新譜。

彼らの新譜はいつも最高で心を抉ってくる。

いつも今を更新して、緊張して、しっかり伸ばして去っていく。

簡単に言えば言葉にできない気持ちになる。

声や音や速さがこのクソみたいな生活も肯定してくれる。なんでも肯定するのは気持ち悪いのに、彼らの音楽には肯定されたいと思う。

そのままでいいと、そのままがいいと、静かに教えてくれる。だからまた明日が来ても良いと思える。

これまでになかったような単語やテンポや展開は新しいのに懐かしくて、あの時の悔しさや苦しみも全部飲み込んでくれる。

高く張り上げた時にわずかに掠れる声さえ優しくて愛おしい。

一生っていうのが、あと1日でもあと80年でも、ずっと寂しくて悲しくてそれが嬉しいと思える気がする。

飽きてきた、曲も人も日々も。

それでも新しい語尾が刺さって抜けなくて、言葉尻を合わせるように生活する。

未来とか現実味のない言葉だけの先より、過去とか後悔だらけの前より、今だけの、自分だけのスピードで生きてて良いと認めてくれるんだ。皮肉も憎悪も不満も全部当たり前で、それが生活で、それが生きることで、それが死に向かうことだ。

評価も安定も優しさも全部欲しいよ、だって生きてるから。

そんな甘えもこの曲たちは全部許してくれるんだ。

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