読書メモ(なぜ部下とうまくいかないのか)

■感想

・会社からの推薦図書で読んだ。会話形式で話が進んでいくため非常に読みやすく、また部下との接し方という内容で語られてるものの発達心理学を学ぶための本である。自己を正しく認識することの重要性と難しさを感じたとともに、高次になるにつれて問いがより哲学的なものになっていくことを感じた。

■作者と概要

・作者は加藤洋平。本書では発達心理学及び成人発達理論について書かれている。人間には5つの発達フェーズがあり、それぞれ特徴がある。上位にいけば行くほど良いというわけではないが、発達フェーズを飛び越えた思考をすることは難しい

■よかったインプットメモ

・「より俯瞰的に物事を見えるようになること」や「自分をより客観的に見えるようになること」は成人以降の発達における重要なポイントである。意識構造(各人に備わる固有のレンズ)を理解することが大切である。意識構造には「意味を付与する機能」が備わっている・

・自分よりも上の意識段階を理解することはできない。意識が成熟して行くと他者のみならず置かれている環境も含めて、私たちを取り巻く曖昧なものをより受容することができるようになる。

・人間の意識の成長・発達は「主体から客体へ移行する連続的なプロセスである」と言える。意識の成長・発達が進めば進むほど認識世界が広がっていき、これまで捉えることができなかったものが見えてくるようになる。ある意識段階から次の意識段階に移行していけば行くほど、客体化できる範囲が広がって行く

・人間は「発達範囲」を持っていて、状況や文脈が変わると発達段階が上下動する。他にも役割が変化することで意識段階が変化することがあッタリ、自分の体調や感情状態に左右される側面もある。一方、人間には「意識の重心」があり、状況や感情状態が変わっても重心を中心としながら揺れ動くため、極端に意識段階が変わることはない。

・自分の感情を認識できていないときは自分が感情と同一化している状態、つまり感情に支配されている状態である。そう行ったときは頭に血が上らないように足の裏に意識を集中させると良い。

・人間の成長には垂直的な成長と水平的な成長がある。垂直的な成長とは意識の器の拡大、認識の枠組みの変化であり、水平的な成長とは知識やスキルの獲得のようなイメージである。

・コーチングは駿河湾発達段階が支援の質と効果に比例する。人間としての器の拡張や認識の枠組みを変えるような垂直的な成長は意識段階の低いコーチからのコーチングでは起こらない。

・意識の成長が進めば進むほど自分が保持する過去の成功や社会的な地位や名誉はちっぽけなものに過ぎず、自分という人間は宇宙における糸粒の砂のような存在という明確な認識を獲得していく。発達段階が高度になればなるほど突きつけられる課題がより過酷なものになる。

■発達段階について

・発達段階2は「利己的段階」「道具主義的段階」と呼ばれる。極めて自己中心的な認識の枠組みを持っており、自らの関心事項や欲求を満たすために、他者を道具のようにみなすという側面が強い。また、「二文法的な世界観」を持っており、物事を白黒つけたがる側面が非常に強く、自分の世界と他者の世界を真っ二つに分けてしまうような認識の枠組みを持っている。このフェーズの人は他者視点が抜け落ちておりまた内政能力が十分に備わっておらず自分の感情を客観的に把握することができないため感情的になりやすい。そのため自分中心の視点から一歩離れた視点をとってもらうような問いを投げかけることが大切である。

・発達段階3は「他者依存段階」「慣習的段階」と呼ばれている。組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定するという特徴がある。他者視点にたち物事を捉えられるようになった一方で、自分の意見や考えを表明することが難しく、自分の独自の価値体系がまだ十分に構築できていないためである。そのため自律的な行動に至ることが少なく、受動的である。発達段階3は大手企業に多く、組織階層の上のものが知らず知らずのうちに階層が下のものに対して抑圧するような見えないメカニズムが生み出されていたり、階層が下のものが上のものに意見しにくいようなメカニズムが生み出されているからである。発達段階3ではイノベーションを起こすことは難しいこのフェーズの人は自分の意見を持っていないわけでなく、自分自身の中に芽生えつつある独自の考えや想いなどにまだ気づいていないため、「この仕事を効率的に進めていくにはどんなことが必要になると思う?」のように問いかけをすることや自分の考えを言語化するような習慣づけを強化することが大切である。

・発達段階4は「自己主導段階」「自己著述段階」と呼ばれる。全体の2割ほどが到達している。自分なりの価値体系や意思決定基準を持つことができるようになり、自律的に行動ができ、自分自身を合理的に律することができるようになる。発達段階2との違いは利己的なものではなく、自分の中の行動規範に基づいた意思決定である点であり他者は独自の価値観を持つ固有の存在であることを認識している。特徴として仕事において自ら意思決定基準を設定し、他者をうまくマネジメントすることができることや「探究的な問いを自らに投げ抱えられるようになっている」状態であること、向学心があり、強い成長意欲を持っていることが挙げられる。一方自分の価値体系に縛られるという限界を持っており、自分の価値観と同一化しているため自分と異なる価値観を受け入れづらくなっているという点がある。このフェーズの人には他者の存在は自分の成長に不可欠であるということを認識させることが大切である。

・発達段階5は「自己変容段階」「相互発達段階」と呼ばれる。全体の1%ほどしかいない。自分の価値観に横たわる前提条件を考察し、深い内政を行いながら既存の価値観や認識の枠組みを撃ち壊し、新しい自己を作り上げている。「自分を構築する諸々のものは虚構の産物である」という認識と、いかなる対象物(個性、地位、お金など)にも同一化しない「開放感」と「柔軟性」を持っている。他者の成長を支えることは自分を支えてくれているということに等しいという認識に至っており、他者との協働を通じて自分自身と他者をよりよく理解するために自分の価値体系や認識の枠組みの限界を頻繁に駆け出そうとしている。「自分とは何者なのか「人生とは何か」といった問いとゆっくり向き合わなければ発達段階5には至らない。

■その他メモ

・ロバートキーガン曰く「人間は意味を構築することを宿命づけられた存在である」

・どういう言葉をどんな風に使っているかが人となりを定義する。

・ピアジュ効果と呼ばれる、無理に成長・発達を促そうとするとどこかで成長が止まってしまうということを示す概念。昔アメリカで早期英才教育が流行ったが無理矢理に成長をしいられた子供は、20歳を過ぎることにピタリと成長が止まってしまうことが確認されている。

・人間の成長発達は、多くの時間をかけて成し遂げられるものである

・マズローが人間の欲求に焦点を当てて成長発達に伴って人間は質的に異なる欲求を持っていることを明らかにした。一方でキーガンは人間の世界認識方法に焦点を当て、成長発達に応じて質的に異なる枠組みを持つということを明らかにした

人間の成長発達は「含んで超える」という原則に成り立っている。

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社会にインパクトのある事業を創りたいとの思いでリサイクル✖️ITのベンチャーで働く19卒。主に読書のアウトプットの場としてnoteを活用してます
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