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悪魔が取り憑いたために離婚した話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2018年5月号、第409回目の内容です。

文=南山宏 #ちょっと不思議な話

神の死

 ロシア・スタヴロポル在住のヴィクトル・クラスノフ氏(38歳)は、インターネットで地元の論争サイトに「神など存在しない」と書き込んで、敬虔な宗教信者たちを侮辱したと非難の的にされ、重罰を受ける可能性に直面した。
 クラスノフ氏は精神科病院にひと月ほど収監されたあげく、裁判にかけても問題ない正常な精神の持ち主であるとの鑑定を受けた。
 忘れてはいけないが、この国はほんの28年前まで、神の存在を完全否定する唯物論の国だった。


ダウンサイズ

 老人ホームの建設資金調達の一環として、英国ワーウィックシャー州シプストンのピータークラーク不動産会社は、広さ2エーカーの馬車置き場と果樹園と放牧場がついたジョージアン様式の大豪邸を売りだした――たったの500ポンド(約7万5000円)で。
〝世紀の激安バーゲン!〟と大喜びで飛びついた慌て者の顧客は、もちろんたちまちガックリ。
 この建物は高さ76センチ、幅91センチしかなく、ドールハウスとして設計されたミニ家屋だった。


忠犬マヤ公

 スペインはバルセロナ在住のサンドラ・イニエスタさん(22歳)の愛犬マヤは、忠犬として一躍その名が知られるようになった。
 2016年8月28日、サンドラは父親のアンドレスとマヤも同行した長いバカンス旅行を終えて帰路についたが、途中アリカンテ付近で、激しい腹痛に襲われた。
 ただちに当地のエルダ病院に駆け込むと、急性虫垂炎と判明して緊急手術を受け、そのまま回復するまで10日間ほど入院した。
 マヤはその10日間、病院の前に座り込んだまま、押しても引いても決して動こうとはしなかった。
 父親が病院の近くに宿をとるつもりで、マヤを引っぱって車に乗せようとしたが、無駄骨だった。
 マヤがようやく立ち上がって、激しく尻尾を振ってみせたのは、手術の傷が癒えたサンドラが、元気な姿で出てきたときである。
 ちなみにマヤの犬種は、あの忠犬ハチ公と同じ秋田犬だった。


UFOは今も飛ぶ

 アメリカの主要マスメディアがこのほど報じた衝撃的な暴露ニュースによれば、米国防総省(ペンタゴン)は現在もなお、UFO現象に重大な関心を密かに抱きつづけているという。
 2017年12月の「ニューヨークタイムズ」オンライン版によれば、年に2200万ドル(約23億5000万円)の闇予算を使って、国防総省内の極秘UFO調査機関が、少なくとも2012年度まで活動してきたことが判明している。米軍のUFO調査は、通称〝コンドン科学調査委員会〟の白書が「国家に脅威なし」「科学技術に資する証拠なし」「地球外訪問者の証拠なし」と結論して、1969年に閉鎖が宣言されたはず。
 議会上院の元院内総務で、現役中は有力派閥の領袖だったハリー・レイド前上院議員は主張する。
「だが、それは表向きだ。実際は現在も軍のUFO調査は続いている。だから私はUFOの実在も異星人の存在も確信するのだ!」
 レイド議員は続けて断言する。
「わが国はもちろん、ロシアや中国や日本などの海外諸国も、とうにUFOの実在を認めている!」
 同じ「ニューヨークタイムズ」オンライン版は、デヴィッド・フレヴァー退役海軍中佐が2004年に太平洋上で目撃した明るく輝くUFOについても紹介した。
「長さは13メートルほどの円筒形で、翼もローターもないのに、追いすがるF―18を超高速で振り切るや、あっというまに姿を消した」
 このUFOは米巡洋艦USSプリンストンが高度2万4000メートルの高空に探知して、2週間前からずっと追跡していた。
 レイド前上院議員の友人で、ペンタゴンの極秘UFO調査プロジェクトに以前から内密に協力してきた高名なベンチャー起業家のホテル王ロバート・ビゲロウ氏も、マスメディアのインタビューに悪びれることなくこう公言する。
「私はUFOが以前から地球にやってきていることを、今では絶対的な真実として確信している!」
 ビゲロウ氏はいつか近い将来、本業のホテル・チェーンを遙かな宇宙空間にまで展開するのが、生涯をかけた壮大な夢だとか。
 そしてそれが実現した暁には、地球を訪問するUFOとの〝未知との遭遇〟を期待するそうだ。


大統領逃走

「ここには強い〝邪悪なエネルギー〟が漂っているのを感じる。幽霊が取り憑いているようだ!」
 2017年3月12日付AFP電によれば、ブラジル大統領夫妻はそう怖ぞ気をふるって、首都ブラジリアの大統領官邸から逃げだした。
 ミシェル・テメル・ルリア大統領(76歳)とマルセラ夫人(33歳)が逃げだした前面が総ガラス張りの壮麗な〝アルヴォラーダ宮殿〟は、同国きっての世界的名建築家オスカー・ニーマイヤーが残したモダニズム建築の傑作のひとつ。
 1987年、同邸も含めてブラジリア全体が、近代都市初の世界文化遺産に指定されている。
 同邸にまつわる不吉な噂を知っていたマルセラ夫人は、入居前に僧侶に頼んで悪霊祓いをすませていたが、効果はなかったらしい。


無過失離婚

 イタリアはミラノのジョルジョ・ブルーノ氏(仮名)は、去年4月上旬に開かれた地元の法廷で、敬虔なカトリック教徒だった妻が〝悪魔に取り憑かれた〟のを理由に、無過失離婚が認められた。
 元妻のフェデリカ(仮名)は2007年以来、人格が一変して、〝説明のつかない不可解な行動〟を見せるようになったという。
 法廷の証言台に立ったジョルジョの妹や知人友人、教会のカプチン会修道士らの目撃談によると、内気で慎ましかったフェデリカが急におかしくなったように暴れだして、教会の会衆席を怪力で引っくり返したり、片手で引っ摑んで祭壇に投げつけたりするようになった。
 それだけでなく、信じられない話だが、ときどきフェデリカが地上から急に空中に浮揚して、そのまましばらく浮かんでいるのを目撃した、といい張る証言者さえ出てきたのである。


(ムー2018年5月号掲載)


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