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ムラサキ
2018年10月9日 20:14
「或の作品は揺籃なんだよ、滅んでしまった民族のための」「死んでいるのは君だけだよ、沼君」「君も気付くと良い、僕たちの滅びについて。僕の揺り籠の中で。」沼正三と名乗った男が誰であるのか、僕は論評の言葉を失う。彼の影ばかりが部屋の片隅に向かって伸びて、延びゆく。不穏。男の蜃気楼が揺らめいていた。嗤い声が谺している。嘲笑だろうか。自分自身への。或いは僕に対する。----------