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村崎懐炉短編小説集

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短編小説をまとめました。僕は不思議な話や甘い恋の話が好きなんです。
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2018年10月の記事一覧

短編ラノベ「月蝕温泉、沼正三」

短編ラノベ「月蝕温泉、沼正三」

「或の作品は揺籃なんだよ、滅んでしまった民族のための」
「死んでいるのは君だけだよ、沼君」
「君も気付くと良い、僕たちの滅びについて。僕の揺り籠の中で。」
沼正三と名乗った男が誰であるのか、僕は論評の言葉を失う。彼の影ばかりが部屋の片隅に向かって伸びて、延びゆく。不穏。

男の蜃気楼が揺らめいていた。
嗤い声が谺している。
嘲笑だろうか。
自分自身への。
或いは僕に対する。

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