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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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#ヤクルトスワローズ

「誰かのため」と心から思えるそんな日に【8/14横浜戦◯(はなまる)】

8回表、カツオさんが伊藤裕季也からホームランを打たれた時、一塁側からは、今日一番の大声援と拍手が送られた。それはとてもとても、あたたかい拍手だった。 ノーノーを達成した瞬間じゃない。ノーノーが破られた瞬間だ。だけどヤクルトファンは、その瞬間に、大きな大きな拍手を、小さな大エースに送った。 そういうところだ、と、私は思った。ヤクルトファンの、そういうところが大好きだ。 その拍手に応えるかのように、カツオさんは、そのあとの打者をしっかりと打ち取った。カツオさんは8回を投げき

それぞれの1本には、黙々とバットを振り続けた時間がある【8/13横浜戦◯】

ツーアウトからランナーをためる、相手のためたランナーはもれなく返す、それはいつものことだ、今さら驚くことでもない。と、思いつつ、大きなため息とともにビールを飲む。上田はピッチャーの登板前にもちゅーした方がいいんじゃないのと思う。それくらいのことしかもう考えられない。 サヨナラの余韻が残る中、迎えた試合だった。だけどまあ、そうなのだ、なんだってそううまく行くわけじゃない。だけど一つのミスからなかなか立ち直れないピッチャーを見るのは、なかなかに辛い。 なっしーが5失点をした後

どうか19歳の人生が「野球をやっていてよかった」と思えるものでありますように【8/12横浜戦◯】

その打球は、私たちが座っているライトスタンドの方めがけて、すっと飛び込んできた。まるで、ライトスタンドが打球を呼び込んだみたいに。村上くんのタオルを掲げていた熊本出身のオットが、大喜びではしゃいでいる隣で、私は目の前で起こったことがなかなか理解できなかった。 いつもそうだ、私はどんなことも、ストンと自分の中に落ちるまでに時間がかかる。 それが、村上くんのプロ初打席だった。新井さんが神宮での最終戦を迎えたその日、村上くんは、プロ初打席で、ホームランを放った。 あれからもう

たいしは四球を選び、一塁まで走る【8/11巨人戦●】

こちらの得点圏のランナーは絶対にホームにはかえれないけれど、相手のランナーもれなく豪快なホームランで一斉に返してあげる。もうその図をひたすら見続けていると、何らかの神経は麻痺してくるのである。これ、今季何度か経験している。 具体的に言うと、6回あたりの攻撃があっさり終わったあたりから、特にその得失点差の数字には何の意味をも感じなくなる。勝敗?そんなもの、人生に何の意味ももたらさない。ヤクルトが負けたところで死ぬわけじゃない。 これを一種の悟りの境地と呼ぶ。ブッダはたぶんヤ

双眼鏡でほしくんを眺める、むすめを見ながら。【8/10巨人戦●】

「明日の先発、誰でしょう!」むすめを迎えに行ったとき、真っ先にそう聞くと、むすめはちょっと緊張した顔をして、「ほしくん・・・?」と、言った。「ぴんぽーん!」と言って、私とむすめは小さくハイタッチをした。 むすめは、しばらくしまっていた24の背番号が入ったクルーユニフォームを出してきて、自分のバッグに入れた。お気に入りのレディースユニフォームじゃなくて、そっちを持っていくことにしたらしい。 オットと息子はサッカーの合宿に出かけ、むすめと私は二人でドームへいくことになっていた

「答え」はないのに「結果」はひとつ。でもそれは、「結末」じゃない【8/9巨人戦●】

答えのないものを好きになってしまったよなあ、と、思う。でも、答えがないのに、結果はひとつなのだ。それは時に、とても残酷だ。 答えがあるのなら、それに向かって努力すればいい。例えばそれが遠回りでも、いつか答えには必ずたどり着く。それは「答え」だから。数学であればどれだけ難問であっても、答えはひとつだ。 だけど野球において、答えなんてものはきっと存在しない。投手交代のタイミングも、守備固めのタイミングも、もちろんスタメンも、ひとつのエラーもひとつの失点も、そのどれが「間違い」

だけどベテランにしかできない仕事がきっとある【8/8阪神戦●】

(※ベテランというのはきよしのことではありません、念のため) 阪神ファンの「あと一球!」コールが神宮に響く。ライトスタンドからは負けじと「奥村コール」がかかる。だけど阪神ファンの声に、ヤクルトファンの声はかき消されそうになる。昨日と一昨日は気づかなかったけれど、球場は結構な黄色に染まっていた。広島戦の赤ほどではないけれども、まあこれは、結構、黄色だ。 友人の息子くんが夏休みの自由研究に各球場の特徴について調べていて、神宮の特徴について聞かれたけれど、「多くの場合、ビジター

