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【法人役員の方へ】「事前確定届出給与」を有効活用していますか?

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■「提出しておいてよかったですね。」


 というのは、

 法人の決算対策をしていた際のお話。


 法人においての節税対策は
 多くの手法があるのですが、

 どうしても、

 その期の着地点は、

 その期がスタートする前提では
 見えにくいもの。


 そんな事情から、

 法人の利益を
 予測していくためには、

 「もしこうだったらこうなる。」

 「もしこう変わっていくとしたら、
 このように利益も変わっていく。」

 といった、ある程度の

 【仮定における予測】

 が必要となります。

■その中で


 意外と使われていないのが、

 冒頭に書いた

 「提出しておいてよかったですね。」

 というもの。


 これ、
 何のことかピンと来ますか?


 これは

 【事前確定届出給与】

 という規定。(↓国税庁のHPより)

 %url8%(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/5104.htm)

 
 何を指すかと言えば、これは

 【役員賞与】

 のことを言います。
 (以前の記事でも何度か登場しましたが(^^))

■基本的に


 役員報酬に関して言えば、

 『定期同額給与』

 と言われるように、

 『1ヵ月以下の定期的に
 同額の給与を払っていくことにより

 初めて損金(経費)の額
 としてカウントされる』

 という決まり事があります。


 そのような理屈から考えると、

 『役員に支払う賞与』
 の意味合いのものは、

 この『定期で同額である』
 という給与に該当しない
 (突発的に払うものである)ため、

 経費とは認められないことに
 なってしまいますよね。

■しかしながら、


 これについては例外的に、

 事前に税務署に

 『何月何日にいくら払う』

 という届出書を提出しており、
 (株主総会等の決議が必要になります)

 その通りに支給した場合に、
 その法人の経費の額になる

 というもの。


 ただし注意が必要なのが、例えば

 【3月15日に300万円支払う】

 とした場合、原則として、実際に

 3月15日に300万円の
 賞与を支給しなければ、

 その賞与は

 一切経費としては認められない
 ことになってしまいます。

■例えば、


 『4月10日』に300万円支払った場合、

 この300万円は
 全額経費でなくなる上、

 役員に対しての『給与』として課税され、

 所得税や住民税のほか
 社会保険料の対象ともなってきます。


 法人では経費にならない上、

 個人ではこういった負担が出てくるため、
 (法人の社会保険料ももちろんかかります)

 まさにダブルパンチ

 というわけです。

■もう一つの例として、


 3月15日に『290万円』を
 支払ったとしましょう。

 この場合でも

 その払った290万円は

 全額経費としては
 認められないことになり、

 個人においては

 同じく290万円を
 賞与として受け取ったものとして

 課税されてしまいます。

■というわけで、


 しっかりと

 『提出した期日通りに、
 提出した金額と同額を
 支払わなければならない』

 という厳格なルールが
 定められているのが、

 この【事前確定届出給与】である

 と言えます。


 しかしながら、

 『300万円を支給する』
 ということを提出しており、

 これを支給しない(0円)
 とした場合、

 そもそも
 経費にしようとしていないため、

 経費として否認される金額も
 ないことになります。


 つまり、

 結論として、

 『100%届出通りに支払うか』、

 それとも

 『支給を0にするか』。

 このどちらかの方法を取るべきでしょう。

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■この


 事前確定届出給与(役員賞与)
 を利用する場合は、

 法人に思いの外利益が出て、

 その利益を
 役員に還元したい場合のほか、

 例えば

 個人において借入が必要なため、

 個人の年収を高くしたい場合
 などにも使うことができます。

■大切なのは、


 【届け出たからといって、
 必ずしもその届出通りに支給しないと
 いけないというものではない】

 ということです。


 当然

 その届け出通りに
 支給しないとなれば、

 経費とはならないのですが、
 
 『支給しない』
 という選択肢を取って、

 『あえて賞与支払わない』

 というのも
 選択肢としてあり得るわけです。


 そのように考えると、

 【この事前確定届出給与の届出は
 しておいた方が良い】

 というものではないでしょうか。

■私自身、


 顧問のお客様に対しては、

 法人の決算において、

 必要に応じてこの規定の提案を
 させていただくことにしています。


 『もしかすると…』

 ということは

 経営においては
 起こりうるわけであり、

 その『もしかすると』
 に対応する手段として

 この事前確定届出給与
 の準備をしておくことは

 極めて有効であると感じます。


 もしあなたが法人の役員で、
 この規定をご存じないようでしたら、

 ぜひこの規定を有効活用して、

 『万が一に備える』

 という選択肢を
 考えてみてはいかがでしょうか。


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《本日の微粒子企業の心構え》


・『役員賞与』は、
 原則として法人の経費としては
 認められないものである。

 しかしながら
 【事前確定届出給与】
 という規定を使い、

 株主総会の決議を経て、
 税務署にその支給日と支給額を
 前もって届け出て、

 なおかつ、
 その届出通りに支給をすれば、
 それは法人の経費として
 認められることになる。

・この届出書を提出しておくことは、
 決してマイナスになる要素はないため、

 万一の際に備え、
 役員賞与を支払うことができる準備を
 備えておくのも良いのではないだろうか。


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。


これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

https://muratax.com/blog/

起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹

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