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音楽理論「重箱の隅」第7話「マイナーキーの正体その弐」

こんにちは。ベーシストの村井俊夫です。

音楽理論の端っこのほうにある、ふとした事柄、でも割と大事なこと…重箱の隅を楊枝でつつくような記事を書き連ねています。

よろしくお願いいたします。

引き続き「マイナーキーの正体」。その弐です。

前回までのあらすじ
マイナーキーを掘り下げると、結論は「マイナーキーのポイントは濃度」…とは。

中世、グレゴリオ聖歌の時代にはメジャーキーやマイナーキーという理論体系はなく、単旋律音楽なので和音という発想もありませんでした。「モーダルメロディー」の時代です。

そののちに、トニック、サブドミナント、ドミナントの分類を主体にした「機能和声」が確立し、この理論体系を形成するにあたって、最も適した音階がメジャースケールでした。そしてメジャースケールが西洋音楽理論の王様として君臨し、それは数百年経った現在に至るまで揺るがない存在です。

その王様であるメジャースケールの第6音を主音にしてみる…ここからマイナーキー(マイナースケール)が産声をあげます。グレゴリオ聖歌時代のエオリアンモードは既にナチュラルマイナースケールと同様ではありましたが。

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このような背景の中でマイナーキーが背負わされた宿命…それは「いかにして平行長調の支配から逃れるか」ということでした。

例えばAマイナーキーの基本音階はAナチュラルマイナースケール。これはCメジャースケールと同じ内訳です。この内訳の中では、たとえメロディーが「ラ」で終わったとしても、たとえコードがAmで終わったとしても、「『ラ』が一番エラい!」とは言いきれない、つまりこのAマイナーキーのウラではCメジャーキーという黒幕が糸を引いています。

ここからの脱出劇が、すなわち、ハーモニックマイナースケールやメロディックマイナースケールへの展開です。

ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールの三者についてはあらゆる理論書・楽典などに載っていますが、念のため次号でそれらの意図を整理しておきます。

続きます。

jyubako-王様

おあとがよろしいようで。

お読み頂き、ありがとうございます。



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