
ファーストペンギンにならないと
岐阜市で自動運転バスの視察をしてきた。
岐阜市では、2019(令和元)年にまず研究会を立ち上げ、準備を開始。
5年間、実験と実証を繰り返し、いわゆるPDCA(Plan Do Check Action)を回して、
2023(令和5)年に、5年間の継続運行をスタートさせた。
5年間PDCAを回してのシステムとか環境などを整えてからの実施ではなく、
さらに5年間段階的にインフラを整備しながら、
社会に受け入れられるようにしながら、
5年後には自動運転バスを街なかに走らせる。
釜石でも2024年、自動運転バスの実験をした。
なるべく交通量が少なく、自動運転バスが走りやすく、
それでいて利用者が多い地域を選んで実施。
一方岐阜市は、あえて街の真ん中の、幹線道路で実験している。
信号機との接続、右折をスムーズにするための技術など、
テクノロジーの開発と検証には運行業者に伴走し、
市役所職員たちの体験値と知見も引き上げている。
「行政が仕掛ければ、街は変わる」
という都市建設部長の太田喜文さんは、
庁舎内での説明だけではなく、
わたしたちの実車にも同乗して、
ずっと熱く語り続ける。
どこかの自治体がやってから、技術が進んでから、では遅い。
日本で一番最初のチャレンジ、ファーストペンギンでなければ、
「注目されないし、ということはお金も集まりません」
と。
5年間の継続運行には9億円の予算を組み立てた。
国の補助金と岐阜市の持ち出しとで構成される予算だが、
岐阜市の部分は、市外県外からの観光や視察での宿泊飲食消費などで十分に賄える計算をしている。
自動運転バスには、市内小学校の授業で積極的に使ってもらっている。
「子どもたちに最先端のテクノロジーを体験してもらって、
自分たちの街は日本一進んでいるんだ、っていうシビックプライドを持ってもらうため」
と太田さんはいうが、理由はもうひとつある。
岐阜市はクルマ社会。
「子どものうちから公共交通に慣れておかないと」
大人になって公共交通を使わなくなる。
まったく同意。
