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中小製造業のDX化は、とりあえずツールを入れるだけでも良いかもしれない

大手製造業の25年前を思い出した

中小企業と大企業では、導入しているITのレベルがどんどん離れて行っているように思っていて、どうするのが良いのか思っていたのですが、よく考えると、大企業も当初は単純にソフトウェアを入れただけに近かったというのを思い出しました。

製造業で設計製造のソフトウェアというと、当初はCADで設計するというがIT化の最初だったのではないかと思います。シミュレーション系のソフトもとりあえず入れただけだったかもしれません。

その後、CADデータを管理するという目的でPDMというソフトウェアが流行り始めました。自分が社会人になった頃の話ですので、30年近く前になります。当初はCADデータを製品ごとに取り扱うようにするというのが主流(というかそれ以外の管理方法は無いと思いますが)で、部品表の形でデータを扱う事を目指していました。

後から出てくるキーワードとして、部品表の事をBill Of Material(BOM:ボム)と呼びます。

大企業もPDMを入れただけという例として、(25年ぐらい前の話になりますが)自分がPDMの会社で働いていた時にM菱電機さんに導入させて頂く事になったのですが、その導入方法が部署毎に導入する(つまり部署毎に構築して、部署毎では別の使い方をする)と言う話で、効果が薄いんじゃないかと思っていました。使い方も揃えて、全社で同じ仕組みにするのが、部品の購買とか技術者の社内での移動とかを考えると有利なのではないかと。担当者の方にそのことを伺ってみると「とりあえずツールが揃っただけでもかなり前進なんです」と仰っておられました。

確かに当時の製造大手は製品毎に違うCADを使っていたりとバラバラでした。自分が担当していたN自動車会社さんの場合、小型車、中型車、大型車といった車種でそれぞれに最適化していて、何かツールをいれて統一しようとすると、必ず何処かの部署では反対意見が出るというような状態です。

その後の製造業のITの発展

そういう状況だったのですが、20年以上経って今の大手製造業を見ると、ソフトウェアは全社で統一され、部品番号も全社統一というか世界中のグループ会社で統一されています。(CADソフトは未だに統一されていない場合がありますが、CADデータは標準化が進んできており、ある程度互換性があるので必ずしも統一する必要が無くなってきた)

そういう統一された状態から部品表も進歩して、設計段階のEBOM、製造段階のMBOM、さらに上流のCBOMとか、逆に出荷後の保守用のBOMと言ったように用途別のBOMを作るようになり、それぞれが連動しており(この連動させるのは、会社毎に事情が違っていて大変なのですが)生産管理に近い分野では、工程管理のBOP(Bill Of Process)、実際の製造を補助するMES(Manufacturing Execution System)というようなシステムも使われるようになってきています。

とりあえず入れる所から始めてみる

そこで、最初の中小企業の場合を考えるのですが、いきなり大手製造業のレベルを目指すのではなく、一旦はツールを入れるという方法でも良いのではないかと思うようになりました。これは、大手の製造業も最初はツールをとりあえず入れて徐々に発展させてきたという歴史があるためです。

もう一点は、いきなり高度なソフトウェアを入れても、現場の方々が直ぐに追従するのは大変だと思う点です。自分も同じソフトウェアを長く使うタイプの人間なのでその気持ちは良くわかります。

周囲(会社など)では WindowsXP を使っているのに、自宅では Windows 98SE を使い続けていたようなものだと思っています。(例えがちょっと古いか・・・Windows7 と Windows10ぐらいにした方が良いかな?)

大手はIT環境をもう一歩進めて、製造シミュレーションやモデルベース開発へ舵を切ろうとしていますが、弊社としては引き続き中小のIT環境を改善するべく努力したいと思います。


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