蒼の彼方のフォーリズム_感想

はじめに

次に何しようかと思っていたところに知人(会った事ないけど)からお勧めされたので買ってプレイしてみた。本当にいい買い物だったと思う。恋模様とか可愛さにひたすら悶えたいって人にオススメ。ちなみにここから先はうっすらネタバレあったりするから気をつけてね。


こういう「青春」って感じの物語を読むにあたって、いろんなスタンスの人がいると思うけど、自分は主人公に自己投影したりは基本的にしない派。主人公とヒロインの恋模様を見たいのであって自分がそうなりたいわけじゃないというか、自分みたいなくすんだ存在が主人公に何かを重ねたら主人公という像が現実に侵食されてしまう気がするというか。第三者視点で主人公とヒロインの初々しさに悶えるのがイイんだよなあ...

共通部分

夏の大会での部長がマジでかっこいい。そこまではネタキャラっぽい雰囲気だったのに一転して漢気とか矜恃とか誇りとかを強く感じた。また、ルート分岐のためと思しき選択肢は、主人公がたまにクズみたいなこと考えてたりヒロインに対して完全な拒絶の意志を示したりしていて面白かった。

莉佳ルート

生真面目な女の子が、真面目一辺倒ゆえの弱さを克服して最後は闇堕ちした旧友を救い出すという、王道少年漫画のようなストーリー。中盤でチームの元気印とも言える明日香が退場した時は「マジか!!」ってなったね。いつも元気な子の生気のない目がすごく良かった(意味深)。夏の大会の後、真面目な子が今までとは異なる環境で柔軟さを得て強くなる過程はすごく「莉佳らしさ」が描かれていたと思う。中盤以降の、主人公との仲が深まってイチャイチャし始めるところもよき。真面目なだけかと思っていたら内に年相応の弱さを秘めていたりだとか見かけによらず耳年増だったりとか的確に年下ヒロインのツボをおさえてきてて愛くるしさに悶え死ぬかと思ったし、主人公がSっ気発揮し始めた時「よし、いいぞ、もっとだ!」って思ったのはきっと俺だけじゃないはず。いわゆるHシーンも、エロいというよりかはひたすらヒロインが可愛いというのが強く、十分悶えられた。真面目な子が欲望に囚われて抜け出せなくなるとかかなりそそるやん?秋の大会での黒渕との決戦自体もなかなかにアツかったけど、その直前の佐藤院さんとの会話がまたイイんだよね。カッコいい先輩って多分こういうことだよなって思う。

みさきルート

普段は飄々としてる猫みたいな女の子が弱みを見せたりマゾっぽい一面を持っているのはとてもとてもドストライク。主人公とヒロインが同じような傷を心に負ってるからお互いに傷を舐め合うってストーリーもあり得たんだとは思うけど、お互いに高め合ってトラウマを克服していく方向に進んでいた。全体を通して心の中のドロドロした感情がキャラの重力を増していて、「これちゃんとハッピーエンドになるの...?」と不安になりもしたが、そういうものとの付き合い方を最後にうまくまとめたと思う。この二人の今後がとても気になる終わり方をしていたのでEXTRA2への期待が高まる。また、秋の大会でのサキ戦、明日香戦はめちゃくちゃ盛り上がったし、試合描写が非常によくなされていた。こういうのが青春スポーツものの醍醐味だなやっぱり。そして、Hシーンはとてもすごかった(マジ)ので、これがないバージョンしかやってない人は非常にもったいないと思う。自分は、基本的にHシーンは主人公とヒロインの恋愛関係の進展上で避けられないからある(なくてもまあいいんじゃないのか)みたいなスタンスだったんだけど、これで考えが変えられたほどだ。みさきの可愛さがめちゃくちゃ出てるからぜひ見て欲しい。エロ成分も大概だけどイチャイチャ成分とか可愛さ成分がそれを上回るほどの衝撃を与えにくるから。

