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映画鑑賞の備忘録「ねじ式」

「ねじ式」★★★
石井輝男監督
浅野忠信主演
瀬川憲一音楽
つげ義春原作

つげ義春のねじ式を石井輝男監督が実写化。原作がカルト色濃厚だけに、半端なカルト作品では許されない。

映画の冒頭は土方巽率いるアスベスト館による暗黒舞踏。暗黒舞踏ってちょっと意味が分からないので苦手ですが、本作にはマッチしています。音楽も良い。こういうのって「キモカワ」と言うんだろうか。暗黒舞踏が出る時点でもう一般の趣味趣向の方は受け付けないだろうし、その時点でカルト作品としては成功している。エロティックにキモカワいい。
そもそもが監督の石井輝男自身がつげ義春、ガロと同時代の映画監督でつげ義春も石井輝男監督の「網走番外地」を作中「やなぎ屋主人」に登場させている。

「ねじ式」の純粋なストーリーを期待していたが、「もっきりやの少女」「別離」など複数の作品を下敷きに全体を構成している。それぞれの話のつげ作品オリジナルの主人公ではなく浅野忠信(漫画家ツベ)が主演という事以外は原作に忠実に作られており、作品世界の再現に挑んでいる。前出「やなぎ屋主人」も本映画に登場しており、石井輝男はつげ義春が言及した自らの「網走番外地」を再オマージュするという入れ子構造を構成している。

ところでつげ義春の「ねじ式」は幾つかの写真をモチーフに作られているらしい。

木村伊兵衛 「知里高央氏 1965年」

王双金「目」

エリオット・アーウィット「メキシコ」

作中の有名な「メメクラゲ」。
は「××クラゲ」とつげ義春が書いたものが写植時に「メメクラゲ」と誤植されてしまった。つげ義春自身はこの誤植を気に入っていたという。

#映画レビュー #ねじ式 #つげ義春 #石井輝男 #浅野忠信 #土方巽