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音楽理論「重箱の隅」第11話「マイナーキーの正体その六」

こんにちは。ベーシストの村井俊夫です。

音楽理論の端っこのほうにある、ふとした事柄、でも割と大事なこと…重箱の隅を楊枝でつつくような記事を書き連ねています。

よろしくお願いいたします。

引き続き「マイナーキーの正体」。その六です。

前回までのあらすじ
3つのマイナースケールのダイアトニックコード、全てピックアップすると膨大な数に。その使い方を整理しなければ…。


マイナーキーに含まれる全てのコードについて整理していきます。
各音階度上の機能、そしてそこに含まれる各コードの所属(ナチュラルマイナー … NM、ハーモニックマイナー … HM、メロディックマイナー … MM)を記します。

差し当たって、ディグリー表記(Ⅰm、Ⅴ7、などの音階度数表記)についての備考です。
軽音楽ではディグリーの数字はメジャースケールの音階度を基準にしています。なので、例えば短3度上のコードは「♭Ⅲ」というディグリーネームになります。
クラシックでのディグリーはベーシックなマイナーキーダイアトニックコード(前号参照)に、そのまま「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ … Ⅶ」を当てはめます。

ディグリー表記

ここでは軽音楽の表記を用いることにします。

では始めます。キーはAマイナーです。


■Ⅰ(Tonic)
Ⅰm Am … NM HM MM
Ⅰm7 Am7 … NM
ⅠmM7 AmM7 … HM MM
Ⅰm6 Am6 … MM

・トライアド(Ⅰm)表記であれば、3つのスケールのいずれも選択可能です。ただし、サウンドカラーやジャンルを考慮します。

■Ⅱ(Sub Dominantの代理)
Ⅱm7(♭5) Bm7(♭5) … NM
Ⅱm7 Bm7 … MM

■♭Ⅲ(Tonicの代理)
♭Ⅲ C … NM
♭ⅢM7 CM7 … NM
♭Ⅲaug Caug … HM MM
♭ⅢM7(♯5) CM7(♯5) … HM MM

・♭ⅢM7(♯5)はサウンドが混沌とするため、あまり使われません。
・♭Ⅲaugはクラシックのみにて多用されます。その場合も3rdやaug5thをボトムにした転回形で使われることが多く、それらはドミナントとして機能します。Ⅴ7に♭13thを加えた様子になります。基本形の機能はトニックです。

■Ⅳ(Sub Dominant)
Ⅳm7 Dm7 … NM
Ⅳ7 D7 … MM

■Ⅴ(Dominant)
Ⅴm7 Em7 … NM
Ⅴ7 E7 … HM MM

・Ⅴm7はドミナント機能が希薄です。

■♭Ⅵ(Tonicの代理)
♭ⅥM7 FM7 … NM

■Ⅵ(Tonicの代理)
Ⅵm7(♭5) F♯m7(♭5) … MM

■♭Ⅶ(Sub Dominanntoの代理)
♭Ⅶ G … NM
♭Ⅶ7 G7 … NM

・マイナーキーにおいては「非和声音を持つⅡdim7」と見なされ、サブドミナントとして機能します。その場合、トライアドの形で使われます。

■Ⅶ(Dominantの代理)
Ⅶdim7 G♯dim7 … HM
Ⅶm7(♭5) G♯m7(♭5) … MM

・Ⅶdim7はⅤ7(♭9)と同義に捉えられますので、Ⅰmへの強い推進力を持ちます。
・Ⅶm7(♭5)もⅤ7(9)のように解釈できますが、Ⅰmへの推進力はⅦdim7より弱まります。


次号ではこれらの面々が実際にどのようなコード進行になるのかを例示してみます。

つづきます。

重箱役割

おあとがよろしいようで。

お読み頂き、ありがとうございます。


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