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◆上海タンゴマラソン⑤エピローグ

帰りの機内では、あまりに濃密だった2日間を思い起こしていた。

あらためて振り返ってみると、上海タンゴマラソンは、とにかくエネルギーに満ち溢れていた。
せっかく来たのだからどこまで踊り倒せるか……。ギラギラと目を輝かせた、肉食男子&女子のオンパレード。
あの空気を肌で感じられたことが、今回いちばん大きな収穫だと思っている。

以下は、私が踊った40〜50人をもとに感じた、独断と偏見だらけの超個人的感想。これは例えば「イタリア人は陽気」「日本人は真面目」ってまとめちゃうくらいに短絡的なものだから話半分に読んでほしいのだけれど。

●国によるなんとなくの傾向

韓国人は、ロールキャベツ男子(草食に見えて、実は肉食)が多いイメージ。物腰が柔らかかったり華奢にみえても意外とマッチョ。体幹がしっかりしていてアブラッソに安定感がある。
ボンボン風の若い男子や綺麗め女子も目立ち、20代〜30代も多かった印象。はたまた、いぶし銀みたいな渋いおじさんも。

一方、私が踊った中国人は、けっこうギラギラなおじさまが多くて、ロールキャベツというより肉食そのまんま。立ち居振る舞いはスマートで、それなりの社会的地位にいそうな人が多かった。

台湾は…最後に踊ったタイワニーズ君の印象が強くてその他の印象がなく。

いずれにせよ国籍関係なく全体的にレベルが高いので、人並みにフォローができれば女性はかなり楽しいと思う。
逆に初心者の男性は、ちょっと大変かも……(肉食女子にとって喰われそう!)。
まぁ、タンゴ歴5ヶ月のタイワニーズ君の例もあるし、そこは本人次第な気がする。


●直接的なやり取りの多さ

それと感じたのが、思ったことを直接本人にいう人の多さ。

踊っている時、「I like to dance with you」と言われたり(ただのナンパ?)、

また別の人には、「魂を感じる」「一緒のステップを踏んでいる感覚がある」と言われ、自分が意識していたことが相手に伝わったのがうれしかった。

個人的にはタンゴ=非言語コミュニケーションと考えているし、いちいち言葉を交わさなくても……(だからこその楽しさがある)と思うけれど、
このような直接的なやりとり、文化の違いを感じられるのも、海外ならではの楽しさなのかもしれない。

●タンゴに対するイメージの違い

わざわざ旅費と高いチケット代を払ってきているわけだから当然かもしれないけれど、みんな真剣にタンゴを踊りにきている。そのなかで日本勢は参加人数の一割以下だし、存在感が薄かったように感じてしまった。
なんだかタンゴに対するイメージが日本とその他のアジア諸国では違う気がする……。

そのあたりが気になり、2日目、タイワニーズ君に「日本ではタンゴ人口も少ないし、若い人はタンゴにあまり興味がないみたい」というと、目を丸くしていた。

逆に「他のアジアはどうしてそんなに若い人が多いの?」と聞いてみたら、
FacebookやInstagramでタンゴのハッシュタグ?とかもあるらしく、 タンゴは"good vibe"らしい。「タンゴを踊ること=イケてる」というイメージがあるみたい。"イケてる"ミロンガはどんな雰囲気なのか……気になる。

***

私なりにいろんなことを感じ取った2日間。何度も書いたように、最初は「まだ8ヶ月だし……」と躊躇していた部分もあったけど、このタイミングで来れて、本当に良かった。

ウィーンのミロンガでつくづく感じたように、タンゴは言葉が話せなくても世界中の人と通じ合える、「魔法のカード」だ。
タンゴを通じてもっとさまざまな人と会話してみたい。

そしていずれはブエノスアイレスで踊りたい。

タンゴを通してみる世界は、どう映るんだろう。私のタンゴは、今後どんなふうに変わっていくのだろう。それが楽しみだ。

タンゴマラソンの余韻と、これからのタンゴに想いを馳せながら窓の外に目を向けると、これ以上ないほど青い空が限りなく続いていた。



(おわりに)
タンゴ DAYSですが、連載としての形は今回で最終回とさせていただきます。タンゴとの関係は今も続いているので、どこで終わりにしようか迷ったのですが……タンゴマラソンデビューしたことを一つの区切りとすることにしました。
長きに渡りお読みくださりありがとうございました!

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