見出し画像

【連載詩集】No.44 誰かを愛するということは。


誰かを愛するということは


一緒にいる時間にときめいたり

これから何をするか楽しんだり

どんなことを話すのか考えたり

お互いの温もりを求め合ったり


そういうことではなくて

そういうことだけではなくて


『愛する人がいなくなってしまった世界まで

受け入れる覚悟を心の中に持つ』

ということではないのかな


誰かを愛するということは

そういうことではないかな、と


もちろん、

そういうことだけでは、

ないのだけれど


夜道で虫の声を聴いた気がして

夏の終わりがあたまをよぎって

秋の寂しさがこころを突いて

冬の訪れの影を恐れて


春の君の横顔が

もう思い出せなくて


あれ?


おかしいな、

誰かを愛するということは、

『愛する人がいなくなってしまった世界まで

受け入れる覚悟を心の中に持つ』

ということではなかったのかしら、と


ふと、そんなことを思い、

わたしは戸惑って泣いた。



▲詩集のバックナンバーは、上記のリンクからご覧いただけます。▲

サポートいただけたら、小躍りして喜びます。元気に頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。いつでも待っています。