日香ルート

まず葵さんがかっこよすぎる。主人公同様FCを引退した身でありながら、主人公がトラウマから立ち直ってFCにちゃんと向き合う覚悟を示したときにはそれに報いるため全力で手助けしてくれるとか。やっぱりこういう師弟の絆は良い。そして、このルートのラスボスとも言える二人、サキとイリーナもいいキャラしていた。初登場時は人間味を感じない嫌なやつみたいな印象だったが、物語の進行とともに人間らしい部分が感じられて、最後には実力的にも精神的にもライバルとして大成していた。次にヒロインについて書くと、明日香のメンタルが凄すぎる。物語全体を通じて何度も心が折れてしまってもおかしくないのに、周囲の支えがあったとはいえなんだかんだ最後まで楽しんだままやり切ってしまうなんて。また、明日香はその「楽しむ心」に周囲を引き込んでみんなで楽しむという描写が終盤にあったけど、まさにその通りだった。見ているこっちまで自然と笑顔になっているようなラストだったのだから。こんなに爽やかな気持ちになるラストもそうそうないだろうと思う。明日香が決勝の最後の一撃に主人公の技を持ってきたのはなかなかにエモかった。そんでやっぱこの主人公はかなりのSだな。今までは「ヒロインたちが若干そういうの(Sっ気)を刺激しがちなのかな」って思ってたけどこのルートで確信した。こいつ心根がSだ。まあこのSっ気がいい感じにヒロインの可愛さを引き出してるから、舞台装置に徹する系の自己主張しない主人公よりはよっぽど好きだけど。
追記:明日香は他のルートでもだいぶ可愛い。みさきルートでは「ちゃんと美咲ちゃんを強くしてくれないと私が報われない」って言ってて匂わせてたけど、真白ルートでは恋が実らなかった少女として最高にヒロインしていた。自分を空に導いてくれた主人公に惹かれるのは自然な流れなんだが、葵さんが主人公に「『俺を諦めろ』っていうサインでも出してたんじゃないのか」って言ってた通り、明日香ルート以外では基本的に主人公が歩み寄らないもんなあ。

真白ルート

なんですかこの可愛い生き物は???純粋な可愛さで脳をぶん殴られたり溶かされたりしてるかのようだった。人前では泣かないいじらしさとか主人公に甘えるときには全力なところとか想像力がたくましい(?)ところとか全部ひっくるめて可愛い。終盤はみさきと真白の出会いやお互いへの想いなども描かれていて新鮮だった。みさきルートではみさきだけにスポットライトが当たりがちだったからよけいに。そしてこのルートは他の3つのルートとはかなり毛色が違っていた。まず、他の3つはなんだかんだ秋の大会で何を成せるかというのにゴールが設定されていたのに対して、真白ルートでは秋の大会よりも前、みさきをいかにFC部に連れ戻すかというところにゴールが設定されていたため、秋の大会の描写がなかった。次に、主人公があまりSじゃない。「え?他のルートでのお前はなんだったん?」ってくらいに自制できてる。真白が庇護欲を掻き立てて優しくしたくなる感じだったのはありそうだな。そして、明日香が目に見えて負けヒロインしてる。みさきルートでは「あれ、もしかして...?」と匂わせる程度だったのだが、真白ルートではしっかりと明日香の失恋が描かれていた。明日香ルートをプレイした後だったので痛いほどに気持ちが伝わってきてちょっと辛かった。まあその後も含めて見るといい感じにまとまっていて、ガチで辛いとかではないのでそこは安心してもらいたい。

FINALE

グランドエンディングという位置付けで、どのルートからでもうま〜くつながりうる未来という感じで面白かった。選手として復帰した主人公と葵さんの対話のみで構成される話で、物語を綺麗に締め括っていた。この物語の未来を語るのにこれ以上ない人選。

全体を通しての感想

個人的にヒロインとして一番好きなのがみさきで、物語が一番好きだったのは明日香。だがどのルートもいわゆる「少年漫画」的というか、アツいスポーツ&恋愛モノという感じで楽しめた。「王道」が「王道」たる所以を見せつけるかのような正統派な物語なのも好き。
プレイする前は、静止画がメインのPCゲームでスポーツもの、しかも架空の派手なスポーツを上手く描くなんて可能なんだろうかと心配だったが、プレイしてすぐに杞憂だと分かるくらいにちゃんと試合の流れが追えて驚いた。この表現の方法を楽しむというためだけのためにこの作品を買っても後悔はしないと思う。
あおかなの前にプレイしていたサマポケと比べて見るのもなかなか面白い。どちらも物語が終わったときにスッキリして心が晴れ渡るような気分になるのだが、そこまでの道のりは全然違う。あおかなは「こんなに爽やかでアツい青春の物語見てたら胸がすくよね」って感じでサマポケは「たまには泣いて見たら?スッキリするぞ?」って感じ。どちらの方法も甲乙つけがたい素晴らしさだと思う。


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