちに、本来ならば勝手にドラマをくっつけちゃいけない、と思う。「高校球児こうあるべき」みたいな考え方も、「知らんがな」だと思う。高校球児たちは、大人のためじゃなく、自分のために野球をするのだから。

大人たちにあまりに注目されながら育った清宮くんは、プロになり、相手チームの同級生がホームランを打った直後に、カメラでアップになった。

なんとなくあの年の、高校野球を思い出して、私はううむ、と思う。あるいはこれもまた、「勝手に思い描いたドラマ」かもしれないけれども。カメラはただたまたま、他意はなく、一塁にいる清宮くんを映しただけかもしれないけれど。

でもとにかく、清宮くんはそのあと、「特別ルール」の中行われた9回裏の打席で、五十嵐さんからでっかいホームランを放った。

大人たちが勝手に作り上げた「ライバル」というストーリーの中で、清宮くんはその一本を、しっかりと打ったのだ。

そのストーリーに、誰かが作ったドラマに、「主人公」の多くはきっと振り回される。それは時に、誰かを押しつぶしてしまうかもしれない。(それが「編集」の怖さだ。再び自戒を込めて。)

でもそれでも、その中で清宮くんも、もちろん村上くんも、しっかりその打席に集中して一本をしっかりと打った。たくましいなあ、と、私はつくづく思う。

もうあの頃とは違う。二人とも、もうしっかりとした「プロ」なのだ。そこには、あの頃以上の目があり、厳しさがある。いろんな声が聞こえる。

でもそれでも、それらを受け止めながら(もしくは華麗にスルーしながら。スルーという力はとても大切だ。)戦っていくのだ。理不尽な大人たちに、屈しないように。

そんなわけで、今日はうっかり、相手チームにまで思いをはせてしまう試合であった。パ・リーグに戻ったら、清宮くんも、もちろんやちくんもアキヨシも、みんな頑張って欲しいです。そして村上くんは、これから毎試合ホームランを打ってくれますように。(理不尽な大人の理不尽な願い。)


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