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松山に行くはずが高松に降り立った話【松山キャンプ番外編・旅行記】

週末に温泉でも行こうかーとか話していたのが、いつの間にか「松山にヤクルトのキャンプを見に行く」という話に膨れあがっていた。思いつき家族というのはほんとうにおそろしい。良い子はまねしちゃいけない。

どうして良い子はまねしちゃいけないかというと、それには理由がある。思いつきで旅に出ようとすると、当然のことながら、希望の飛行機も宿も取りづらく、予算内に収めることが非常に困難となるのだ。当たり前のことをものすごい発見のように言ってるけど。

まあつまり、一週間前に「松山行こうぜうぇーーーい」とか言い出した家族に、ANAは希望通りの便を用意してくれないしtrip advisorはお手頃で良い宿もレコメンドしてくれない。世の中、計画性のある人が強いのだ。だからヤクルトはきちんと頭を使って野球をしなければいけない。

とはいえ、こちとらだてに35年も無計画に生きてきたわけではない。無計画な人間には無計画なりの生きる道があるのだ。諦めてはいけない。チーム無計画の人は、まだ肩を落とさずに聞いてほしい。

前置きが長くなったけれど、とにかく「金曜日に息子の学校帰りに出発し、日曜日にできるだけ遅くまで坊っちゃんスタジアムでのキャンプを見届けた後に帰路につく」という最低限の要望を満たす、松山往復の飛行機はもうない。考えに考えぬいた私たちは、たまたま見つけた「高松空港往復の2泊3日の旅」の激安ツアーを決行することにした。

え?高松空港から松山までは150キロ以上離れてるよ・・?と考えるのはナンセンスである。そこは、やだ高松往復にしたらおいしいおうどんまで食べられちゃって一石二鳥じゃないか・・!と、考えるべきなのである。それが無計画人間の矜持と言っても良いだろう。(よくない)

かくして私たちは、金曜日の夜7時に、高松空港に降り立った。荷物ゲートを出た瞬間、お出汁のいい香りである。取り急ぎ、お遍路さんの顔はめ写真を撮り(いかなる時もそこに顔はめパネルがあれば写真を撮らなくてはいけない)、レンタカーを借りて(激安である)、空いていたビジネスホテル(激安ツアーなので激安である)に荷物を置きに行く。

なんと言っても金曜の夜7時である。「東京は夜の7時♩」ではない。「香川は夜は7時♩」である。でもそこが香川である限り、夜の7時でもなんでもおうどんを食べなければいけない。

あらかじめ「夜まであいている」おうどん屋さんをチェックしていたので、そこを目指す。オットが、ローカル電車に乗りたい!とか言い出すので、レンタカーをホテルにおいたまま、真っ暗な夜道(「香川は夜の7時♩」は暗いのだ)を家族四人で歩く。

子どもたちはいつもと違う風景にやたらとテンションが高い。こういう夜道の記憶というのは、なんだかんだ後から振り返って楽しかったなあと思えたりするものなのだ。

そういえば昔、オットの出張にくっついて(というか後から追いかけて)、まだむすめがよちよち歩きだった頃に(瀕死の思いをして)ニューヨークへ行った時も、クリスマスのイルミネーションできらきらとした細い路地で、息子がミニカーを持って走っていたことがなんだかんだでやたらと印象に残っている。

冬のニューヨークはばかみたいに寒くて、あれこれ思いっきり着込んだ3歳だった息子と、いちごのコンバースを履いたむすめは二人ともなんだかころころしていて、ニューヨーカーたちにやたらキュートキュートと言われていた。五番街のティファニーもロックフェラーセンターのクリスマスツリーもたぶんものすごくきれいだったのだけれど、覚えているのは路地にあった小さなクリスマスツリーと、にこにこしている子どもたちだ。

そういったわけでこの旅がどんな風に記憶に残るかはわからないけれど、ふとした時に思い出すのはきっとまた、こうやって夜道を歩いたこととか、とてもレトロな駅で、レトロな電車に乗ったこととか、そういった風景なのだろう。

そんなことを思いながらおそらく高松で一番の「繁華街」に出る。グーグルマップは、なぜかやたらと裏道を指定して歩けといってくる。思うのだけれど「都市」以外の場所においてグーグルマップはその「使える度」をがくんと落とす。東京ではベストな道を示してくれるけれど、田舎へ行けば行くほど「なぜこの道!」という道を示してくるのだ。うそだと思う人は、宮古島でカーナビ代わりにグーグルマップを使ってみてください。言っている意味がわかるから。

かくして、裏道を通りながら、大通りに面したお店についた。(最初から大通りを歩かせてほしい)

ちなみにニューヨーク五番街のティファニーではないけれど、ちゃんとこの大通りにもティファニーがあったので、高松で一番の繁華街であることはおそらく間違いないと思う。だいたい、ティファニーで判断する。

さて、グーグルで「高松 うどん 夜」で安易に検索して出てきたこのお店。

私はここでおうどんはもちろんのこと、人生で一番おいしいおでんを食べた。

あとこの練りがらし。35年間、こんなにおいしい練りがらしに出会ったことはなかった。

もちろんおうどんも泣きたいくらいにおいしい。

高松ありがとう川福さんありがとう松山往復じゃなくて高松往復を思いついてくれた天才の人ありがとう、と私は思った。天才は私だけど。

おいしいものをたらふく食べて飲んで(子どもたちも山のように食べた)、そしてお会計もリーズナブルであった。私は数年前まで、まあなんだかんだおいしいものというのは東京にある、と思っていたのだけれど、ここ数年でそれは大きく覆されている。

ほんとうにおいしいものは、地方にある。まじで。

目的のおうどんでお腹いっぱいになった私たちは、明日も早いので(何といってもこの旅の目的地である坊っちゃんスタジアムはここから150キロ以上彼方にあるのだ)早めに就寝し、翌朝の早出に備えることにした。

・・・が、そこが香川である限り、夜の7時でもなんでもおうどんを食べなければいけないわけだが、そこが香川である限り、朝の6時でもなんでもおうどんを食べなければいけない。

というわけで、翌朝も6時におうどんを食べに行ってから、松山へ向かうことにした。

「高松 うどん 早朝」で安易に検索して出てきたこのお店。

はい、おいしい。これはバカ一代。よくわからないけれどもおいしくてバカ一代。

「おだしは正義だね」というのが私とオットが導き出した結論である。

うどんバカ一家。

かくして無計画一家は、四国という土地のポテンシャルに震えながら、レンタカーに乗り込み一路松山を目指す。きっと松山にもおいしいものが山のようにあるのだな・・?と震えながら。(あと待ち受ける鬼たちに震えながら)

松山にも珍道中は待ち受けていたので(キャンプ以外で)、たぶんこの旅行記は続きます、たぶん。

というわけで松山入りの前泊高松、おすすめです。誰が参考にするのか全然わからないけど。

※ちなみにほんとの目的であるヤクルトの松山キャンプについてはこちらから

(1日目)

(二日目の紅白戦)


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