読書メモ(営業の聴く技術)

■感想

・会社の推薦図書で読んだ。SPINの重要性と具体的な注意点やポイントが書かれており非常に即効性の高い本だと感じた。また、根拠が明確に示されており(調査データ)営業関連の本の中では比較的珍しいなと感じた。

■作者と概要

作者は古渕元龍、大堀滋。ケンブリッジリサーチ研究所のSPIN公認インストラクター。本書は「喋るな、相手に喋らせろ」がテーマであり、いかに相手から情報を引き出せるかを科学した本である

■よかったインプットメモ

・そもそも営業とは「ビジネス上の課題解決提案のプロ」であり、「顧客のビジネス上の課題を解決するため自社製品を使った解決策を提案する」ことが役割であり「お客様のビジネス上の課題を解決すること」を顧客満足とすることである。

・販売成功の行動様式は①顧客の方が営業よりも多く話している(理想は3;7)②営業は多く質問をしている③商品説明は商談プロセスの最終段階になってからしている である。

・顧客サイドが求める営業パーソン像として①プロである以上専門知識を有する②顧客との信頼関係を気づくためのコミニケーション能力③タイミングのいい先見性のある提案力④人間性 である。

・人間の本質的な行動特性として①人は聞くことより話すことを好む②他人に説得されるより自分の言葉に説得されたい(記憶にも残りやすい)③相手の4倍聞く(質問も短い方が良い)。

・優秀な営業マンは潜在ニーズに強い関心を示しニーズの顕在化に務める。普通の営業マンは潜在ニーズの話を聞くとそれに飛びつきすぐに自社の商品説明に入る。売れない営業マンは顕在ニーズのみに反応し御用聞き営業となっている。

・長い質問には短い答えが返ってきて、短い質問には長い答えが返ってくる。オープンな質問は短くする。

・顧客が使った単語を反復して質問する。売り手は自分の解釈で単語を使うのではなく、顧客が使い慣れている単語で話す

・商品説明はB-FABで話す。B(benefit=利益)、F(feature=特徴)、利点(advantages)、B(benefit=利益)である。利点はあくまで一般的な商品メリット、ベネフィットはそれを対象顧客が導入した際に得られるメリットである。特徴だけを説明すると顧客は価格に目が行き、利点だけを説明すると「当社は特別だけど〜はできるか」といった質問が来る

・原則不要な反論は事前のすり合わせ質問で防いだ方がいい。反論が来る際考えられることは買い手のニーズが十分に開拓されていなく、商品に魅力を感じていないことが想定される。反論が出てきたことに関してもSPINで聞くことで解決が図れる。


■SPINについて

・SPINとは①状況質問(situation)②問題質問(problem)③示唆質問(impolication)④解決質問(need-payoff)である。従来の応酬話法やクロージングは小型な商品で効果を発揮するのに対して、SPINは大型で複雑な商品において効力を発揮する。

・状況質問とは書いての現状、環境について客観的事実を聞く質問である。売り手にしかメリットのない一方的な質問であることを理解し、質問前に「いくつか教えていただきたいのですがお尋ねしてもよろしいでしょうか」などの前置きをすることである。そのためにも①質問の数を絞ること②事前に調べられることは事前に調べてから訪問すること が大切である

・問題質問とは書いての不可燃な状況や不満を聞く質問である。現状について「あなたはどう思いますか」という顧客の意思や考え、評価を聞く質問である。コンサルと御用聞き営業の違いは問題質問の有無にあり、状況質問は少ない人の方が売れているのに対して問題質問は多い人の方が売れている。一方誰もが答えてくれるわけではないのでそういった際は「課題や問題点を教えていただければ私と我が社は全力を挙げてその解決に当たります」というテクニックもある

・示唆質問とはニーズ顕在化のための第一ステップである。買い手がまだそれほど深刻に感じていない問題が及ぼす影響を「このまま放置しておいていのですか?」と訴求することである。示唆質問はあらかじめ商品ごとにいくつか用意をしておき相手とタイミングに合わせて使い分けることが大切である。示唆質問の作成の際のポイントは①時間(遅れ、間に合わない、迷惑をかける)②労力(無駄な仕事、二重作業)③経費(コストアップ、無駄な出費)④責任(あなたの立場、会社の責任)⑤他者、他部門、他企業(迷惑、顧客の信頼、CS)である。顧客の課題を一緒に解決したいという姿勢でないと嫌味に捉えられる点は注意が必要である。

・示唆質問による効果は①商談を大型化する(商品購入前の問題解決がポイントになることで価格交渉を避けられる)②大型商談のニーズ顕在化に特に有効(社内稟議のシュミレーションになる)③現状に満足しているか、現状に無関心な買い手のニーズを顕在化させる④競合上不利と思われていた商談を有利に展開できる(RFP作成企業との話で出てきていなかった観点を出すことによりその会社に頼むと生じる問題が具体化する)

・解決質問とは「買い手が気づいた問題が解決した時に得られる望ましい状態を確認する質問」である。解決質問には①問題解決によって得られる買い手のより大きな付加価値に気づかせる(〜を解決できたとすると〜にどういった良い影響を与えることになりますか)②買い手の顕在ニーズを繰り返し、その内容を確認する③顕在ニーズを買い手自ら表明してもらい、その内容や重要性を明確化する(それはどうしてお客様にとって重要なのですか)

・解決質問は顧客に利益を語ってもらうことが大切である。また、解決質問は社内稟議で想定される質問への回答練習でもある。解決質問の中に回答を入れないことを意識する必要がある。

■その他メモ

・これからの時代、顧客のために何かをという「for」の姿勢から顧客とともに何かを「with」の姿勢を持つことが大切である

・問題とは理想と現実のギャップであり、課題とは自分で解決可能な問題である。

・人間は根本的に話すことが好きであり、話を聞いてくれる営業に対して好感を持ちやすい。アポをもらいやすい傾向にある。(飲み会で大体話しているのが上司であることや新人にとってのいい上司が話を聞いてくれる上司であることのように)



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