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ギュスターヴ・モロー展

私にとって、モローといえば“サロメ”というイメージがある。
このエキシビションでは、ヨハネの首を所望するに至ったヘロデ王の前での舞踏シーンはもちろん、その舞を披露する直前や、首を切られる直前&直後のヨハネ、ヨハネの首が切られるのを遠目に見ているサロメ、その瞬間の表情にフォーカスしたサロメのクローズアップ、ヨハネの首を盆に乗せて佇むサロメ、など1つの瞬間を境にしたいくつもの視点から捉えた“サロメ”を見ることができる。

同じ瞬間のどこに着目するかによって、額縁の中の誰に感情移入するのかも変わってくる。
また、モローに切り取られた視点と視点の間の見えない時間と空間を、鑑賞者は想像し楽しむことができる。

ひとりの画家の同じテーマの作品を並べて見ることは、ひとつの演劇を観た後のような満足感がある。

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