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【今日のnote】道端に記憶を落としてきた翌日に思うこと。


 どうも、狭井悠です。

 毎日更新のコラム、88日目。

 88って、末広がりで、なんだか縁起の良い数字だな。


 さて、そんな日ですが、久しぶりの東京滞在が楽しくて、お酒を飲みに毎晩、街へ出ています。

 僕はとにかく、仲の良い人や好きな人と飲むお酒が好きです。

 そういう人たちと一緒にお酒を飲んでいると、心があたたまるというか、生きていて良かったなあということを、しみじみと感じることができるんですよね。


 昨日もそんな感じで、歌舞伎町のいつものバーに集まって、とっても楽しく飲んでいたのですが、冷酒の差し入れをもらって、ぐびぐびと皆で飲んでしまい、久しぶりにぐでんぐでんに酔っ払ってしまいました。

 ——冷酒(ひやざけ)。

 フルーティで、飲みやすくて、美味しいなあ、と思いながら飲んでいると、気づくと最強に酔っ払っている、あれです。


 機嫌よく飲んでいたところ、冷酒の強烈なパンチに、朝方に見事ノックアウトされてしまい、記憶をぽーんと、歌舞伎町に落っことしてきてしまいました。

 記憶に残っているのは、一緒に飲んでいた仲間たちに帰ると告げ、店を出たところと、ふらふらと歌舞伎町の街を行ったり来たりしているところ。

 まさに、太宰治のエッセイ「酒の追憶」の再現です。

 突如、実にまったく突如、酔いが発した。ひや酒は、たしかに、水では無かった。ひどく酔って、たちまち、私の頭上から巨大の竜巻が舞い上り、私の足は宙に浮き、ふわりふわりと雲霧の中を掻きわけて進むというあんばいで、そのうちに転倒し、
 わたしゃ
 売られて行くわいな
 と小声で呟き、起き上って、また転倒し、世界が自分を中心に目にもとまらぬ速さで回転し、
 わたしゃ
 売られて行くわいな
 その蚊かの鳴くが如き、あわれにかぼそいわが歌声だけが、はるか雲煙のかなたから聞えて来るような気持で、
 わたしゃ
 売られて行くわいな
 また転倒し、また起き上り、れいの「いい下着」も何も泥まみれ、下駄を見失い、足袋はだしのままで、電車に乗った。


 はっと起きると、きちんとホテルのベッドに収まっていました。

 とりあえず、自分の持ち物を確認していきます。

 パソコン、お財布、メガネ、などなど、失くしたらやばいものを探り、無事にそれらひとつひとつを見つけて、「ふう、何事もなかったか」とひと安心。


 しかし、ふと思ったのですが、道端に落としてきた記憶たちは、いったいどこにいくのでしょうねえ。

 そして、お酒に酔っ払った僕は、きちんとホテルに帰ってきているのですが、その間、僕自身の自我はほとんど失われています。

 そんな中で、僕をちゃんとホテルまで返した意識というのは、いったい何者なのでしょうか。

 そんなことを考えていると、なんだか不思議だなあと思ったので、ちょっとこんな感じで雑記にしてみました。


 今夜もまた、久しぶりに会う友達と、中目黒のあたりまで、食事とお酒を楽しみに行ってきます。

「何食べに行く?」

 と相談していたら、友達が、

「鹿食べたいんだけどどう?」

 と言って、なるほど、鹿を食べたい、という選択肢もあるのかと、なんだか感動しました。

 鹿食べたいって、これまで生きてきて、一度も思ったことがなかったなあ。

 こういう小さな気づきや発見が常にあるから、やっぱり人と会うのは楽しいですね。

 今夜は、うっかり記憶を落としてこないように、ゆっくりと飲みます。


 それでは、今日は軽めですが、このあたりで。

 今日もこうして、無事に文章を書くことができて良かったです。

 明日もまた、この場所でお会いしましょう。

 それでは。ぽんぽんぽん。

サポートいただけたら、小躍りして喜びます。元気に頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。いつでも待っています。