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むらの工作室通信vol.13「廃段ボールのアップサイクルで武器作りをアップデート!」

むらの工作室は、年齢・職業・地域を超えた多様な人たちが集まり、お互いに尊重し合い、新しいモノやコトが生まれる空間を目指して、工具やデジタル工作機械(※)の貸出および利用サポートものづくり体験ワークショップの開催などを行っています。

この施設は人口約1,350人の中山間地域、岡山県西粟倉村にて村民や関係人口の方々がテクノロジーを新しい手段としてもっと身近に使える工作スペースとして、西粟倉むらまるごと研究所が運営しています。

※デジタル工作機械…3Dプリンター・レーザーカッター・UVプリンターなど

むらの工作室では、地域の小中学生に施設を開放する日を設けており、放課後にものづくりを楽しむ子どもたちが集まってきます。

工作室に来る小学生は、目に入るものに瞳を輝かせ、興味関心がいろいろな方向に向かいます。そのため、完成せず途中で終えてしまう工作もちらほら。しかしながら今回は違う!子どもたちが1つのものを“作りぬく”様子をレポートします!


◆レーザーカッター×廃段ボールで作られた工作キット✨

以前流行った“マイ剣”づくり。そこからインスピレーションを受けたインターン生のぴらちゃんが「武器作りをアップデートしよう!」と、レーザーカッターと廃段ボールを使ってとってもかっこい&かわいいキットを作ってくれました!作ったキットは①魔法ステッキ、②剣、③ロケットランチャーの3種類です。何を作りたいかは子どもたちが自由に選びます。

・材料:段ボール
むらの工作室では、地域の学童と連携して家庭で出たごみや使わなくなった材料を工作材料として集めており、今回はそこで回収した段ボールを使いました。

・デザインデータ:ぴらちゃんオリジナル、オープンデータ
デザインデータは、ぴらちゃんがオリジナルで作成したもののほか、インターネット上で公開されているものを使わせてもらいました。

段ボールウェポンキットをレーザーカッターでつくるぴらちゃん
左)魔法ステッキ、右)剣

工作キットは子どもたちが製作の中でカッターの使い方を学べるように、あえて切りしろを多めに残すように設計しました。

さあ!工作がはじまるよ!
道具を使うためにはまずは道具検定!それぞれの道具の特徴や使い方を学びます。

ぴらちゃん)「段ボールを切るには段ボールカッターや普通のカッターを使おう!」

●魔法ステッキをつくろう!

魔法ステッキのちょっと難しいところは曲線が多いこと。
どうやったら曲線をきれいにカットできるか、考えながらカッターを進めていきます。

それぞれのパーツは何で接着しよう?ボンド?セロテープ?

一生懸命考えたすえ、道具検定で学んだ“グルーガン”を選択。
短時間で強固に接着できるグルーガンは、三日月を立体的に接着したり、ステッキの部分に羽のパーツをつけたりするのに活躍しました☆彡

工作の方法もそれぞれ自由。三日月に穴をあけてひもを通します

魔法ステッキの完成~!
三日月の間で星がゆらゆら揺れているのがかわいい!

得意げな表情でピース✨

●剣を作ろう!

剣はパーツの先端まで丁寧に切り込みを入れて作業することが大事。
ひとつひとつ丁寧にカッターの刃を入れて切りました。

パーツをカットしたら絵の具で色塗り。
おお!青系の絵具で着色を!

パーツの接着まで完了したら、完成まであと一歩!
最後はビーズやスパンコールでデコレーションして自分の好きを表現していきます。

やったー!完成!

●ロケットランチャーづくりに挑戦!

ロケットランチャーは上級レベル!発射する動力はゴムバンド!
切り出すパーツがとても多く根気が必要です。
動画を見ながらパーツを切り出していきます。

小学校2年生の先輩が切っているのを興味津々で見ている1年生

2年生の子がチャレンジしているのに触発され、1年生の子もトライし始めました!誰かの行動が誰かに伝わっていくのが工作室のいいところ☆彡

道具検定受検後、初めてカッターを使う!ドキドキ!

