◆DAY0 きっかけ

*2019年2月12日*

鎖骨まで髪が伸びて、ますます女性らしさがアップした路子先生(※仕事の手伝いなどをしている作家の山口路子先生)。毛穴からにじみ出る大人の色気と、なぜか共存する少女のような可愛らしさ……はじめてお会いした時から9年が経つけれど、透明感は更に増すばかり。美しい、と女の私から見てもしみじみと思う。

先週、心がもやもやして無性にお会いしたくなり「近々、お会いできませんか」と連絡してしまった。色々用事もあるだろうに、わざわざ時間を割いてくれて嬉しい。いろいろな身辺整理のこと、悩み相談をしていたら、……なんだか自分が恥ずかしくなってしまった。

結局、「何ものでもない自分」を恐れて、ぐちぐち悩んでいるだけなのだ。
結婚はしているけれど子どももいない、仕事も中途半端。
「本当にやりたいこと」もわからないのに、今目の前にあるものに、しがみついていること。

もう33才にもなるのに、地に足をつけて人生を歩いている実感がない。

思えば、ここ3年くらい同じサイクルを繰り返している。自分が嫌になって世捨て人になる→世捨て人に飽きて始動→しばらく頑張って壁にぶつかる→また嫌になる→世捨て人、という悪循環。
(※ここでいう「世捨て人」とは世の中との関わりを絶ち、自分の世界に引きこもること)

鬱屈した人生への不満。
「私はこのまま朽ち果てていくんですよ」って何度つぶやいたことか。

そんな愚痴なんて聞きたくないだろうに、名カウンセラー・路子先生はもう何度目かであろう私の話をうんうんと聞き、慎重に言葉を選んで、ときに質問をして、私の頭を整理してくれようとする。

「今いろいろやっていることの先に、どんなイメージがあるの?こうなっていたいな、というイメージがあるの?」

……答えられなかった。
ずっと考えていることなのに、いざ言葉にしようとすると出てこない。具体化されていないのだから、叶うはずもない。

別に、穏やかにひっそり暮らしていければいいのに。
厄介なことに、私は承認欲求がけっこう強い。誰かに認めて欲しい、自分の爪あとと香りと体温を残したい、などと思ってしまうから、苦しい。

だけど、闇雲にもがいても仕方ない。
なにかを無理に頑張ろうとしなくても、自分が「そこまでやりたい」と思わないんだったら、無理する必要もない。
人との付き合いにしてもそう。いくら利害関係やメリットがあっても、「会いたくない」という気持ちが強いのだったら、会わなければいいだけのこと。

誰に媚を売る必要もない。
摩擦を避けて自分を殺すことはない。
何が人生で大切なのか、目を曇らせずに生きていきたい。

欲しいのは自由なの?
というより、自分が好きだと思える自分でいたい。
モノクロの毎日に彩りを添えたい。

まとまらないながらも、そんなことを話した。

そして、女性としての自信を失っている話もした。

ひととおりの話のあと、こんな干からびた私を、路子先生はタンゴに誘ってくれた。路子先生が2年ほど前からタンゴをやっているのは知っていたけれど、私を誘ってくれたのははじめてだったから驚いた。
私の話を聞いて、多分「そういう時期」だと思ったのかもしれない。

さっそく、土曜日に見学に行くことになった。


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