
【免税事業者】である場合のインボイス制度の注意点
おはようございます。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■先日より度々
消費税の『インボイス制度』
のお話を進めていますが、
今日も続けていきます。
今日の内容で全体的な説明は
ざっくり終わることになります(^^)。
再度振り返ると、
消費税の計算方法は
『原則課税』と『簡易課税』
という2種類の方法があり、
『原則課税』の方は、
売上で預かった消費税と、
経費などの支払いで支払った消費税との
差額を税務署に納付する
という方法でした。
一方、『簡易課税』は
売上で預かった消費税のみを見て、
支払った消費税は、
業種ごとにその業種に合った
一定の率を乗じることにより、
それを支払った消費税とみなして、
簡易的に消費税を計算する
という方法でしたね(^^)。
■そして、
今回のインボイスで問題になるのが、
『原則課税』の際、支払った消費税を
実際に支払ったものとして
税務署に納付する消費税から
引きたい場合であっても、
その経費の支払い先の相手方が、
インボイスの登録事業者であり、
請求書などに
その登録番号を記載していなければ、
その支払いの消費税を
税務署に納付する消費税から
引いてもらえない
ということでした。
■今回は、
経費の支払い先である
『免税事業者』の立場で
考えることにいたしましょう。
あなたが今『消費税を払っていない事業者』
であるとしたら、
ぜひ注目してくださいね(^^)。
では、いきます。
■インボイスは課税事業者のみに
発行が許されるものであり、
免税事業者はインボイスを
発行することができません。
従来は、免税事業者であっても
消費税を乗せて請求することに
何ら問題はありませんでした。
しかしながら、
今後は免税事業者から見て
売上の相手先が、原則課税で計算しており
その支払いの消費税を
引けないことになると、
その免税事業者との取引自体を
ストップする可能性があるんですよね。
ストップされると元も子もないのですが、
そうでなくても、
従来のように消費税分を請求しにくく
なるわけです。
そうなると、
実質的に免税事業者である側は、
従来いただいていた分の消費税に
見合う分の金額が
もらえなくなってしまうことに。
こうなると、場合によっては、
従来より少ない売上になってしまう
わけなんですね。
■そこで、
【あえて『課税事業者の選択』】
をすることにより、
インボイスの登録事業者となり、
相手方に消費税を請求することも
可能となります。
しかしながら、
いったん課税事業者になると、
今年のみならず翌年も課税事業者…
つまり税務署に消費税を納めるべき
事業者となります。
ただ、売上に消費税を
乗せることができますので、
経費の支払いで払っている
消費税にもよるのですが、
あえて課税事業者を選択して
インボイスを発行し、
消費税を乗せて売上の請求をして、
税務署にも消費税を納付することにより、
結果として手元に残る現金が増える
可能性もあるわけです。
なにより、免税事業者であるという理由で、
従来のお客様から取引を切られることが
あることを考えると、
これは打つべき手であるのかもしれません。
ただ、これは本当に
ケースバイケースですので、
しっかりと試算をして
慎重に決めたいところ。
■以上、
インボイスについていろいろな角度から
お話を進めてまいりました。
いろいろ述べてはきましたが、
このインボイス制度の実際の運用は
【2023年10月1日から】
となりますので、
また新たな情報が入りましたら、
記事の中で紹介させていただければ
と思っています(^^)。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・インボイスは
【経費などの支払いの際に
支払った消費税を引いてもらえるかどうか】
がポイントとなる。
・『免税事業者』については、
インボイスが発行できないため、
消費税を乗せて請求することが
場合によっては難しくなる。
この場合、
【あえて『課税事業者』を選択する
ことにより、インボイスの発行事業者
となり、消費税の請求をし、
税務署にその消費税を納付することにより、
手元により多くの現金を残す】
という選択も、
検討し得る手段の一つとなることを
心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^
起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