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大人のマニア向けに大変革して大成功! 部数急増から月刊化し、世界的超能力者も活躍!/「ムー」回想録

このまま売り上げ低迷が続くなら廃刊――! 創刊1年にして経営陣から非情ともいえる宣告を受けた「ムー」は、起死回生の大変革を行う。

文=編集部N

大人と、大人意識の中高生に向けて

「日本初の総合ミステリー雑誌!」という意気込みもむなしく、わずか1年で絶体絶命のピンチに陥った本誌。編集長(当時)の森田静二氏が下した決断は「最後なら、自分たちの思いどおりに作ろう」だった。
 かくして第7号から、「ムー」は大変貌を遂げる。
 最初に手がけたのは、想定する読者層のチェンジだった。「高2コース」から生まれたということで中高生読者を意識していた「ムー」だが、大人が読んでも納得できる科学的データをベースにした記事内容に変更。文体もコピーも大人向きにした。
 同時に経営的にも大きな賭けに出る。まずA4判から現在のB5判へとサイズをチェンジ。定価も大幅ダウンさせたのだ。

 核となる最初の総力特集は、「ムー」にとって永遠のテーマともいえる「古代核戦争の謎」に決定。当時はまだまだ情報不足ではあったが、編集部には集めに集めた段ボール数箱分の資料が山積みにされたという。

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存続を懸けての勝負となった、第7号の表紙。

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第7号の目次。悔いのないよう、すべてが注ぎこまれた。

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(上)安久津和巳氏が最初に手がけた第10号と、珍しい男性の眼が描かれた第11号。(下)第7号の総力特集。

 それだけではない。女性読者開拓を目指して、表紙のイラストもイメージチェンジを決断する。今日も続く、やわらかさを醸かもしだすための「眼を入れる」というアイデアは、デザイナー・寺澤彰二氏からだった。

 またこの時期には、大きな出会いも生まれている。
 表紙イラストでおなじみだった故・安久津和巳氏が、編集部にイラストを持ち込んできたのだ。これをきっかけに安久津氏は10号から(急逝される直前の)375号まで、さまざまなアイデアで「ムー」のカバーアートを休むことなく描いていただいた。まさに恩人だ。

――と、こうしたさまざまな改革の結果、部数は倍倍ゲームで増加。ピンチのときに3万部弱だった発行部数は、1年後には10万部以上にもなっていた。わずか数パーセントだった女性読者も、30パーセントにまで増えたのだ。部数増加作戦は大成功で、いよいよここから「ムー」の快進撃が始まるのである。

大物筆者と世界的超能力者が支えた特集記事

 2年目の大改革で上昇気流に乗っり、3年目を迎えた「ムー」14号(1982年1月号)では、ついに月刊化を果たす。いいことなのだが、2倍の仕事をこなさなければならなくなった編集部はますます大混乱に……。

 それはともかく、当時の目次をながめてみると、いまもなお現役の重鎮ライターの方々のお名前が目立つ。なかでもUFO研究の両巨頭、南山宏氏と並木伸一郎氏は、1980年9月号(6号)の総力特集「"第4種接近遭遇"事件の謎を探る!! 」で共同執筆していただくなど、まさに創刊以来のおつきあいだ。

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廃刊の危機から一転、ついに月刊となった記念すべき本誌14号。

 南山氏は「S-Fマガジン」(早川書房)第2代編集長という経歴をお持ちで、超常現象研究家としても知られていた。現在も連載中の「南山宏のちょっと不思議な話」は1984年5月号(第42号)に初登場しており、間もなく連載35年を迎えるという超長寿記事である。

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42号から始まり、現在も続く「ムー」最長寿連載「南山宏のちょっと不思議な話」。スタイルは不変!

 並木氏は小学生時代からUFOや超常現象に興味を抱き、社会人となってからは400人の会員を抱えるUFO研究団体のリーダーとして機関誌を発行するなど、知る人ぞ知る「アマチュアのUFO研究家」(本人談)だった。そこに目をつけた本誌第2代編集長の太田雅男が、「ムー」創刊前(つまり学年誌のころ)から記事の執筆をお願いしていたという。つまり「ムー」創刊前からの執筆者(?)ということになる。

 さらに忘れてはならないのは、創刊当時から顧問をお願いしている日本オカルト界の重鎮、武田崇元氏(八幡書店社主)。当時はたくさんの記事を書かれていた関係で、複数のペンネームを使い分けていたようだ。どれだけの名前を使っていたのか、今では編集部でさえ、正確なところはわからない。

 また、超能力界のスーパースター、ユリ・ゲラー氏の協力を得て、世界初の読者参加型「誌上超能力実験」(1983年8月号から)を行い、大成功をおさめたことも記しておこう。

 ……この面々がいまだに現役でオカルト・超常現象の世界を率いているのだから、その事実も驚きである。

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ユリ・ゲラーと読者による超能力実験が行われた本誌33号。


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