188cmの19歳と、167cmの39歳と。【8/7阪神戦◯】

「カツオさんを「生きる見本」だと言う、田畑さんのコメントを見かけて、そうだよなあ、生きる見本だよなあ、と、改めて思う。 打ち込まれる日もあった。イニングの途中でマウンドを降りることもある。でもそれでも、何度も何度もそこに戻ってくる。その度に、少しずつ、あらゆる調整をして、考えて、考え抜いて。 その小さな身体で、それを短所ではなく、長所にでもするかのように。みんなが持っているものはないかもしれない。でもだからこそ、みんなができないことが、できるのだ。ないものを長所にする方法

おっくんの笑顔が「本当に」チームを救う、それは優しい一勝だ【8/6阪神戦◯】

半月ぶりに戻ってきた東京には、ようやく夏が来ていた。暑いねえ、と、言いながら、ビールを飲む。神宮には、夜の風が吹き抜けていく。 どれだけ負けている試合でも、この空気があればなんとなく、救われるような気がしていた。それは、去年も、一昨年も。 だから5回裏、花火が上がるのを見上げながら、「まあ、良いか、負けても。花火は今年もきれいだし」と、私は思った。久々の神宮は、目の前の試合が負けていてもやっぱり、私の好きな場所だった。 だけど今日のヤクルトは、久々に、「花火の時間を過ぎ

さよならだけが、人生だけど【8/4中日戦◯】

とうとう、パイナガマビーチでぷかぷか浮きながら、iPhoneで試合を見るようになってしまった。波にたゆたいながらヤクルトたちを見ていると、まあたいていのこと(エラーやミスや失点や…)はどうでもよくなるなと思っていると、ヤクルトは今日も元気に先制された。 うむ、やっぱりどうでもよくはない。18時台ではまだまだ明るい、宮古の空を浮き輪から眺める。明日にはこの島を発つけれど、ここにいる間とにかくヤクルトはよく負けた。本当によく打たれ、よく負けた。人生はとは負けることの連続なのだよ

一隻の船は、ただまっすぐに碧い海を進む【8/3中日戦●】

長いようであっという間だった宮古の日々もそろそろ終わり。ここでの日々を、できるだけ日常に近づけたくて、早く起きた朝はできるだけ走るようにした。 慣れない道と気候で、いつもの倍くらい疲れる気がする。タイムもかなり落ちる。でもとにかく、毎日…とはいかなかったけれど、できるだけ、走り続けた。いつの間にか、この島の暑さにも、上り坂の多い道にも、だんだんと慣れてきた。日が昇ってからも、走れるようになった。 そして、友達と合流した時も、オットと合流した時も、遊び疲れた日も飲みすぎた日

水平線の向こうにも、海は続くから【8/2中日戦●】

ピンチを背負わないことよりも、背負ったピンチをどう乗り切るのかということの方が、ずっと大事だ、ということを昨日のnoteに書いた。 そう、それは人生においてもとても大切なことなのだけれども、でもたった一つのミスすら許されないクローザーにおいてはどうなんだろう、と、今日の試合を見ながら私は思う。 マクガフは「こんなに性格のいい助っ人は他にいない」とムーチョに言わせてしまうくらいの心根の優しさで、チームに溶け込み、文字通り、チームを救い続けてきてくれた。だけど昨日、たった1球

傷を負いながらも走り続ける誰かを思いながら【8/1横浜戦◯】

ノーヒットノーランを達成するピッチャーは、ほとんどいない。 私が目の前で見たノーヒットノーランの試合はひとつだけだ。なんだったかは忘れたけど。つまり、ほとんどの試合において、ピッチャーはランナーを背負った状態で投球をすることになる。そして、多くの場合、そこで一度くらいは失点もする。人は誰もが、無傷ではいられない。 だから大切なのは、ランナーを背負った時こそ、失点を許してしまった時こそ、そのあとにどういった投球をするのか、そのピンチを切り抜けるのか、ということになる。 山

もがき続ける日々の中で掴む何かを【7/31横浜戦●】

本当に、本当に、本当に、いつも同じ負け方だなあ…、と、今日もまたため息をつく。傷はまあ、それなりに深い。 先制をする。逆転される。追いつく(でも追い越せない)。そしてサヨナラをされる。今日もどこかで見た流れが繰り広げられる。あと1点を取ることが、そして1点を守ることが、とてもとても難しい。 でもその中で、てっぱちは2試合連続でホームランを放つ。エイオキは今日も元気にスリーベースを放つ。 若手が躍動しまくる日々があり、ベテランがしっかり仕事をしてくれる日々がある。誰も打て