段ボールからの切り出しを終え、細かいパーツの接着にチャレンジ。
ここでも活躍するのはグルーガン。
最初は出す量の調整がうまくいかなかったり、段ボールをくっつける前に固まってしまったりすることもありましたが、使っていくうちに少しずつコツを掴んでいきました。

また、最初は自分でやる前に「これであってる?」と毎回確認したり、「これやって!」と人にお願いしたりする場面が多かったですが、むらの工作室で大切にしていることはまずは自分でやってみて、気づくこと

「とりあえずやってみよう!」と促しているうちに、お手本を見ながら、パーツを切り出し、接着して組み立て、、と自分なりに進めていくようになり、小さな「できた!」がまた次の行動に繋がっていきました。

普段学童でレゴブロックを使ってロボットアームなどの複雑な仕組みを作っている6年生の子もロケットランチャーづくりに夢中で取り組みました。

飛距離を出すためにロケットランチャー用の弾を改良してみたりもしました

完成時の写真を撮ることができなかったのですが、動力となるゴムを装着し、発射させると、ちゃんと玉が飛びました!

やってみてどうだった?-子どもたちが体験したこと-

①途中で飽きても、また戻ってきて作りきった!
魅力的なデザインの工作だったので興味が薄れず、複雑な工程であっても完成まで作りぬくことができました
今回このキットを使い、だいたい合計3~4時間で完成形に持っていけているようでした。小学校低学年の集中力は一般的に15分と言われているそうです。子どもたちはだいたいそんな様子で、ずっと段ボールウェポンづくりに集中していたわけではありません。段ボールウェポンづくり→ほかのことに目を向ける→段ボールウェポンづくりに戻ってくるというサイクルを重ねて完成させていました。

②お手本を見てどこをどうしたらいいか自分で考えた!
最初はざっきーやぴらちゃんから離れられずにいた子もいましたが、お手本を見たり、触わったりし、どうしたらこんな風に段ボールを曲げられるのか、どういう順番で組み立てたらうまくいくのかなど、自分で考えて手を動かすようになりました。

③段取り力を鍛えられた!
キットがあることで、どの順番で、どう組み立てるか、今日はどこまでやるか、という段取り力を鍛えました。

④「好き」を織り交ぜてオリジナルのものを作った!
雑誌の付録と異なり、組み立てや着色の過程で「好き」を織り交ぜながら自分ならではのモノを作ることができました。

こうやって完成まで自分で作りぬくのは本当にお見事!
子どもたちのなかでも「達成感」を感じられたようです。
完成後、得意げに家族に見せていたときの表情は成長の証です☺

本来であれば捨てられるはずだった段ボールに、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせて、子どもたちが作り上げることで別の新しいモノにアップグレードして生まれ変わった、これもひとつのアップサイクル。こういったモノの活用を子どもたちに体験してもらうことができました。

また、「何を作りたいか?」「どんな道具を使うか?」「今日はどこまでやるか?」など、自分が何をしたいか考えて、選択して、行動する、という子どもたちの成長を見ることもできました。

◆今回参考にしたものをご紹介

今回、ロケットランチャーづくりで使わせていただいた動画や設計図はこちらを参照させていただきました。わくわくする工作をご紹介・シェアくださりありがとうございます!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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◆お問い合わせ:
一般財団法人 西粟倉むらまるごと研究所                 
むらの工作室マネージャー 山崎
住所:〒707-0504 岡山県英田郡西粟倉村長尾 1464 
E-mail:muramaruken.yamazaki@gmail.com 
TEL:070-1264-7355
◆Instagram:@mu___labo(むlaboの日々の様子やデジタル工作機械を使った作例を発信しています)


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