◆DAY11 「情事」


*2019年4月6日*

右足付け根が痛いので、足にぐるぐるテーピングを巻いて土曜レッスンに参加。タンゴが楽しすぎて、レッスン日を指折り数える日々。

グループレッスン(プラクティカ含)は月・木・土の週3日。今週は珍しく週3いけるかと思ったのに、月曜の練習以降、火水と家でエクササイズしすぎたせいか(といっても1日1時間くらい)、足が痛くなり、木曜のレッスンに参加できなかった。悲しい。

足の痛みをたけし先生に訴えたらテーピング、サポーター、足指マッサージを勧めてくれたので、さっそく実行。テーピングをするとかなり痛みが軽減される。我ながらアスリートみたい?



レッスン後のミロンガにて。
たけし先生が、ビリヤード台の上で踊ったり男の股間に頭を突っ込む(?)変な女の人の話を持ち出すので、「なんでそんな話をするのだろう」と思いながら話半分に聞いていたら、笑いながら「君からも同じ匂いがするんだよ」と言う。一体どんなふうに思われているんだ(苦笑)。

そういう「変態性」って、踊るとわかるんだろうか。心の中に渦巻いている邪念とか何もかもばれちゃうんじゃないか、って怖くなる。心を裸にされる気分。



夜も更けて、最後はMさん(女性)と私だけになった。ラストタンダは、たけし先生の選曲でそれぞれ1タンダずつ踊った。「曲の構成の問題で、Mさんが先の方がいい」とまずはMさん、そして私の順。

Mさんのタンダはロマンティックでゆったりした曲調、私のタンダはドラマチックな勢いのある曲調と、対極の選曲だった。

Mさんが「いいな、私もドラマチックに踊りたい」と少し羨ましそうにしていたけれど、柔らかく優しいMさんの雰囲気に、そのタンダはぴったり合っていると思った。そもそもどちらも選曲はいいわけで、いい悪いはない。

今の私には、ゆったりとした曲よりも、激しい曲が似合うのかな?
似合う曲はおろか、好きな曲もまだわからない。

この日も練習で習った技などはできなかったけど、「大丈夫。上手くなるよ。俺が100パーセント保証する」と言ってもらえたことが励みになった。


ミロンガの翌日はいつもぐったりしてしまうのだが、日曜の今日は案の定1日ベッドで過ごした。お供は、森瑤子の「情事」。

48ページ、「三十三歳を過ぎた頃から、自分がもう、若くはないのだ、という考えに漠然と支配され始めていた……」からの二ページ!

「魂を揺す振られるほど美しかった」海に沈む夕日を見ても感動しなくなり、若さを失い、精神の緊張感を失いつつある自分への焦燥感。美しい風景から見放されたことへの、怒りと不安と恐れ。

今、私ちょうど三十三歳と1ヶ月……。共感し過ぎて、心臓を掴まれたみたい。つまりそういうことなのか。

作家人生の後半は、お金のために魂を売るような書き方をしたなんて言われることもある作家だけど、このシーン、この1本の小説を書いただけで、世に残る仕事をしたと思う。すごいなぁ。

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