そこの悲しそうなあんた

コロナは色んなことを教えてくれてる。ベネチアでコロナで観光客が減り川がきれいになり、魚が戻ってきた、とか、大量のマスクを捨ててそれが海に行き海洋生物を殺しているとか。コロナを隠す人、やけになっておれはコロナだといい、誰かに迷惑をかけ、そのまま死んでしまった人。彼はそれが最後だなんて、すごく悲しいじゃないか。誰に同情するかはおれの自由だからいちいち、お前の正義を行使してくんなよ。

最近、ニュースで「さいたま市が朝鮮学校の幼稚園にマスクを配らなかった」というようなタイトルの記事をみた。それで在日朝鮮人の人たちが役所に抗議した、と。それを最初に見たときに、「まじか!?在日差別じゃないか」と思った。おれには在日朝鮮人の知り合った人が多い。彼らに連絡をしたら彼らは怒っていた。日本はそこまでするのか、幼稚園児まで差別するのか、と。守る命と守らない命があるのか、と。台風19号の夜に台東区の避難所からホームレスが追い出された。命の優先順位を誰かが決めた。それに対してホームレスは税金を払ってない、という人たちがいた。だとしたら在日朝鮮人の人たちは税金を払っている。仮に在日朝鮮人の人たちにコロナが感染すれば、彼らもコンビニにいくし電車に乗る。色んな人に感染する、それがあなたの大切な人の命を奪うかもよ、と。こいつら馬鹿だからこいつらに言っても何も変わらないな、と、そのおれの感情は恨みになり、怒りに誰かを卑下する言葉になった。

調べると、さいたま市はマスクを市の管轄の学校にだけ配布していた。市の管轄なら、もしマスクを転売などされてもしっかりと警告できるから。さいたま市は言う。朝鮮学校は管轄ではないので除外したと。さらに、国立の幼稚園も除外してると。だから在日朝鮮人差別ではなく、管轄外の責任が取れないところ区別だと。しかし在日の幼稚園児の子供を持つお母さんたちは、それは不安でしかなく、管轄外だという差別。同じだけ市民税払ってるんだから同じように扱うのかまだ当たり前だろうという正論。さらに、さいたま市がぶれてるのは私立の幼稚園も管轄ではないのに配布してる。態度がそう思わせてる。

それを差別だと感じた沢山の日本人たちは在日朝鮮人の彼らを心配し、沢山のマスクを彼らに送った、励ましの手紙も多く届いた。

いまから大切な視点を伝える。今回のことでわかったのは、在日朝鮮人の彼らを愛してくれてて心配してくれてる人たちは日本にはすごく沢山いるってこと。

もし今回のことがなくてマスクを市が朝鮮学校にだけくれなかっただけだったら「自分たちを否定する人たち」の数ばかりをカウントしていただろう。あなたは好きでいてくれる人の数をカウントしてるのかい?

おれはもう約5年も全くテレビにでてないのに毎年の「嫌いな芸人ランキング」で上位にはいる。去年2019年の週刊文春の嫌いな芸人ランキングでも5位だ。6位はビートたけしさんで4位はとんねるずさんだ。嫌われてることを実感することなんかよくある。前もファンの人が「友達をライブに誘ったら、なんであんな人のライブにいくの?わたし大嫌い、と言われました」と言ってきた。心の中で「いやそれおれが知らなくてもいい情報ーー」と叫んた。それはおれとしては自分の責任だ。言葉の足らなさ、自分の卑怯さ、嫌われて当然だ。だけども、この世界ってのは捨てたものではなく、街で在日朝鮮人だという人たちに、急に抱きしめられたことがある。沖縄で隣の席のおっさんに急に漫才みたよ、ありがとうってとても強い握手をされたこともある。人を笑わせる仕事をしてるのによく、ありがとうって泣かれる。おれは助けられてると思ってる。しかし彼らはおれに助けられてるなんてことを言う。おれが在日朝鮮人のことに触れただけでなく人間がいる、おれが辺野古に触れただけで、おれがLGBTにふれただけで、泣くやつがいる。いつも思う、いや、おれやで?と。」藁にもすがる思い」と言う言葉があるが、おれ藁やで?と思うことはよくある。藁にもすがりたいのはあなたがそこで溺れてると言うことでもある。

おれは「おれを嫌いだ」というやつの数を気にするよりおれを大好きで心配し考えてくれる人の数を大切にしようと思ってる。都会で不便さを感じる人たちもいれば田舎でも便利さを感じる人もいる。

それと同じようにお花畑に捨てられてる少しのゴミを気にするより、ゴミ捨て場の中に咲く花をさがそう。ゴミばかりに目が行きわたしたちはゴミ捨て場に住んでるのかと不安になる時もあるだろう。それはあなたが視界にゴミばかりをいれてるから。視界に花を入れてごらん。花しか見えなくなる。そうなればお花畑になると思う。数は数えられない、だから常に愛されてるなーと感じよう。

とにかくまあ、在日はこの国からでてけって叫ぶあなたも在日を差別するなって怒るあなたも、おれはあなたたちのことを知らない。知らないから知ってることに心が傾く。あなたと同じように。いまおれは川沿いでビール飲みながら話してるから気分がいい。気分が悪いときなら自分の強い正義に従って誰かを許さない。気分が良くてよかった。いまは誰も攻撃する気にならない。それが普通か、普通!?なんだそれ。まあいいや。ビール飲も。


 


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